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アメリカン・ミュージック・ヒストリー第6章(1950年代全般・・・その2)

*白人系ロカビリー&ロックン・ローラー

 エルヴィスを初めこの頃のサン・レコードは、ロカビリー歌手の宝庫でした。エルヴィスがメジャーレーベルRCAへ移籍した後、「ブルー・スウェード・シューズ」のミリオンヒットを飛ばしたカール・パーキンスは、ポップチャート2位、カントリーチャート1位、R&Bチャート2位といわゆる主要3部門チャートを制覇した初めてのアーティスト(エルヴィスだとばかり思っていましたが、ハートブレイク・ホテルは、1ヶ月後にポップ1位、カントリー1位、R&B3位)になりました。

 しかしながら私は、そもそもブルース・スウェード・シューズは、エルヴィスのオリジナルだと勘違いしていたのですが、ここでも歴史上の綾があったのを後から知りました。と言うのは、カール・パーキンスは、ブルー・スウェード・シューズが大ヒットし待望のテレビ出演を目前にして不運な交通事故に巻き込まれ瀕死の重傷を負ってしまいます。

 一番大切な時期にメディアに登場不可能になったカールに対し、エルヴィスのメディアでの大活躍は言うまでもないですね。しかもブルー・スウェード・シューズは、この間にエルヴィスのカバー・バージョンがヒットしたため、我々後追い世代はすっかりエルヴィスの曲だと思い込んでしまったのではないかと思います。カールは、不幸な事故がなかったらエルヴィスのライバルとして一世を風靡していたかもわかりませんね。しかしながら、カールの曲は、ビートルズがカバーした「マッチボックス、ハニー・ドント」やディキシー・フライドといった名曲があり、ジョン・レノンは、エルヴィスが、いなければビートルズは存在しないと言っていますが、ポール・マッカートニーは、カール・パーキンスが、いなければビートルズは、なかったと言っています。それだけこの2人はビートルズにとっても特別な存在だったということだと思います。

 この時代の他の白人ロックン・ローラーといえば、ジェリー・リー・ルイス、ジーン・ヴィンセント、ジョニー・バーネット、エディ・コクラン、バディ・ホリー等、キラ星のごとくですね。それと、この頃のロカビリー、ロックン・ロールブームは凄まじくカントリーの大物歌手のジョニー・キャッシュ、マーティ・ロビンス、ウェッブ・ピアスやポップスのパット・ブーンもリトル・リチャード、チャック・ベリー、ファッツ・ドミノ等をカバーするなど3部門入り乱れての打ち合いになっていました。

 
*黒人ロックン・ローラー

 ロックン・ロールに別名を与えるとすれば、それは「チャック・ベリー」だ。とジョン・レノンが言ったそうですが、細かい定義は別にして感覚的には良く分かります。それでもチャック・ベリーのデビューヒットの「メイベリーン」(1955年全米5位)は、ウェスタン・スィングのボブ・ウィルスがヒットさせた「アイダ・レッド」がベースとなっていると言われていて、この曲だけはカントリーっぽいR&B(ロカビリー)といった印象(私にはカントリーのマーティ・ロビンスのカバーの方がしっくりくるような気がします)がありますが、それ以降は、ジス・イズ・R&Rですね。

 そしてもう一人絶対忘れてはならない人が、リトル・リチャード。ピアノロックン・ロールの創始者といっても過言ではなく、ビートルズのポールの歌い方は、リトル・リチャードの影響をかなり受けていると思います。他に挙げなければならない人にボ・ディドリーとファッツ・ドミノがいます。先の二人ほど派手ではないですが、避けて通るわけにはいかない大物です。

 
*ドゥーワップ

 本来、リズム&ブルースやソウルのところで語るのが自然かも知れませんが、ロックン・ロール・ムーブメントという意味では切り分けて説明した方がわかりやすいと考え別項目にしました。

 ドゥーアップは、東海岸のニューヨーク、フィラデルフィア、西海岸のロサンゼルス周辺の都市が中心となり盛り上がりを見せましたが、リード・シンガーとコーラス隊の激しいコール&レスポンス等からみると、元来はヴァージニアから南部のゴスペル・コーラスが元祖なのかも知れません。

 以前お話しした1930年代のミルス・ブラザースやインク・スポッツ、そしてプラターズを経て1953年のドリフターズの「マネー・ハニー」辺りが、元祖ドゥーアップではないかと言われているようです。

 最初のロックン・ロールヒットのところでも出てきた「ジー」や「シュ・ブーム」を含め一部ですが名曲と言われているものをあげると、フランキー・ライモンの「恋は曲者」、デル・ヴァイキングス「カム・ゴー・ウィズ・ミー」、ボベッツ「ミスター・リー」、コースターズ「ヤケティ・ヤック、サーチン、チャーリー・ブラウン」、ドリフターズ「ディヤーズ・ゴー・マイ・ベイビー」、バラード系では、ペンギンズ「アース・エンジェル」、ムーングロウズ「シンシアリー」、そして極めつけは、ファイヴ・サテンズ「イン・ザ・スティル・オヴ・ザ・ナイト」です。

 ドゥーアップには、白人ドゥーアップもありますが60年代が全盛期なので次の項で紹介したいと思います。因みにドリフターズは、メンバー全員が交代し60年代はポップスバラード色(プラターズ的)が強くなっていきました。


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メジャーデビュー前のエルヴィス、カールパーキンス、ジョニーキャッシュ等、ロカビリーとは、サンレコードの音楽の事かも知れませんね

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クリエイターとしても良い曲が多いですね。

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言わずと知れた、ミスター・ロケンロール

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悪魔の音楽家から神に仕える牧師に転身しましたね

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ファッツと言えば、ウォーラーかドミノか?

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火の玉ロック、その名のとおり火の出るようなピアノでした

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ジョニー・バーネットは、後にロカバラード歌手になりましたが、デビュー当時のトリオのロックン・ロールは最高です

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この人が、もう少し長生きしてたらロックの歴史が変わっていたかも

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サマータイム・ブルース、カモン・エヴリバディ等、ハードロックバンドのカバーでもお馴染みですね

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DOO WOP BOX VOL.1、ドゥーアップの名曲は、ほとんど入ってます

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