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Dear… 第九話「かくれんぼ」


プルルルル…




飛鳥)どうした?

美波📱)どうしたじゃないですよ!!大変じゃないですか?!


飛鳥)あ〜、まあね。


美波📱)どうするんですか?


飛鳥)どうするって言われてもねぇ〜…



美波📱)○○くんはどうなんですか?



飛鳥)…何もない。


美波📱)え?


飛鳥)電話しても繋がらないし、バイトも休んでるんだってよ。


美波📱)は…?



飛鳥)ん〜、逃げちゃったのかな〜?


美波📱)逃げたって…飛鳥さんはそれでいいんですか?!


飛鳥)ん〜、わかんない。あ、もう仕事行かなきゃだから切るね。じゃっ。


美波📱)あ、ちょっとまっ
ピッ!




飛鳥)、、、いいわけないでしょ…うぅ…



○○、どこに行ったの?


もう逃げないって言ったじゃん、、、




私の愛を受け取ってくれたじゃん、、、



飛鳥)○○、会いたいよ…



-----



○○)……。



なにもかも、失ってしまった。


撮られていたのは初デートの時。


公園で2人抱き合う姿を撮られていた。


あれからしばらく経ったのにこのタイミングで写真を世に出したのは、恐らく飛鳥さんの映画が公開されるからだろう。

原作が好評なのもあり、かなり期待されている。

そんな時にスキャンダルを出すことで、飛鳥さんを叩き落とそうとしてるのだ。


腹が立つ、こんな汚いやり方をする文春に。


でもそれ以上に、今こうして部屋に引きこもっている自分に腹が立つ。



---


○○)あぁ…あ…


真夏)○○、ちゃんと説明して。


○○ちち)そうだ、私たちは怒ったりなんてしないから、な?


○○)ご、ごめんなさい…!


真夏)○○っ!!



○○ちち)気づけなかった、あの子の変化に…。




真夏)実は、私は少しだけ気付いてたの。最近、なんだか明るくなったから、きっと何かあったんだろうなって…


○○ちち)なんでそれを言わなかったんだ…


真夏)だって、まさかこんな有名な人だとは思わなくて、、ごめんなさい…


○○ちち)今はとりあえず、○○をどうにかしないと。



真夏)○○…




---




ピンポーンッ!



○○)またか…


家には記者が毎日押しかける。

もう一週間以上経っているのに、一向に減らない。

そのせいでおかあさんもおとうさんも外に出ることができていない。


僕のせいで、何もかもがめちゃくちゃになってしまった。


携帯からなる電話は、きっと飛鳥さんからだろうか。

怖くて出れない。


飛鳥さん、きっと怒っているだろうな…


飛鳥さん…




あっ、

「わからないわよっ!!なにも、なんにもわからないわよっ!!あなたがずっと隠してるから、あなたがずっと逃げてるからっ!!」





また逃げたんだ、僕は…結局何も変わっていない。


嫌なことから逃げて、迷惑かけて…


○○)はは、その程度か…


僕はその程度の人間だ。


そうだ、逃げてしまおうか、こんな人生から。


今度こそいい親の元で生まれてまともな人間になればいい。


そうだ、そうしよう。




コンコンッ!


真夏)○○?


○○)おかあさん…


真夏)○○、開けてくれない?ちょっとお話ししよ?


○○)ごめんなさい…


今は1人させてくれ…。




○○ちち)○○、僕たちは今まで君に親らしいことをしけあげられなかった。だから、君の親として、親らしいことをしようと思う。

ふぅぅぅ…、



「いつまで逃げてるんだっ!!」



○○)っ!!


○○ちち)いつまで逃げるつもりだ!甘えるんじゃない!!君が逃げている間、あの子は1人で戦っているんだぞ!!

あの子も1人の女の子だ、抱えられるものは多くない。
だから、君が抱えてあげなきゃいけないんだろ!君が支えてあげなきゃいけないんだろ!!

私たちのことなんかどうでもいい。でも、あの子を守れるのは君しかいないんだぞ!!





おとうさんは、声を震わせながら僕を叱った。


扉越しに聞いたその声に、怒りと悲しみ、そして愛を感じた。


ガチャッ…


○○)とうさん、かあさん…


真夏)○○、行きなさい!あの子のために、あなた自身のために!!


○○ちち)ベランダの方から出れば記者は気づかないだろうから、いいね?


○○)はい、ありがとうございますっ、、!!


真夏)○○…ギュッ!

○○ちち)ギュッ!


2人は涙を流しながら僕を抱きしめてくれた。

それは紛れもなく、本物の愛だった。





○○ちち)さぁ、行ってこい!


○○)うん、行ってきます!



○○はベランダから外へ出た。




○○ちち)はぁぁぁ〜〜…緊張した〜…


真夏)あなた、かっこよかったわよ。


○○ちち)…似ているね、昔の僕に。


真夏)そうね、ほんとにそっくり…笑


○○ちち)さ、私たちは祈ろう、息子のために…


真夏)えぇ。


2人は手を握りしめあいながら、姿の見えなくなった○○を見つめた。




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○○)はぁ…はぁ…!!


飛鳥さん

飛鳥さん

飛鳥さん!!


飛鳥さんに会いたい

飛鳥さんに謝りたい

飛鳥さんに…



○○)はぁ…はぁ…くっそっ!



飛鳥さんのマンションの前にも記者で埋め尽くされていた。

これじゃあ飛鳥さんの部屋に入ることができない。



○○)どうすれば…!


??)何しにきたの。


○○)え?


美波)何しにきたのか聞いてるの!


梅澤さんは僕の胸ぐらを掴んだ。



○○)う、梅澤さん!


美波)今更何しにきたのよ!!今まで散々逃げてたのに、いきなりなんのつもりなの!!答えなさいよっ!!


○○)梅澤さん、僕決めたんですっ!!もう逃げません、飛鳥さんを守ります!絶対に逃げないって誓います!!





美波)それ、ほんとなのね?


○○)はいっ!


僕はまっすぐ梅澤さんを見つめた。


美波)…分かったわ。

梅澤さんは僕の胸ぐらから手を離した。


美波)いい?私が叫んだらあなたは走って。あいつらは私がなんとかするから。


○○)…ありがとうございます。


美波)礼はあと!いいわね?


○○)はい!



美波)ふふっ。すぅぅ〜〜……、こっちに齋藤飛鳥と男がいたわよ〜〜!!!


記者)なに?!行くぞ!


美波)さあ、はやく!!


○○)はいっ!


記者たちの波に逆らいながら、僕は走った。


飛鳥さん、今行きます…!





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飛鳥)……。


何もやる気が起きない。


あの報道なんてどうでもいい、それよりも私は○○に逃げられたことがショックだったようだ。

自分でも気づかないうちに、彼のことが大好きだったみたいだ。


飛鳥)弱虫…嘘つき…大嫌い、、っ!


飛鳥はうずくまって、うつむいた。




??)飛鳥さん。


飛鳥)……。


??)飛鳥さん、ごめんなさい。



飛鳥)…不法侵入なんだけど。



○○)飛鳥さん。ぼく、もう逃げません。絶対に逃げません。これからもずっと、一緒にいます。だから、



「僕と結婚してください。」





飛鳥)…やっと言ってくれた、、、笑


飛鳥さんは顔をあげて、涙でぐしゃぐしゃの顔で微笑んだ。



飛鳥)かくれんぼはもう終わり。これからは、逃げずに、隠さずに、私を愛して?



○○)…はい。


飛鳥)ふふ…よろしくお願いします。

2人は抱き合って、長いキスをした。





To be continued……

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