拾ってくれませんか?エピローグ
5年後
眞衣)はぁ…もうだめ…吐きそう…うぷっ…
○○と離れてから5年。私はもう30歳、三十路のおばさんだ。
1人寂しく飲んで酔っ払って、ふらふらした足取りで家へ帰る。誰もいない家へ。
○○が元の家へ帰ってから、私の暮らしは元へ戻った。
もうあの頃のようなキラキラした毎日はおくれない。
眞衣)こんなおばさん…誰も拾ってくれないよね…
私は、心のどこかで期待していたのかもしれない、
○○がまた私のところへ来てくれると。
立派な大人になって、私を拾ってくれると。
私は○○を忘れることができなかった。
中学生に恋をしてしまった。
でも、私のような大人が、彼の輝かしい未来を奪ってはいけない。
そうやって自分を押し殺した。
私のことを好きと言ってくれる後輩もいた。すごく嬉しかった。
だけど、心のどこかで、○○を求めていた。
眞衣)あっ、
ドサッ!
足を踏み外して、ゴミ袋の山に倒れてしまった。
眞衣)いっつ〜…はは、こんな女、拾ってくれるわけないか…はは…
??)…さん…眞衣さん!
眞衣)え…この声…
顔を上げると、あの頃より大人になった○○がいた。
○○)なにしてるんですか、こんなところで。
眞衣)嘘…なんで…
○○)ほら、起き上がって。
久しぶりに掴んだその手は、とても大きかった。
眞衣)○○、だよね?
○○)はい、お久しぶりです、眞衣さん。
眞衣)なんで…何でここにいるのがわかったの…
○○が帰ってすぐ、私は引っ越した。
それは、自分の心を切り替えるため、それから○○が私のところに戻って来ずに、幸せな人生を送ってくれるように…
○○)麻衣先生から聞きました。
眞衣)まいまい…そっか。和ちゃんとはうまくいってる?
○○)いえ、和とは付き合ってません。
眞衣)そうなんだ、じゃあ美空ちゃん?咲月ちゃん?
○○)いえ、誰とも付き合ってませんよ。
眞衣)え…
○○)あの時言ったじゃないですか、必ずまた会いに行くって。
あの日交わした約束。
もし、○○が立派な大人になってまた私のところに戻ってきたら、結婚をする。
冗談のつもりで言った言葉だった。
○○)僕、あの日からずっと、眞衣さんのことが好きです。
眞衣)○○…私、もう30歳よ?それに、こんなところで酔い潰れてるようなだらしない大人だし…
○○)そんなこと関係ないです。僕は、これからもずっと、眞衣さんと一緒に過ごしたいです。
眞衣)○○…私も好き。あなたのことが大好き。だから、
「拾ってくれませんか?」
○○)…はい!
これは、1人の少年を拾った私が、共に暮らして、恋をして、諦めていた夢を叶える話。
拾ってくれませんか? fin.
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