いしい

世の中のだいたいのことについて解像度低めです。とても面倒くさい性格です。2023年1月…

いしい

世の中のだいたいのことについて解像度低めです。とても面倒くさい性格です。2023年1月から始めたピアノと、半世紀以上続けている読書と、いろいろの日々を綴っています。

最近の記事

顎関節症その後

先日顎関節症になった、という話を書いた。 その後も全然痛みが改善せずにいたところ、数日後の夜中、猛烈に歯が痛くなった。顎関節ではなく、歯が痛い。猛烈に痛い。 顎関節症の診察時、開かない口で一応口内を診てもらって虫歯がないことはわかっていた、ならばこの歯の痛みはなんなんだという激痛。 比喩でもなんでもなくのたうち回る感じ。 我慢できなくて、ロキソニン2時間おきに飲んじゃった、けど全然効果なく、まんじりともしないで朝になった。 こんなに痛いのは、三叉神経痛か、帯状疱疹か。 発

    • 聴く読書

      先頃Audibleの無料体験キャンペーンをやっていたので、登録してみた。 同様のキャンペーンはこれまでにもあったが、一度も登録しようとは思わなかった。私は言語優位の人間で、聴覚から受ける情報をちゃんと処理できないからだ。 ちなみに視覚も苦手だ。何が描写されているのかわからないことがある。表情も読みづらい。 耳で物語を聴いても、たぶん最初のほうは忘れてしまうだろうし、展開のスピードについていけなさそうだし、読書の制御のしやすさと自由度がなさそうだ、という判断からAudibl

      • 顎関節症

        元来体が丈夫で、これといって大病の経験がないことだけが取り柄だったが、初めて「顎関節症」になった(顎関節症も大病ではないが) 前触れだったのかどうかはわからないけど、その前日に首がとてもとても凝って、マッサージに行こうかと迷っていた。 マッサージに行ったところでその瞬間気持ちいいだけで、根本的な解決にはならない。でもともかく誰かにほぐしてほしい、と切望する首の凝り。 気休めだろうと何だろうとマッサージに行ってみるか、と思っていた次の朝、口が開かなくなっていた。 顎が痛くてま

        • ウェイトドール

          先日、娘の結婚相手のご家族と顔合わせがあった。 結婚式をしないので、その代わりとなるような簡単な「花束贈呈」みたいなことはしたほうがいいよ、とあらかじめ娘には伝えておいた。 お相手が「感謝の手紙を読むのは絶対に嫌」と言ったそうで、花束贈呈だけするね、花束はレストランに頼んでおいた~、と娘が言っていたのだけど、サプライズがあった。 それが、ウェイトドールのプレゼント。 ウェイトドールは出生体重と同じ重さのぬいぐるみのことで、出産祝いや結婚式の両親への贈り物として人気らしい。

        顎関節症その後

          リアリティ

          noteに映画のことを書くといつも悪口になるけど、今回もそう。 ということで、ご覧になっていない方は注意(ネタばれあり) 今回観たのは、 映画館で観ようと思っていたのだけど時間がとれなくてアマプラで観た。 結果的にアマプラでよかった。 というか、観なくてもよかった。 よかった点がないわけではなく、これまでのゴジラ映画のお約束というか様式美を踏襲していたのはとてもよかった。 ・水爆実験によって誕生した(と推測される) ・海から現れて大戸島を襲う ・「ゴジラ」という名前がす

          リアリティ

          基礎練習

          娘は絵を描くことが好きで、それを仕事にもしているのだけど、 「最近スランプで~」と話し始めた。 「正面とか後ろ姿は描けるけど、上から見下ろしたり、下から見上げる構図が壊滅的にダメ」と言う。 娘の言う「壊滅的にダメ」は一般人からすれば「どこが?」というレベルだけど、音楽然り芸術という分野においては満足という言葉がないので、どこまでいってもダメなものはダメなんだろう。 私は絵を描くこと自体が壊滅的にダメだけど、真上や真下からの構図は実際難しそうだと想像がつく。 「前も似たよう

          基礎練習

          HappyBirthday

          これまでお誕生日のお祝いは、必ず当日に家族全員でしてきた。 朝その人が出かける前までに起きてきて「お誕生日おめでとう」と言い、夜ケーキを買ってきて(もちろんプレートが乗っている)、ロウソクを立て、火をつけ、「Happybirthday to You」と歌い、ロウソクを消す。 残業があろうがなかろうが、彼氏がいようが彼女がいようが、家族優先。 今まで一度も欠かしたことがない。 そんな家族そろっての行事も、先日の娘の誕生日が最後。 娘は来月には引っ越していくし、何より新しい家族

          HappyBirthday

          メモ

          この4月、新入職者をふたりお迎えした。 メモの取り方を見ていると、その人がどのくらい仕事できるのか、なんとなくわかる。 メモが整然ときれいかどうかの話ではない。 その人にとってメモが使えるものかどうかといったことだ。 いままで一番仕事ができた人は、私の言うことを端からすべてメモしていた。百均の小さなメモ帳。ものすごく汚い字で、分類することもなく、ただひたすら順番に書いていた。その人のすごいのは、私が「前にも説明したかもしれませんが」と言うと、瞬時にそのページを開くことがで

          正直な拍手

          あるピアノ協奏曲のコンサートに行った。 一曲目、オーケストラの金管に厚みがあるのでピアノが埋もれてしまうことがあるのだけど、クライマックスでとうとうピアノがかき消されて、オーケストラの音しか聴こえなくなった。 盤上の熱演はまるでパントマイムのようで、ピアノの音は届いてこない。 オーケストラの気遣いが感じられず、少し独善的ですらあった。 そうこうしているうちに演奏が終わった。 最後はともかく、カデンツァは素晴らしいものだったし、私は精一杯の拍手を贈った。 でも、隣に座っていた

          正直な拍手

          こどものための

          レッスンに通い始めた最初のころ、先生が平吉毅州の「想い出」を聴かせてくださった。 とても美しい小品で、聴きながらセンチメンタルな気分になったことを覚えている。田舎の一本道の夕暮れ、友達と遊び足りないような、早く家に帰りたいような、遠い日の想い出。 情景がありありと浮かぶ演奏に、先生ってすごいなぁと思うと同時に、いつか絶対この曲を弾いてみたい、と密かに誓った。 今の自分よりもう少し上の実力で弾けそうな曲をよく検索するのだけど、初級~中級くらいの子供のための曲に佳品がとても多

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          隠れ家的医院

          今月のはじめ、突然音が二重に聞こえるようになった。 片耳ずつだと普通に聞こえるけど、両耳だとほんのちょっとずれて聞こえる。そのまま症状が固定してしまうのが一番怖いのですぐに耳鼻科受診した。 ところが、聴力の検査では問題なく、鼓膜にも問題がなく、他に検査してもこれといって悪いところがない。 少年のように快活ではきはきした女医さんが「花粉症でしょう」と言う。 いや、鼻も詰まってないし、目も痒くないし、花粉症の症状は皆無だ。 仮にそうだとしても、なぜ花粉症で音が二重に聞こえるのか、

          隠れ家的医院

          新しい縁

          近々結婚する娘とそのお相手は、「今どき」の人だ。 結納はなし(婚約指輪はもらっていた) 結婚式はしない。 いわゆる新婚旅行には行かない。 子どもはもうけない。 家計費は完全に折半で、お互いの収入は(ぼんやりとしか)知らない。 食事は作らない。 娘が「(いろいろ手続きが面倒くさいから)名前を変えたくない」と言えば、「じゃぁ自分が変えてもいい」とお相手が言ってくれたらしい、秒で。 他にも既成概念にとらわれない、よくいえば柔軟な考えの人だ。 先日、結婚指輪のお直しが終わって、そ

          新しい縁

          短いおはなし

          リヒナーの「短いおはなし」という曲に取り組み始めて早2か月。 あと1,2回でOKいただけるかなーというところまできた。 練習曲だと、わたしのぶすくれ具合(この曲好きじゃないオーラをわりとわかりやすく出してしまう)で先生も大目に見てくださることもあるかもだけど、この曲は最初に「じっくりやりましょう」と宣言されて、実際に細かく教えていただいている。 どんなニュアンスで弾きたいのか。 そのためにどうすればいいのか。 こんなに短い曲なのに、きちんと「仕上げる」ということの大変さを身

          短いおはなし

          恥の閾値

          ストリートピアノでワルトシュタインを弾いている人がいた。 でも、それがワルトシュタインだとわかるまでに、ものすごく時間がかかった。 たどたどしいというほどではないけれど、流れが切れていて、しばらくは現代曲かと思うほどだった。 でも、演奏は堂々としていた。 堂々と大きな音を出し、堂々と間違えていた。 その場の微妙な空気に負けていなかった。 何より楽しそうだった。 楽しそうに全身で弾いていた。 共感性羞恥でこちらがやられそうになって、最後までは聴けなかった。 単純に、すごい

          恥の閾値

          遠くの国

          昨年の今ごろは大河ドラマからリタイアしていた。 鎌倉殿に没入しすぎて期待値が上がり切っていたところに来た家康。 すでに3話目くらいから見続けようという気持ちが萎えていて、えびすくいをシラーっとした気持ちで眺めるうち、今年はもういいか、となった。 そこから10か月。 ややクールダウンして変に期待していなかったから、とは思わないが、今年の大河ドラマは面白い。 毎回45分があっという間だ。 短い予告に描かれるさらなる悲劇に慄きながら一週間を待つ。 来週が待ち遠しい、というのは健やか

          遠くの国

          ひとの時間

          先生の教えてくださったことがするする流れていって、私に何も定着しなかったら、それは先生の時間を無駄に使ったことになるのか。 今まで考えもしなかったし、そんなに深くとらわれているわけではないけど、無防備な心にすっと入ってきた考えがずっと居座り続けている。 ピアノは好きだし楽しいので、よっぽどのことがない限り辞めたりはしないし、先生もよっぽどのことがなければ断ることもないだろう。 先生が、レッスンの時間を無駄と思うかどうかは私の問題ではない。 そもそもそんなふうに考えることもお

          ひとの時間