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作品紹介

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既刊の紹介と試し読みです
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【白の展示会】作品紹介

【白の展示会】作品紹介

『白の展示会』
( 2020年発行 / 文庫 / 114p / 500円 )
現代小説の短編集です。
試し読みはこちらの記事をどうぞ。

進路に悩む学生は「白」を展示する不思議な会場に迷い込み、
好きな物を共有できない孤独な大学生は、美しい空を通して人と関わり、
仕事と立場に疲れた女性は、冬を生きるサボテンに自らを重ね、
強さとは何かを考える文芸部の少女は、迷いながらも文字をつづる。

様々な悩み

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【白の展示会】試し読み

※この記事は、そらとぶさかなの本『白の展示会』の試し読みです。
本の詳しい情報はこちらをご覧ください。

■表題作 白の展示会
 いつもの通学路は薄曇りの空に押しつぶされてひしゃげて見えた。
 人気の無い道を、ユミカはかしかんだ手に高校のかばんをぶらさげて歩いている。
 土曜の昼なのに歩く人影がまばらなのは、この冬一番の寒さのためだろう。葉を落としきった街路樹のせいで一段と寒々しい。
 今日は半日

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【旅する鉄塔】作品紹介

【旅する鉄塔】作品紹介

『旅する鉄塔』
( 2018年発行 / 文庫 / 68p / 400円 )
※「恋する鉄塔」から改題&表紙を新装しました
★試し読みはこちらをどうぞ。

すべての塔好きに贈る、塔たちのものがたり。
様々な『塔』を主人公にした、ファンタジーっぽい読みきり短編3本を収録した短編集です。
さびしい話、にぎやかな話、そしてかなしい話に、じっくりと浸ってみてください。

<収録作>
◆『さびしがりな灯台の話

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【旅する鉄塔】試し読み

※この本は、そらとぶさかなのファンタジー小説『旅する鉄塔』の試し読みです。本の詳しい情報はこちらをご覧ください。

◆さびしがりな灯台の話 あるところに、灯台がいた。
 白くて大きな灯台で、背はそこまで高くないけれど、海のかなたまで照らせるきれいなレンズを持っていた。
 そして灯台は、とても、さびしがりやだった。
 灯台は海に面した山はだの崖に、たった一人で建っている。
街へ続く一本しかない道は、

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【薬屋のクレオール】作品紹介

【薬屋のクレオール】作品紹介

『薬屋のクレオール』
( 2015年発行 / A5 / 本文45p / 400円 )
シリーズ三作品をまとめたファンタジー短編集です。
★試し読みはこちらをどうぞ。

収録作は『少女と愛の話』『採光師の話』『景色売りの話』。
光を集める代わりに自らが影に変貌していく採光師など不思議な人々、薬らしくない奇妙な「薬」、などなどの異世界感。
忘れっぽいマイペース薬屋&好奇心旺盛でやたら喋ってる空集めのバ

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【薬屋のクレオール】試し読み

※この記事は、そらとぶさかなのファンタジー小説『薬屋のクレオール』の試し読みです。本の詳しい情報はこちらをご覧ください。

■採光師の話

 麦色の道はどこまでも草原に伸びていて、ただ青く広がる空の下、山のふもとの街まで続いていた。看板も無く、歩く人もいない一本道である。
 山は北の土地に連なっているが、今は単にぼんやりした影のようにしか見えない。草原を照らす空はあんまりにも青すぎるため今にも青が

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【楽しさと惰性】作品紹介

【楽しさと惰性】作品紹介

『楽しさと惰性』
( 2018年発行 / B5 / 50p / 300円 )
★試し読みはこちらです。

初にして現状唯一のエッセイ本。
この本の表紙を作って下さった知人との、
「同人誌即売会になぜ参加するのか?」
「うーん、楽しさと惰性ですね」
というやり取りから始まった、即売会参加についてあれこれ語りまくるエッセイです。
2014年から始めたイベント参加の経験から、具体的なお金や頒布数など販売

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【楽しさと惰性】試し読み

※この記事は、そらとぶさかなのエッセイ本『楽しさと惰性』の試し読みです。書誌情報はこちらをご覧ください。

(『1. 切ない』より)
 切ない。
 まずはこの一言だ。
 例えば、イベントで本が売れない時。隣のブースでは順調に売れているけど、自分のブースには長い事誰も近づいてこず、ぎこちない静寂の中で一人座っているような。
または、イベント前日に一分一秒を争うコピー製本戦を繰り広げている際、ふとスマ

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