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白熱!雨宿りの中で始まったチキンレース!~八丈島旅行②~

「朝だよ。お父ちゃん、もう外明るいよ」
長男の声で目が覚めた。時計を見るとまだ6時半を回ったばかりだった。
昨日早めに寝たからではなく、長男にとっては普通の起床時間…何なら少しゆっくりなくらいの時間である。彼はいつも5時半頃に起きてリビングに降りていき、本を読んだり好きなアニメを見たりして朝活するのが習慣になっている。
すっかり目が冴えている長男の相手は暗黙の了解で私が担当することになっているが、その日は珍しく次男も起きてきたのでタオルをとって三人でホテルの大浴場へ行くことにした。

さっぱりして大浴場から出ると妻も起きてきていてロビーで待ってくれていた。朝食が始まる7時半までには少し時間があったのでそのまま待つことなった。
ホテルのロビーでくつろぐことなんて初めてかもしれない。そんなことを思いながらソファに座った。まもなく息子達がどこからか絵本を見つけてきて妻に読んでもらい始めた。本のタイトルは「今日も嫌がらせ弁当」だった。その話は八丈島に住むブロガーの実話を元に描かれたものらしく、数年前に篠原涼子が主演で実写映画化もされた話だった。そういえば空港やホテル、昨夜行ったラーメン屋など、至る所で篠原涼子のポスターが貼ってあったことに今更気づいた。ロケ地として八丈島が使用されたらしく、観光客への誘致材料として活躍しているようだった。

一通りその絵本を読み終えるとちょうど良い時間になっていたので朝食会場へ向かった。朝食はバイキング形式だった。バイキングと聞くとポテトフライやハムやサラダといったお馴染みのラインナップの中に、時々入って来るご当地の食べ物やそのホテルの看板メニューがあったりする。それがどんなもので味なのかを楽しみにしてしまうのは幾つになっても変わらない。
子ども達も届かないところは手伝いつつだが、いつも間にかほとんど自分で配膳できるようになっていた。好きなものを好きなだけ選べることに心を躍らせているようだった。

朝食で膨れたお腹が少し落ち着いた頃、ホテルの庭の横にあるプールに行く準備をしていた。この日の島の天気予報は晴れ時々雨だったので海遊びは翌日にすることにして、いつでも室内に避難できるようにとプール遊びにしたのだった。
大きなプールとは別に泳ぎが苦手な子や小さな子が遊べるようなスペースもあり、息子達は大はしゃぎで遊んでいた。

プール遊びのおかげでたくさん食べたはずの朝食はあっという間に消化されたようで、お腹が減ってきた。子ども達の遊びが一段落したところでお昼ご飯を食べに出かけた。
僕は、八丈島旅行が決まると、すぐに島を知っている友人に連絡を取っておすすめの場所をいくつか聞いていた。その中の一つにあったお蕎麦屋さんに行ってみることにした。

目的の蕎麦屋は「千両」という名前のお店だった。お昼時で賑わっていたがギリギリ待たずに入ることができた。
僕らは小上がりに案内された。そこは棚いっぱいに漫画が置かれていて子ども部屋のような雰囲気があった。もしかしたら以前までは本当に子ども部屋として使用されていたのかもしれない。
定員さんの中に何人か中学校のジャージを着た子がいた。察するに家族や親戚で経営しているお店のようだった。
蕎麦はさっぱりとした味わいで何杯でも食べられそうな軽さで美味しかった。次に行く場所でソフトクリームを食べる予定だったが、他の席に運ばれていくかき氷があまりにも美味しそうだったので、最後に一つだけ頼んで四人で食べた。山盛りのかき氷が届くと大盛り上がりの息子達。シロップは普段食べ慣れたものより素朴で優しい甘さがした。
最後にトイレを借りるとヤモリが窓に張り付いていた。餌が豊富なのかよく肥えた個体だった。

蕎麦屋さんから歩いてもいけるくらいの距離に次の目的地の喫茶店があった。「むかしの富次郎」という変わった名前が気になっていた。店内に入ると、ここもたくさんの本が所狭しと並んでいた。蕎麦屋さんも本が大量においてあったので、八丈島の人達は本好きが多いのかもしれないと思った。
なんだか小学生の図書室にいるような懐かしい感覚になりながらお目当てのソフトクリームを食べた。かなり大ぶりに巻かれたソフトクリームはミルクの味が濃くて美味しかった。

次に訪れたのは島のお土産屋さん。土産好きな妻と長男のお楽しみタイムだ。いつも吟味して結構な時間がかかるのだが、この日もなかなか時間をかけて選んでいた。

お店を出る頃には明るかった空に真っ黒な雨雲が漂い始め、あっという間に雨が勢いよく降り始めてしまった。数メートル先の駐車場に停めてある車に乗り込むだけでも全身びっしょり濡れてしまうような雨量だった。仕方なく雨足が収まるまで店先の屋根のある部分で雨宿りをさせてもらうことにした。
しばらくはじーっと雨の音やたくさんできた水たまりなど、辺りの様子を見ていた息子達だったが、次第に悪ふざけが始まった。
気がつくとどちらが濡れないギリギリまでいけるかのチキンレースが始まっていた。
最後の決め手はギリギリを攻めていた次男を小突いた長男の攻撃だった。土砂降りの雨が次男に直撃し、一瞬にして全身びしょ濡れになってしまった。もう今更どうしようもないので妻も僕も笑うしかなかった。

その直後、タイミングが良いのか悪いのか一気に雨足が弱くなってきたので車に乗り込んだ。つぎの目的地は八丈島の山の中にある牧場だ。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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