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電車でタバコを吸う人に注意した高校生が大怪我を負わされたニュースを見て

中学から大学まで、僕は陸上競技部に入っていました。大学時代、陸上部のみんなで電車に乗っていた時のことです。

M先輩が「ちょっとついてきてくれん?」と僕とN先輩に声を掛けてきました。M先輩は僕らを隣の車両に連れて行こうとしているようで、その先は少し騒がしくなっていました。

行ってみると、座っているおじさんが隣の女性にひどく絡んでいました。かなり大きな声でイチャモンをつけ続けているようです。女性はとても困った顔をしながら、少し怯えているようにも見えました。
シートに空席はなく、立っている乗客もいたんですが、立っている人は皆その現場から離れていました。

僕は一目で全てを察しました。M先輩は一緒にいた仲間のうち1番大きい3人を選んでいたんです。ヒョロ高い高跳び選手2人とガッチリした10種競技選手。平均身長185cm超えです。

ジャージ姿の男3人でおじさんの目の前に吊革を持って立ちはだかりました。
真ん中に立ったM先輩がおじさんに声をかけます。
「あの〜…みんなが乗ってるところなんで、すいませんけどもう少し静かにしてもらえませんか…」「お父さんもイライラっとくることあったんでしょうけども…みなさんも困ってますんで…ここはなんとか…ね、、、」

おじさんは途端に挙動不審になり、言い訳と八つ当たりのオンパレードをM先輩に向けましたが、M先輩が同じ言葉を繰り返すうちにおじさんは徐々に戦意喪失。とうとうM先輩の言葉に黙り込んで小さくしぼんでしまいました。
僕はN先輩と共に何も言わずにただ立っていただけでした。
コトが済むと、僕たちは何事もなかったかのように元の車両に戻ってくだらない話に戻りました。

あの時、僕はてっきり堂々と仁王立ちして高圧的に振る舞うのかと思っていたんです。M先輩が丁寧に下手に出た時「え、うそ、そっち⁉︎やばくない⁉︎」と思ったんですが、「そっか、そんな感じでいけること、あるんだ」と変に納得したものでした。

高校生が正義感を持ってコトに当たったその勇気はとても賞賛に値すると思います。
ただ、難しい世の中ですね。
なんでも警察にお出まし願うことには昔から違和感が拭えません。もうちょっとお互いのやり取りだけでどうにかできないものか、と。それでもダメならお願いします。でも、いきなり最終兵器の登場はアニメ観てても特撮ヒーロー観てても面白くないですよね。
ただ、僕がこう思えるのは「俺はオヤジ狩りに遭うこともないだろうな」という変な自信みたいなものがあるからなんだろうな、とも思います。
「『使えるモノはなんでも使う』くらいの柔軟性がみんなにも自分にもあればいいのになあ」と、かったいかったい頭の自分が思ったりするんです。

痛ましい残念な事件でした。高校生の早い回復と、彼に明るい未来が訪れることを願って止みません。

電車内喫煙注意で傷害事件 被害者の高校生にはぜんそくの持病
NHKニュース

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