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Favorite Music (Now&Then) 【11】BLUEGRASS MUSIC HISTORY 4

 

 前回に続き、1970年代の代表的なブルーグラスバンドを紹介していきます。

4.ブルーグラス新時代の70年代・・・その2

 3つめは、「セルダム・シーン」です。このバンドについては、60年代で紹介した「カントリー・ジェントルマン」について触れなければなりません。カントリー・ジェントルマンは、ギターの「チャーリー・ウォーラー」、マンドリンの「ジョン・ダフィー」、バンジョーの「エディ・アドコック」とベースの「トム・グレイ」の4人で、当時としては極めてモダンで先進的(ジャズやフォークを取り入れたりして)なグループでしたが、70年代に入ると分裂してしまいます。

 カントリー・ジェントルマンというグループ名は、ギターのチャーリー・ウォーラーが引き継ぎ、エディ・アドコックは、カントリーバンドを結成します。そしてジョン・ダフィーとトム・グレイは、ギターに従来のブルーグラスとは一線を画した(クルーナー唱法的な)リードヴォーカルの「ジョン・スターリング」、美しい音色が特徴のバンジョー奏者の「ベン・エルドリッジ」、そしてフラット&スクラッグスの名ドブロプレイヤー、ジョシュ・グレイブスを彷彿とさせる「マイク・オールドリッジ」を迎え入れセルダムシーンを結成します。「セルダムシーン」とは、その名のとおり「めったに見られない」という意味で、5人のメンバーは各々が仕事を(本業?)を持っているため、皆の都合の良い時にしか演奏しないので、めったに見られないということだったのかなぁ等、と勝手に解釈したりしています。

 一方、チャーリー・ウォーラーが、引き継いだカントリー・ジェントルマンもメンバーチェンジを繰り返しながらも人気を保持し、70年代のブルーグラス・シーンでもしっかりと足跡を残しましたが、ここで、もう一つ、ジェントルマンとセルダム・シーンに関係するグループである「ニュー・シェイズ・オブ・グラス」に触れておきたいと思います。名バンジョープレイヤーの「ビル・エマーソン」、ギター&ヴォーカルの「クリフ・ウォルドロン」、ドブロの「マイク・オールドリッジ」が中心となり活躍したグループで(個人的には、クリフ・ウォルドロンのヴォーカルが結構好きだったんですが)、70年代に入り、ビル・エマーソンは、カントリージェントルマンへ、そして後任のバンジョープレイヤーのベン・エルドリッジとマイク・オールドリッジは、前述したとおりセルダム・シーンへと、両グループにとってもワシントンDCのブルーグラスシーンにとっても欠かせないグループなので紹介しておきます。


 さて、いよいよ4つめのバンドです。今まで紹介してきたグループは、どれも70年代を代表するグループですが、敢えて1グループだけ選ぶとしたらこのバンド「JDクロウ&ニューサウス」にとどめを刺すと思います。

 このグループについても少し補足させていただきたいと思います。まずは、リーダーのJDクロウですが、アール・スクラッグスの後継者とも言われたバンジョーの名手で、1950年代から「ジミー・マーティン&ザ・サニーサイド・マウンテンボーイズ」で活躍し、1960年代には自らのバンド「JDクロウ&ザ・ケンタッキー・マウンテンボーイズ」を結成します。メンバーは、ギター&ヴォーカルに「レッド・アレン」(デヴィッド・グリスマンの師匠格にあたるベテラン)、マンドリンに「ドイル・ローソン」(この人も、かなりの大物でJDクロウのバンド以外でもカントリー・ジェントルマンや自らが結成したクイック・シルバー等、常にオーセンティック・ブルーグラスのメインストリームを歩んだ人物)、そしてベースもフィドルも弾ける「ボビー・スローン」というメンバーで、トラッドなブルーグラスを展開していましたが、1970年代に入り、トニー・ライスの兄で注目の若手マンドリンプレイヤーである「ラリー・ライス」が加入し、ドイル・ローソンがギターに回ると、トラッドの中にもフライング・バリットの「シン・シティ」を取り上げる等、モダンなサウンドに変化させていきます。

 その後ドイル・ローソンがカントリー・ジェントルマンに移籍すると、ギター&ヴォーカルに「トニー・ライス」(この人については、簡単に紹介するのは難しいですが、敢えて言うとクラレンス・ホワイトの後継者と言われるリード・ギターリストであると同時にレスター・フラット譲りのリードヴォーカリストでもあり、トラッドなブルーグラスと並行しながらもデヴィッド・グリスマンのドーグミュージックやジャズやフュージョンを取り入れたソロ活動も展開した人物)を迎えると「JDクロウ&ニューサウス」という名前でドラムやスティールを入れたりと、更なるニューグラス的なアプローチに挑戦していくことになります。

 こうした試行錯誤の中、今度はライス兄弟の兄ラリー・ライスが、オールマン・ブラザースのツアーに参加する等で脱退してしまい、新生「JDクロウ&ニューサウス」として再出発するわけですが、このメンバーが伝説を作り出すことになりす。そのメンバーがJDクロウをリーダーに、ギター&ヴォーカルに前述の「トニー・ライス」、マンドリン&フィドルに「リッキー・スキャッグス」(この人も簡単に説明するのは困難ですが、ローティーンの頃から、既に天才とうたわれていた人でサム・ブッシュと双璧なマンドリン・フィドルの腕前に加え、ヴォーカリストとしても超一流で、後にカントリー歌手としても大成功を収め、自らのブルーグラスバンド「ケンタッキー・サンダース」でも活躍し続ける人物)、ドブロに「ジェリー・ダグラス」(この人も大変な人で、長きにわたりドブロ奏者の第1人者で後述する「アリソン・クラウス&ユニオンステーション」のメンバーであり、直近ではフラット&スクラッグスの全盛時代の完全コピーバンド、と言うより、完全憑依バンド、と言った方が的確な「ザ・アールズ・オブ・レイセクター」を組成し評判となっています)、そしてベースには、引き続きボビー・スローンという5人編成です。

 これだけの当代きってのメンバーが揃ったので、当然ながら楽器演奏、ヴォーカル、ハーモニーのどれをとっても最高水準のブルーグラスが展開されています。彼ら以降の若手ブルーグラッサーの大半は、このグループをお手本にしているのではないかと思うほど影響が大きいと感じています。しかしながら、このメンバーは、日本でのライヴアルバムを残してリッキー・スキャッグスは、自らのバンド「ブーン・クリーク」、トニー・ライスは、ソロアルバムをリリースしたり、「デヴィッド・グリスマン・クインテッド」へ参加する等で脱退してしまいます。

 飛車・角落ちとなった「ニューサウス」ですが、JDクロウは、後任にまたまた大物を呼んできます。ギター&ヴォーカルの「キース・ウィットリー」と、マンドリンの「ジミー・グッドロー」です。キース・ウィットリーは、10代でリッキー・スキャッグスとブルーグラスバンドを組み、共にラルフ・スタンレー&ザ・クリンチ・マウンテン・ボーイズのバンドにスカウトされた程の若手NO1とも言って良い、名ヴォーカリストです。後にリッキーに続きカントリー歌手として大成功しますが、残念ながら人気絶頂時にアルコールの過剰摂取によって早逝してしまいます。ジミー・グッドローは、サム・ブッシュ、リッキー・スキャッグスに次ぐ、マンドリン奏者で、70年代のカントリー・ジェントルマンや、キースと一緒に「ニュー・トラディッション」や「カントリー・ストア」という、グループで素晴らしい演奏を聴かせてくれています。

 という訳で、第2期ニューサウスも若干カントリー風味が濃くなったものの引き続き人気を博しました。


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1枚目、シティ・オブ・ニューオリンズやイーグルスの「今朝発つ列車」もやってます

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2枚目、大有名曲のハロー・メリー・ルーやってます

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ディズニーのチムチムチェリーからリトル・ジョージア・ローズへの流れが最高

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この2枚組ライヴは、ブルーグラスファンなら必聴です

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15周年ライヴ、リンダ・ロンシュタット、エミリー・ハリス等、豪華ゲスト満載

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20周年ライヴ、メンバーチェンジした歴代のメンバーが勢ぞろい

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個人的に好きなクリフ・ウォルドロン、1曲目にビージーズの「獄中の手紙」をやっていて学生時代の十八番の曲でした

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ラリー・ライスが加入し、ここからプレニューグラス路線スタート

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伝説的名盤。ジェリー・ダグラスは、まだ若手だったので一緒に写真を撮らせてくれなかったんですね

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キース・ウィットリーとジミー・グッドロー参加した、第2期ニューサウス

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第2期ニューサウスのライヴ・イン・ジャパン

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若かりし、キース・ウィットリーとリッキー・スキャッグス。その名もセカンド・ゼネレーション

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