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Favorite Music(Now&Then)【7】名バイプレイヤー クリス・ヒルマン、ハーブ・ペダーセン&バーニー・リードン

 昨今、俳優の世界では「バイプレイヤー」(脇役を意味する和製英語みたいです)が注目されていますが、ウェストコースト系カントリー・ロックについて語っていくと、主役ではないものの伝説的なバンドや名盤には、必ずと言って良いほどこの3人が関係していることがわかります。そこで今回はこの3人のソロアルバムを中心に特集してみようと思います。

 まず、3人の共通点ですが元々は「ブルーグラス・ミュージシャン」だと言うことです。クリス・ヒルマンは、バーズではベースを担当していましたが、ブルーグラスでは、フラットマンドリン・プレイヤーです。このクリスと特に相性の良いハーブ・ペダーセンは、ギターも弾きますが生粋のブルーグラスバンジョーの名手、そしてテナーヴォーカルとしてコーラスセンスは抜群ですし、バーニー・リードンもイーグルスでは、エレキ&アコースティック・ギター、バンジョー担当でしたが、1960年代前半は、バンジョー・プレイヤーとしてクリス・ヒルマンと同じ「スコッツ・ビル・スクウィーレル・バーカーズ」と言うブルーグラス・バンドで一緒にプレイしていました。このようにして3人の縁は、1960年代後半から90年代に至るまで30年以上も続いていくことになります。

 イーグルス世代の自分にとってはバーニー・リードンが弾く「テイク・イット・イージー」のバンジョーが強く印象に残り、その後もバーニーが在籍していたころのイーグルスへの愛着が強かったので脱退は残念でした。脱退後は、2枚のソロアルバム(と言っても1枚は、マイケル・ジョージアディスとの合作でしたが)とクリス・ヒルマンやアル・パーキンス(この人もバイプレイヤーの一人ですね)とブルーグラスのゴスペルアルバムをリリースしています。イーグルス参加前は、フライング・バリットブラザース、ディラード&クラーク(私的には、1枚目の名盤はバーニー・リードンがいなければ誕生していないので気持ち的には、ディラード、クラーク&リードンだと思っていますが)やスコッツ・ビル・スクウィーレル・バーカーズのメンバーだったラリー・マレイを中心に結成されたハーツ&フラワーズにも参加しています。

 次にクリス・ヒルマンですが、この人のバイプレイヤーとしての遍歴は、そのままカントリー系ウェストコースト・ロックの歴史とも言えます。ブルーグラスバンドのヒルメンから、

1 バーズのオリジナルメンバーとしてベースを担当

2 バーズをグラム・パーソンズと共にカントリー・ロック路線へ

3 グラム・パーソンズとフライング・バリット結成

4 スティーヴン・スティルスとマナサス結成

5 サウザー・ヒルマン・フューレイバンド結成

6 ソロアルバム「スリッピン・アウェイ」「クリア・セイリン」リリース

7 マッギン・クラーク&ヒルマン結成

8 ソロアルバム「モーニング・スカイ」「デザート・ローズ」リリース

9 ハーブ・ペダーセンとデザートローズバンド結成

10 デザートローズバンド、カントリーチャートNO1ヒットでブレーク

と、言ったところでしょうか。デザートローズバンドでの大成功でグラム・パーソンズとの遺志を継いだ形でのカントリー・ミュージックが花開いたと言えるかもしれません。

 最後は、ハーブ・ペダーセンです。この人もクリス・ヒルマンの盟友としてデザートローズバンドで成功しましたが、それまでの遍歴はクリス・ヒルマン以上のバイプレイヤーと言えるのかもわかりません。と言うのは、正式にグループに所属していないケースも数多く、サポートメンバーとしてこの人が1枚噛んでグッと良くなったアルバムや楽曲は枚挙に暇がないからなのですが、今回は抜粋して紹介します。最初は、やはりディラーズです。先程も出てきたディラード&クラーク結成のためダグ・ディラードが抜けたディラーズの後釜に入ったのがハーブ・ペダーセンで、参加した2枚のアルバムは、カントリー・ロック(ブルーグラス・ロック)の隠れ名盤とも言われています。そして次は、バーズ、フライング・バリット・ブラザース特集の際にも紹介し、たびたび登場してくるカントリーガゼットで、これも名盤の誉れ高いデビューアルバムとセカンドアルバムに参画します。その後は、ギター、バンジョーそして卓越したハーモニーヴォーカル等で、カントリーロックにブルーグラスに、さまざまなアーティストへのサポートを経てソロアルバムを3枚「サウスウェスト、サンドマン、ロンサムフィーリング」を発表、そしてクリス・ヒルマンのソロアルバムでのコンビネーションの良さがデザートローズバンドに繋がった訳ですね。因みにデザートローズバンド解散後は、自身のブルーグラスバンド「ローレル・キャニオン・ランブラーズ」を結成し、ソリッドかつモダンなブルーグラスを聴かせてくれました。

     

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イーグルスとは、一線を画したフォーク&AOR路線。

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2003年リリース。厳密にいうと唯一のソロアルバム。前作から27年ぶり。

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カントリー要素のあるフォーク・ロックに近いかな。

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左からバーニー・リードン、クリス・ヒルマン、アル・パーキンス。

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ファーストソロアルバム、アサイラムらしい音の好アルバム。

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2作目、ややロック色強くジャケットと違う印象。

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アコースティックへ原点回帰した個人的には好きなアルバム。

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プレデザート・ローズ・バンドと言った感じのソロアルバム。

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大ヒットしたデザート・ローズ・バンドのファーストアルバム。

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これも大ヒットしたセカンドアルバム。

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隠れ名盤のハーブ・ペダーセンのファーストソロ。

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セカンドアルバム。前作に続き、爽やか系カントリ・ーロック。

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サードアルバムは、アコースティック回帰。

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自らがリーダーとなったブルーグラスバンドのファーストアルバム。


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