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好きな場所や景色

息子たちが楽しみにしていた祖父母の家へのお泊りの日。彼らを送りに妻の実家へ向かった。
祖父母の家に着くなり、玄関に駆け上がっていく…

その後の流れは以前書いたnoteの内容と同じように進み、あっけなく息子たちから送り出されて夫婦だけの時間となった。

まずは小田急線に乗って町田にあるお寿司屋さんへ向かった。
特にしっかりとした約束をしたわけではないが、毎年一回は妻と二人だけで少し背伸びした贅沢な食事をとろうとなっていた。今回のお寿司屋さんは去年も利用したお店だった。2回目の利用になる。ペーペーも良いところだが、僕も妻も心待ちにしていたお寿司屋さんでの食事。つかの間の贅沢な時間はお寿司の美味しさとその場の雰囲気でお腹がいっぱいになった。
また来年もこのお店に行きたいねと話しながら昼食の時間は終わった。

その後、JR横浜線に乗って横浜スタジアムがある関内へ向かった。僕は横浜線に乗るといつも無性にワクワクする。幼少の頃、母の実家だった磯子に遊びに行く際に利用していたからだと思う。その頃はとても長く感じていた乗車時間が今ではあっという間に感じるようになっていることに気づいた。

関内に着き改札を降りると、タオルを肩や頭に巻いた集団がたくさんいることに気が付いた。その人達はまっすぐに横浜スタジアムに進んでいく。
全く把握していなかったが、その日は某有名アーティストのライブが行われる日だったらしい。途中までその流れに巻き込まれながら進んでいく。まだライブが始まるまで大分時間があるようだったが、スタジアム付近にはすでにいくつかのファンの塊が出来上がっていて、ところどころで時折地鳴りのような声援があがっていた。
ライブ前にこんな盛り上がってしまって、倒れたりする人がいないかと心配していた。その日は例年以上の暑さもあった。案の定近くに救急車が停まっていて危惧していた事態を招いている姿があった。楽しみにしていただろうライブに参加できないのは辛いだろうなと思った。

関内から中華街方面へ進んでいくと少しずつタオルを身につけた人たちの姿は少なくなってきた。小休憩しようということになり、カフェを探した。歩いているとぱっと看板が目に入った。そして入口のドアを見た。
中の様子は見えなかったがとても魅力的な雰囲気が漂っていた。

店内に入ると、カウンターの後ろの壁一面に置かれているお酒の瓶が目に入った。これまた良い感じのカフェだ。
僕はアイスカフェオレ、妻はウインナーアイスコーヒーを頼んだ。
店名のアテネの名前のとおりエキゾチックな雰囲気で大満足の休憩時間になった。
話を聞くとかなりの老舗のカフェバーとのことで、今度は夜の時間帯に訪れてみたいと思った。

その後は中華街を抜けて石川町駅の方へ向かっていった。僕はこの石川町駅からの元町の一つ外れた裏通りの道が気に入っている。土日のごった返している時間帯でもこの通りは混んでいることが少なくて、なんとなく横浜本来の雰囲気をじっくり感じられる気がするからだ。

この日もその道を選んだ。妻もこの道が好きだと言っていた。自分の好きな場所を気に入ってくれるのはとても嬉しい。

歩いていると妻のスマートフォンが鳴った。義母からだった。電話に出るとテレビ電話だったようで画面に息子たちが映し出された。
「あのね!お買い物行って、ちょっとだけゲームセンター行って遊んできた!」
嬉しそうな長男の声がした。画面ではゲームセンターで入手した新しいおもちゃの紹介が始まっていた。長男の紹介が終わると次は次男の番になった。一通り二人の話が終わると
「今お母ちゃんとお父ちゃんはどこにいるのー?」
と聞いてきた。横浜の元町にいることを伝えると、
「そうなんだ!じゃあ楽しんでね!ばいばーい!」
と一方的に通話を切られてしまった。とても楽しんでいる様子が画面から溢れていた。
「なんか本当にあっという間に大きくなっちゃったね…」
笑いながら少し寂しそうに妻がぼそりと言っていた。

少しお腹がすいてきたので夕ご飯のお店を探しながら元町を抜けて山下公園の方面に戻っていく。
神奈川県民ホールの近くで良さそうなお店を見つけた。
そこは洋食屋さんだった。僕はオムライスを、妻はシーフードドリアを頼んだ。どこからどう見ても洋食らしい美味しそうなものが運ばれてきた。見た目と味に裏切りがない安心できる味だった。

お腹がいっぱいになったので胃が落ち着くまでもう少し足をのばして大さん橋まで行くことにした。みなとみらい近辺で一番好きな場所だ。
少しずつ辺りが暗くなってくる。横浜の夜景は煌びやかな中にも落ち着いていてなんとなく乾いた感じがする。

妻と2人で夜景を見ることなんて最近はほとんどなかったのでしばらくゆっくり過ごした。
でも途中でコスモワールドの観覧車がポケモン仕様になっていることが気づくと、ポケモン好きな息子達のために動画を撮っていた。
父と母という役割が染みついてきたんだなと感じた。

そんな彼女とこの場所でまた同じ景色を見たいと思った。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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