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拾ってくれませんか? 四話


○○)…

眞衣)…

2人無言の状態が続く。

両親と妹、そのどちらも失った○○くんの悲しみは計り知れない物だろう。

なんて言葉をかければいいか分からない。

自分の無力さを恨んだ。

1人の子供にこんなに悲しい思いをさせる現実を恨んだ。

でもいくら私が恨んだってこの子が報われるわけではない。

私にはなにができるのだろう。

どうすればこの子は報われるのだろう。

そんなことを考えていると、目的のショッピングモールへ着いていた。

眞衣)○○くん、着いたよ。行こっか。

○○)はい…

やっぱり行ける状態じゃないか。

眞衣)○○くん、ちょっといい?

○○)なんですか?

眞衣)両親と妹さんのことは本当になんて言葉をかければいいか分からない。きっと私はあなたの悲しみを分かることはできない。でもね、私は○○くんの味方、これだけは自信を持って言える。
例えどんな現実があなたを襲おうと、どんな人があなたを傷つけようと、私は絶対にあなたを離したりしないから。だからあなたはとにかく自分のことを大事にして。私にできることはなんでもするから、いつでも私を頼って?


○○)うぅ…ありがとうございます…。

眞衣)よしよし、よくがんばったね。必ず私が幸せにするからね。

○○)うわぁぁぁぁん!

眞衣)ギュッ!大丈夫大丈夫、もう大丈夫だよ。

○○くんは今まで溜めていたものを流し出すかのように、泣いた。


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○○)もう大丈夫です。ありがとうございました。

眞衣)どういたしまして。


あれから僕はどれほど泣いただろう。

彩がいなくなって、僕の周りの何もかもがなくなった。

そんなボロボロのぼくを眞衣さんはただひたすら慰めてくれた。

真夏先生だって協力してくれた。

人の優しさに触れて、冷え切った心に少し温もりができた。

眞衣)よし!じゃあ、気持ち切り替えて行こっか!

○○)はい。

眞衣)うーん、えい!

眞衣さんは急に僕のほっぺをぐりぐりしてきた。

○○)うわ!にゃししゅるんでしゅか〜

眞衣)○○くんが元気になるマッサージ!

○○)にゃんでしゅかしょれ〜ふふっ

眞衣)やっと笑ってくれた!可愛い笑顔だね!

○○)僕なんて可愛くないですよ。

眞衣)私からするとすごく可愛いのよ。まあもうおばさんだしさ笑

○○)全然おばさんじゃないですよ!眞衣さんの方が可愛いですし!

眞衣)ほんとに?嬉しいなぁ、ありがとね!あ、それから、敬語は禁止!


○○)なんでですか?

眞衣)だってそれじゃ家族っぽくないでしょ?○○くんのお母さんみたいな人にはなれないけど、一緒に暮らすんだし、私のことはお母さんと思ってくれていいから。だから敬語は禁止。わかった?

○○)はい、あ、うん。

眞衣)はい、よくできました!よし、じゃあレッツゴー!


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○母)○○、彩!着いたよ!

彩)やったー!


○○)早く行こ〜!

○母)よし、じゃあレッツゴー!


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そう言って微笑む眞衣さんは、母さんとよく似ていた。

眞衣)○○くん?大丈夫?

○○)あぁ、ちょっと懐かしくなっちゃって…

眞衣)家族でよくきてたの?

○○)うん、ここでよく買い物してた。

眞衣)じゃあ別の場所にする?思い出しちゃうでしょ?

○○)ううん、大丈夫。眞衣さんがいるから。

眞衣)…そう、ならよかった。


○○)なんで泣いてるの?

眞衣)え?あ、ほんとだ笑、○○くんが頼ってくれて嬉しかったみたい。ほら、行くよ!

そう言う眞衣さんはとても嬉しそうだった。


to be continued……

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