見出し画像

拾恋番外編 「トゥルーエンド」


エピローグから実に一年の時が経った。

眞衣と○○は同じ家に住み、あの時のような幸せな日々を送っていた。

そして、結婚式を目前に控えたある日。

○○📱)今日も後輩とご飯食べるから夜は要らない。

眞衣)今日も、か…


ここ最近、○○とは上手くいっていない。

2人とも働いているからお互い会えるのは夜だけ。

なのに、○○はいつも帰ってこない。

私が寝てる間に帰ってきて、私が寝てる間に仕事に出る。そんな日々が続いていた。

眞衣)もう飽きちゃったのかな、私に。

○○はまだ21歳、だけど私はもう31歳。

10個の年の差があれば、自然と冷めてくるのは当然なのかもしれない。

眞衣)結婚式、楽しみにしてるのに…

眞衣の目には涙が浮かんでいた。


-----


○○)はぁ…

後輩)俺また付き合わないといけないんですか?

○○)ごめんな、毎回毎回。

後輩)いや俺はいいんすけど、その奥さんは大丈夫なんですか?

僕はここ最近眞衣と会っていない。

結婚式を目前に控えた今、緊張して眞衣の顔を見れない。

○○)考えても見ろよ、6年間ずっと好きだった人と結婚して、花嫁姿を見ることになるんだぞ?緊張するだろ?

後輩)いや分かりますけど、でも会わないのはまずいですよ…

○○)僕だって会いたいけど、なんかこう、ね…

眞衣のことを好きだという気持ちは、ずっと変わっていない。

だからこそ、いざ花嫁姿を目の前にすることを考えると、居ても立っても居られないのだ。

後輩)今日は早めに切り上げて、奥さんに会いに行きましょ?同棲してるのに会わないとかあり得ないですよ?

○○)わかってるよ、はぁ…

結婚式、楽しみなのに…


-----


眞衣📱)それでさ、私どうすればいいかなって…

未央奈📱)○○くんがまいちゅんに飽きるなんてあり得ないって!だって5年越しにプロポーズして来た人だよ?絶対なにかあるんだって。例えば、緊張して顔見れないとか!


眞衣📱)本当にそうなのかな…だって、私と○○は10歳も離れてるし、私みたいなおばさんよりも若い子の方が好きになっちゃったとか…

未央奈📱)もし○○くんがそんな子だったら今頃とっくに和ちゃんとかと付き合ってるでしょ?それをしなかったってことはまいちゅんのことちゃんと好きな証拠じゃん!

眞衣📱)それは、そうかもしれないけど…

未央奈📱)とりあえず、ちゃんと話し合ってみな?

眞衣📱)うん、ありがと…

ピッ!📱

眞衣)話し合う、か…

話し合って、振られてしまうのが怖い。

今の私から○○がいなくなったら、何が残るというのだろう。

若い子に弄ばれた、みっともないただのおばさんだ。

眞衣)よし…


眞衣は一枚の紙を残して、出て行った。

「ちょっと、考える時間をください。」


-----


○○)じゃ、ありがとな。

後輩)ちゃんと話し合うんですよ?

○○)うん。

後輩に悩みを聞いてもらって、少しスッキリした。

緊張するけど、ちゃんと話し合ってみようと思う。

○○)ただいま〜…

……。

返事がない。

○○)また寝ちゃったのかな…

寝室の扉を開ける。

○○)眞衣〜、帰って来たよ〜…

……。

反応がない。

○○)え…

嫌な予感がした。

その時、テーブルに置いてあった一枚の紙を見つけた。

「ちょっと、考える時間をください。」

○○)眞衣っ!!

僕はカバンを放り投げ、外へ出た。

○○)僕のせいだ、僕が!

僕が眞衣を不安にさせてしまった。そのせいで眞衣は出ていってしまった。

○○)眞衣、どこだ…どこに!

僕から眞衣がいなくなったら、何が残るんだ。

和や他の人からの好意を無下にして、眞衣まで失ったらただの最低男だ。

○○)眞衣、どこなんだ…

○○の目には涙が浮かんでいた。


-----


眞衣)はぁ…

出ていってしまった。

今になって後悔してる、こんなことするんじゃなかった。

眞衣)結局、既読にもならないし、やっぱり私のことなんてもう…


30分前に送ったラインも、帰ってこない。このまま終わってしまうのか。

眞衣)逃げずにちゃんと話し合えばよかったのに、私って弱いな〜グスッ

この場所、ここから全てが始まった。


-----


眞衣)あの〜、大丈夫ですか?


○○)僕を拾ってくれません…か?

---

眞衣)○○くん、これからは私の家に住んでいいから。何もしなくていい、ただここにいてくれるだけでいいから。今はとにかく、休みなさい。


○○)うぅ…眞衣さん…

---

眞衣)はい、じゃあもっと寄って〜、パシャッ!📸


○○)どう?

眞衣)うん、我ながらいい感じ!じゃ〜ん!

○○)け、結構近かったね…///

---

眞衣)部活楽しかった?


○○)うん!

眞衣)そう、よかったわね。じゃあ帰ろっか!

○○)うん!ギュッ!

---

○○)やった…じゃあ最後に、ちょっとだけわがまま言ってもいい?

眞衣)うん、いいよ。

○○)じゃあ、ギュ~!

眞衣)っ…///


○○)眞衣さん、大好き!!

眞衣)私も、大好きだよ。ギュ~!

---

○○)僕、あの日からずっと、眞衣さんのことが好きです。

眞衣)○○…私、もう30歳よ?それに、こんなところで酔い潰れてるようなだらしない大人だし…

○○)そんなこと関係ないです。僕は、これからもずっと、眞衣さんと一緒に過ごしたいです。

眞衣)○○…私も好き。あなたのことが大好き。だから、


「拾ってくれませんか?」

○○)…はい!


-----


眞衣)もう、終わりなのかな…○○。

??)眞衣っ!!

眞衣)え…?

○○)眞衣!!ギュッ!

眞衣)○○…?

○○)ごめん、僕が悪かった。緊張してたんだ、眞衣と結婚するってなって、本当に僕は立派に夫になれるのか、本当に眞衣を守れるのか不安だったんだ!

眞衣)そう、だったんだ…

なんだ、未央奈の言ってたこと、本当だったんだ。

眞衣)私の方こそ、ごめんなさい。勝手に勘違いして出ていっちゃって…ちゃんと話し合いたかったのに、私が弱いから…。

○○)僕、ちゃんと決めたから!どんなことがあっても、絶対に眞衣を守るって!ずっと眞衣を愛し続けるって!だから、改めて言わせてほしい。眞衣、

「僕と結婚してください。」

眞衣)……はい!



-----


カーン、カーン🔔

真夏)うぅ…おめでとう…

彩)先生泣きすぎです笑


真夏)だってぇ〜…

アルノ)ひゅ〜ひゅ〜!

姫奈)これ食べれるの?

瑛紗)だから出てるんでしょうが、愚か者め…


日奈子)○○くんおめでとう〜!!

蘭世)ちょっと声が大きいよ笑


日奈子)だってめでたいじゃん!

麻衣)いいじゃないの笑

蘭世)校長?!


奈央)綺麗ですね、お2人とも。


茉央)いいな〜。


いろは)ね、なんだか羨ましい。


和)やっとだね笑


美空)ほんとに、手のかかるカップルなんだから笑


咲月)でも良かったね、ほんとに。


未央奈)まいちゅん、綺麗〜…

△△)僕たちもこんなに綺麗になれますかね?

未央奈)当たり前でしょ!てか、早くプロポーズしろっての!


△△)まだ準備が…

未央奈)好きに準備もくそもないでしょうが!

○○)みんな祝ってくれてるね笑

眞衣)うん笑


神父)それでは、誓いのキスを…

○○)眞衣。

眞衣)○○。

チュッ!

結婚をして、幸せに暮らす。

そんな夢は社会に出て一年で消えた。

いい人がいない、そんなことを言い聞かせて自分を騙し続けた。

でも、この子との出会いで、私は変われた。

あの時拾ったのは1人の少年ではなく、永遠の愛のつぼみを持った、たった1人のかけがえのない少年だった。

長い時間をかけ、芽を出し草を生やし、花が咲いた。

この花は永遠に枯れることはないだろう、私と君がいる限り。

司会)それではブーケトスをお願いします!

眞衣)いくよ〜〜、えいっ!!

和)絶対取る!

美空)負けないよ〜!

咲月)私こそ!

茉央)いろは、私たちも!

いろは)うん!

彩)私が取るもん!

奈央)負けません!

ギュッ!

7人)え?!

7人の手には、眞衣が投げた花束が握られていた。

眞衣)みんなで取ったんだ笑

○○)なんだそれ笑

あはははは笑笑🤣

会場中が笑いで包まれた。

カメラマン)それじゃ行きますよ〜!はい、チーズっ!

パシャッ!📸


写真には、幸せそうに微笑む○○と眞衣、そしてそんな2人を祝福するように笑みを浮かべるみんなの姿があった。

それではみなさん、また会う日まで。

拾恋 fin.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?