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アメリカン・ミュージック・ヒストリー第2章(1890年代~1920年代中頃まで・・・その1)


2. アメリカンミュージック・ビギニングス(1920年代中頃まで)

  第2章からは、商業録音が始まったとされている1890年前後から、時代を下っていきたいと思います。

 老若男女、初めて音楽と出会った時代は様々ですが、音楽を聴いて感動したり衝撃を受けたりしたのは、共通しているのではないかと思います。

 最初の入り口は人それぞれですが、音楽の魔力にどっぷり漬かってしまうと次から次へといろいろな音楽を聴きたくなります。そして、気に入ったアーティストに出会うと、そのアーティストはどんな時代のどんなアーティストに影響を受けて音楽を志したのだろうか?を知りたくなり、今度はその影響を受けたといわれる音楽を聴いてみたくなります。こんな風にどんどん遡っていくと、最終的には世界中のルーツミュージックに辿り着いてしまうことになるかも知りませんね。


 それでは、まず初めに電気録音スタート以前の1890年前後~1920年代中頃までのアメリカ音楽に遡ってみたいと思います。

(1)ジャズの誕生
 ジャズ発祥の地は、ニューオリンズ。19世紀末から20世紀初頭にかけて派生した音楽と言われています。白人ブラスバンドでマーチ王と呼ばれたスーザの「星条旗よ 永遠なれ」は、聴いたことがあると思いますが、ジャズは南北戦争終結後、楽隊の兵士たちが故郷へ帰る際に大量の楽器を手放したため、安く出回った楽器を黒人たちが手に入れ、見よう見まねで使ったり、または、奴隷解放前までは特権的性格を持っていたクレオール(主にフランス、スペイン系白人と黒人のハーフで音楽等の教育も受けていた)から教わったりしながら発展したのではないかと言われています。ジャズは、今説明したブラスバンドとラグタイムとブルースの要素が影響しあって誕生したものと考えられています。ラグタイムと言えば映画「スティング」で使用されたスコット・ジョプリン作曲の「ジ・エンターテイナー」が頭に浮かぶ方も多いと思いますが、20世紀前後に大流行しクラッシック音楽(ドビッシーやサティ)にも影響を及ぼしたようです。ブルースについては、あらためて後述したいと思います。

*ジャズ録音の初めて
 ジャズは、フランス等ヨーロッパ音楽の要素もあるものの、やはり黒人によってニューオリンズと言う独特な文化の中で生み出された音楽だと思います。但し意外なことにジャズの最初の録音は1917年にニューオリンズの白人ジャズバンド「オリジナル・デキシーランド・ジャズ・バンド」によるものでした。ジャズ最初の大スターは黒人コルネット奏者の「バディ・ボールディン」でしたが、1906年頃を最後に病気で引退したため音源は残されていないようです。この当時黒人ミュージシャンは、真似されるのを嫌い録音しなかったため白人が最初になったようですね。
 その後「キング・オリバー」そしてお馴染みの「ルイ・アームストロング」の時代に入るわけですが、1917年に第1次世界大戦が勃発し、ニューオリンズは軍港となり歓楽街のストリーヴェルも閉鎖となってしまいました。そのため黒人ジャズメンは、カンザス・シティ、シカゴへと北上し、そしてニューヨークへと流れて行くようになりました。


 ジャズといえばトランペットやクラリネット等の管楽器も良いですが、ピアノも良いですね。先ほど触れたラグタイムピアノの創始者、スコット・ジョップリンのメープルリーフ・ラグ(1899年)の大ヒットによりラグタイムとそれに伴うケーク・ウォークと言うダンスが瞬く間に広がりましたが、ジャズピアノの最初の録音は、そのスコット・ジョップリンの影響を受けスライドピアノの父と言われているジェームス・P・ジョンソンで1921年のことです。ニューオリンズのストリーヴィルのバレルハウスで活躍していたジェリー・ロール・モートンだとばかり思っていましたが、録音ということになるとやはり大都市ニューヨークのピアニストの方が早いんですね。因みにジェリー・ロール・モートンは、シカゴに出てきてからなので録音は後になったようです。もう一つ、この時代に最初のジャズギターの名手と言われたエディ・ラングがいます。あのジャンゴ・ラインハルトやチャーリー・クリスチャンにも影響を与えた人として知る人ぞ知る存在なので一度聴いてみても良いと思います。


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