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感情的なマンスリーカプセル(無印ルーム)滞在譚


どうせ当たらないし、とりあえず申し込んどくか。オリジナルルームもいいけど無印ルーム、おしゃれそうだし。とめちゃくちゃ気軽な気持ちで、宝くじを買うくらいの気持ちでマンスリーカプセルに申し込んだ。

あっさり当選のメールが届いたときは「12万!どうしよう!当たっちゃった!」とちょっとだけ焦った。

後日マンスリー同期と話していたら皆「どうせ当たらないと思って…」と言っていた。そんなものか。いいね。

初日、仕事終わりにまっすぐカプセルに向かい、鍵を受け取る。入り口の正面に管理人がちゃんと座っていて、ホテルみたいだ~!とびっくりした。意外と厳重。夜中は施錠されるし。これもオートロックっていうのかな?
入ってすぐのエントランスに右手と左手、A棟とB棟に分かれてエレベーターが2基。右側に乗る。止まるときにすごい音と振動がして「もう部品がないんだよ、このエレベーター」という言葉を思い出してちょっと不安になった。
翌日も仕事だったし、お風呂に入れないので、鍵だけもらってその日はすぐに帰宅した。明日は懇親会だ、どんな人がいるかな~きっとみんな変わってんだろうな~とわくわくした。

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無印ルームはオリジナルとちがって作り付けのあの白い棚がなかった。無印の組み立て式ラックがドア横の壁一面にある。その向かいに、丸窓に頭をむけてシングルベッド。ふつうのシングルベッドよりちいさいんじゃないかしら。ちがうかも。
丸窓の下には小さめの木製スツールとその下には憧れのあの無印っぽい球体ライト。意外とまぶしくて夜寝る際につけることはなかった。いつつけるのが正しいのだろうか。
昔の冷蔵庫とエアコンがあった形跡だけはちゃんと残っていた。

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恐れていた水回り、意外ときれい。洗面の横の壁にチェーンでつながった錆びた金属の丸い蓋、なにかわからないけど壊したら嫌だから触らないでおこうと思っていたら、ふつうのコンセントだった。最初の3日くらい、洗面にコンセントがない!不便!と怒っていたけれど、ちゃんとあった。
これも最終日にわかったのだけれど、トイレの横にある謎の丸いお皿みたいなものは灰皿で、しかもそれを持ち上げるとダストシューターになっていたらしい。中を覗いてみたけどまっくらで、蜘蛛の巣みたいなものが見えたのでそっと戻して手を念入りに洗った。洗ったところで水がきれいなのかわかんないけど、と思いつつ。
鏡の横にシルバーのわっかがみっつ壁にくっついていてタオル掛けにしては不便だな~と思っていたら、本来ならプラスチックの受け皿がついていて、ものが置けたらしい。無印ルームは受け皿が跡形もないのでただのわっかの飾り。よく見たらタオル掛けはドアについていた。
一番ひやひやしていた水回り、意外と、お湯が出ないこと以外結構完璧じゃない?という気持ちになれて安心した。

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丸窓。無印ルームの窓は、外側のガラス窓しか残っていなかった。本来なら内側の開閉可能だった窓の代わりに丸窓にぴったりの特注ブラインドがついている。これはあかない。角度を変えることができるだけだった。
本当は開閉ができたらなににも遮られずに外が眺められるのに…と残念に思っていたけれど、オリジナルカプセルを借りている彼女が「オリジナルルームはカーテンしかないから、あけておくと中が丸見えになってしまう。だからあまりあけていられない。ブラインドがあれば目隠しになるから開けておいても大丈夫なのでよい」と言っていて、ああなるほど、と感心した。それぞれいいとこわるいとこ、いろいろある。たしかに人の眼を気にせずに済んだから一日中ブラインドを閉めることは一切なく、寝るときもあけてあった。ちょうどよい明るさが常に部屋にあってよかった。
「オリジナルルーム カーテン閉めたら 普通の部屋」という一句があるくらいだものね。一気にブラインド丸窓大賛成派になっちゃった。

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つづく