『虎に翼』第30回 私たちは怒っている
直言はせっせと、寅子合格の記事を切り抜き、スクラップブックに貼り付けています。この趣味は娘の寅子も引き継いでいますが、戦時下に燃やされる伏線ではないかと思ってしまいます。
祝福される寅子
寅子は皆から祝福されています。
どこにいっても祝福モード。雲野事務所でも。竹もとでもおいしそうなあんみつが出る。笹山も江戸前の特上寿司を持参する。このドラマのあんみつやら寿司はどうしてこんなに毎回美味しそうなのか。近所の人も。
そして花岡も、わざわざ呼び出して花束を渡してきます。寅子は素直に喜びます。花岡はにおわせはしているというか、祝賀会の話をまずふってきます。お、エスコート志願? さらに寅子なら成し遂げると思っていた、もし駄目でももう一度挑戦するよう説得する気だったと続けます。
そしてこの反応です。
「そうなの?」
「せっかくの才能がもったいない。もし駄目でも俺がいるから」
「えっ?」
そう驚く寅子。
「そのころには俺も一人前になってるだろうからさ」
戸惑いつつ、お礼を言う寅子です。
ここの場面は重要です。寅子と花岡の会話は、噛み合っていません。花江あたりならノンバーバルコミュニケーションってやつを指南するだろうさ。
とまあ、こんな解釈もできるけど。寅子はそういう言葉の裏とか行間を読み取れないから、なんかよくわかっていない、額面通りの受け取り方しかできていないんです。
寅子にプロポーズするならそうハッキリ告げること。キャリアプランまで説明しないと納得しないですよ。そんなに大事なことなのに、遠回しに、外堀を埋めるように言うってなめてんの?
ましてや「一緒に酒を飲んだんだから、枕を交わそう」なんて無理だからな。トラブルの元だからな!
もうひとつ、こんだけ祝われても、寅子はどれだけ舞い上がっているか不明。あんまり浮かれていないかも。律儀に竹もとや笹本に「借りを作った、いつか返す」と思っているかもしれません。寅子はめんどくさいんだ。
寅子は視聴者代表みたいな記事もよく見かけますが、かなりの変人枠だとは言っておきたい。『半分、青い。』の鈴愛や『ちむどんどん』の暢子は、相手のアプローチを独特の形で断って理不尽な炎上をしていましたが、そっち枠でしょうよ。
マジョリティが受けられやすい現実
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