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海上牧雲記〜Part16

第51話 皇帝暗殺計画

徳から
"頭の悪い凡庸な者どもの狡賢さと醜さと無用ぶり"
を教わった笙殿下は、さっそく得たばかりの能力で臣下らの腹の内を暴露してみたら
想像を超えた真っ黒ぶりに
唖然

ぴーしゃはショックのあまり政を放り出し、寝殿にお籠りになられてしまったーーー
徳の指摘した通りだったのである。

一人ずつ白状させたらこれまた積年の腐敗ぶりに
朝臣はほとんど全員が告白したのち自害か死罪
口でどー言おうと笙殿下の魔法の前ではムダなあがきで
屍の山
この展開が面白すぎて大好き。

今まで自分が周りの人間から蔑まれ、疎まれる存在だったが
周りの方が驚くほどのゲスっぷりで
何だかスッカリ憑き物が落ちた風情の笙殿下

あんな外道たちの私欲だけのために、母親と盼兮を殺され、今初めて徳が憤ってここを訪れ、諭してくれた意味を知る。
回想シーンまで入れてもらえて嬉しかった💕💕💕
"腹の中まで相手の考えがわかったら
ゾッとするほど人というものは身勝手で醜いもの"ーーー

あの日徳が言っていたことが
理解できる

初めて
父帝は心底笙殿下の母を臣下の唆しで殺してしまったことを後悔し
息子と親子らしい心の触れ合いを持つ
しかしーーー

皇帝から不興を買い
不正は全て吐かされ
科に応じて投獄、流刑、または死罪、おべっかは無意味
明日首と胴体が離れてもおかしくないピンチ
追い詰められた重臣たちは考えた
"二人を抹殺すれば自分たちは安泰"とーーー

ある日
盛大にやらかしてしまい
ぴーしゃと同じく屋敷にお籠り中だった孤松大人が九州客桟を訪れた
宴会の招待状が来たからである

さて
ここで孤松大人の随従を玉豊がからかうが
この随従さんはーーー

王詩嘉さんというエキストラ要員。エキストラ要員というのは、撮影所に所属し働いている、いわゆる社員の俳優さん。
エキストラなためとにかく何役もこなす。

あるときは太監

あるときは金瓜衛

またあるときは皇宮の侍従連

はたまたある時は穆如軍兵士、瀚州人など、とにかくその他大勢が画面に必要なときは様々な格好でフルタイム撮影に参加している、縁の下の力持ちだ。

暁晨、黄軒と。恐らく11話の、二人が初めて会ったシーンの撮影時。

孤松大人が宴会場に入ると
ウラミを持った同僚に絡まれ
乱闘に。
ここも大好きなシーンだ

目の前で孤松大人たちがどったんばったんレスリングを演じているなか
薛大人が百戦錬磨の老狸ぶりで料理の解説を

オーナーの徳自ら監修した客桟の料理は
かつての見た目ばかり豪華なものとはうって変わり
素材独自の風味を活かした粋なもの
鴨肉は青梅のタレをつけてしつこい脂を消すしかけ
料理の小鉢や汁椀も
日本のものを真似たものとなっている

薛大人たちが皇帝を殺っちゃえばいいんじゃないなんて不穏なことを話していたので
玉豊は慌てて欒パパに報告に
そのさい徳の居室前の廊下を通ったため
徳に捕まった

ジッと座したままほとんど動かず
①呼び止める
②報告内容を先取り
③再び呼び止め
④宴会場の部屋を聞く

とにかくホレボレーーー

パパの居室。
パパの居室の向かい側が徳の部屋で、更に隣りの棟が宴会場。

パパより先に薛大人たちの元へ赴き、ヤバいことを涼しい顔で言ってのける。

ぎくっとした孤松大人、トボケてみせた薛大人。

そして歴戦の、海千山千の薛大人たちを前にこの太々しい表情
あのはにかんだ笑みが可愛かったアイドルの子がなぜこんな表情をする曲者俳優になったのか

そしてなぜ
こうまで優雅で美しい所作で演じられるようになったのかーーー
特殊な角度からのわざわざのカットに感謝しきり。

サラッと嘘を
たんにパパに無断で独断で先手を打っただけ←涙涙の頬びんたの後でも懲りてない点にご注目

宛州商会より皇帝暗殺に最適の商品をご紹介します!
その剣は三つの刃を持ち
一つめの刃で牧雲を
二つめの刃で穆如を

そして三つめの刃で瑞朝の秩序をめちゃくちゃに破壊する
最強兵器です!

穆如寒江1人で皇帝も殺し
両家の血盟も壊し
両家が独占していた瑞朝の朝廷を更地から創設し直すーーー
そのお手伝いという名の唆し
徳の目的はいったい何なのか?

とはいえ自らの手を汚したくない薛大人たちにとっては大歓迎
いやはや
会長の提案はみごと
客桟の料理もみごとですな
見事でないことがおありで?

ありません
私が何かやるからには
最高の結果を齎せなければ
損はさせません!!✨✨✨

先手を打った徳とは違い
遅れをとった欒パパ
ーーーというか
あれだけ笙殿下を殺して来いとハッパをかけたのに
徳にとんとその気がなくほったらかしていた間に
もうぴーしゃを亡きものにしちゃったらいいじゃん、という感じになってしまった

とはいえ笙殿下のいらっしゃる未平斎は毎日刺客が押し寄せ
長年側に置いていた侍女に襲われるわ屋根から忍者みたいのが降ってくるわ大変な騒ぎ
このピンクのお召し物もすてき💕💕💕

そんな殿下を身を挺して護っているのが虞心忌!
廊下での死闘は語り草
初放映時、主役ばりの活躍に皆沸いたのなんの。

徳も笙殿下も、どちらかと言うとお姫様のような存在なのがいいの💕💕💕笙殿下は虞心忌に、徳は蘭鈺儿に守られている。

徳が薛大人たちにレンタルした品物の名称を木原さんから聞いたパパは唸る

心血を注ぎ手塩にかけ鍛え上げた息子は
予想を遥かに超えた逸材に
パパでさえ舌を巻くようなーーー

息子のせいで"どさくさ"が生まれるのなら
手を拱いてはいられない
椅子取りゲームの準備をしなければ

まるでタイミングを測っていたかのように
がらっと戸が開き
絶頂聡明な件の息子が現れる

"父上
やっと帰って下さるとご決心いただき
小躍りして駆けつけました
いざ、という時のために用意しておいた通行証です!
これさえあればどの関門も迅速スルー!"


あからさますぎでしたか
まあいいですよ
父上がご自分で今から手配されても

けれどもぴーしゃが殺されたとなれば
ヨーイドンで叔父君たちも出発することでしょうから
速いに越したことはないと思われますがーーー

賢い息子を持つことを夢見ていたが
賢すぎる息子を持つことは想定していなかった
喜ぶべきなのだろうが時々ビミョーな気分になる

父上もさることながら
母上の聡明さも私の血の中に
くれぐれも気づかれぬよう

しかし徳は覚悟があったのだろうか
ママンの末路にーーー
徳自身のママンに対する愛情はどのくらいあったのだろうか
張瑶さんとの母子のツーショットが是非欲しかった

ふいにパパが
"徳儿"と
呼ばれた自分の名に
驚き固まる徳

これから都は乱れる
何が起こるか分からない
今日を区切りに
パパは伝えておこうと思った
初めて
思惑無しにーーー

パパは徳のことをいつも"你"としか呼ばなかった

"あのとき"ーーー
わざとパパはひどいやり方で徳を突き放した
必死でことにあたるように
まだ思春期の
健気な思いでパパに好いてもらいたいと切望していた徳を

宛州の鄴王府から辺鄙な隠れ里珪璃谷へ舟で向かうありし日の親子。
側室腹の兄や弟からなぜ自分だけが家族と離され、今から何をしに行くのか、不安に思い不満に思っている
この頃の徳はまだ見識も浅く
パパが治める地方に王として封してもらい
パパの手助けをし、認めてもらう
その程度しか考えていなかった

この世は全て金
金さえあれば大抵のことが可能になるーーー
パパはかつて太子だった
何の不自由もなく
すんなり皇帝になれると思っていたが
臣下らに陥れられ
惨めな思いをした
以来ありとあらゆる手を尽くし
奪われたものを奪い返そうと企んでいる
その苦い経験から出る言葉は全て教訓だ

しかし絶頂聡明で抜かりのない徳は納得しない
"なぜ自分なのか"
に拘る

兄弟たちとパパがどのように接していたかは描かれない
何とも言えないが
徳が思い込み
そうとしか考えられないほどになっていたのは確かだろう
なぜ?
なぜ?
なぜ自分だけが?ーーー

欒パパは、頑なに自分は愛されていないと決めつけ、耳を貸そうとはしない徳に、無駄とは思いながらも一応、そのまま伝える。
またその伝えかたが唄うような調子なものだから嘘くさく聞こえ、その度に徳は嘘つけ、と口先だけだと思ってしまうのだった。

しかし、パパは恐らく預けた翌朝には、もう姿はなかった。
叔父夫妻の前で
徳は呆然とするしかなかった

何が"一番可愛いと思う"

餞の言葉も抱擁も無しにさっさと帰ってしまうなんて

捨てたのだ
こんな辺鄙な場所で何が出来ると?
もう目にすることも厭になって捨てに来たのだ
やはりーーー

しかし今ならわかる
わざわざパパは谷まで送って下さった
見るのも厭ならばそんなことはしないだろう
そしてきっと去る前の晩には
義父と叔父夫妻に
私を預ける真の意図を話したはずーーー

父上がつけて下さった叔父夫妻は厄介者を押し付けるような人間ではなかった
非常に素晴らしい人物だった
それまでの自分の見識がいかに狭かったかーーー

今の自分が在るのは
紛れもなく父上のおかげ

これは本当に本当の徳の気持ちだ
父を超える力と金
そして能力
それらは珪璃谷での経験無しではきっと持てなかったものだ

欒パパは火灯子で炭に火を点ける。
火を点けたのは自分…、
三人の息子たちの中で徳に注目し
鍛え修めさせるために谷へ送った
当初の思惑を遥かに超え成長した息子は
今や自分さえも超えて
野望を燃やしているーーー

反発し、自分は一番嫌われていると卑下し、それをバネにし奮起した。
自分こそ優れている素晴らしい息子だと言って貰うのだと励んだ
一流の作法
一流の話術
一流のものたちに囲まれ
この世は金さえあれば何でも手に入り
パパの言ったとおり
金さえあれば天下とて思いのまま動かせることも知った

凡庸な兄弟たちは
"金に困らない生活をして過ごしている"というだけ
パパの悲願の手助けをできるのは自分だけ
そう、、、

何をやっても厳しくひどい仕打ちが待っていた
出口の見えない
性質(たち)の悪い迷路にいる心地だった
自分だけが虐げられているのだとーーー

二年間で徳も成長した
焦がれていた父の愛を得
自分だけを愛してくれる存在を得て…

それはそれは辛い日々だった
望む形でなくとも
父の愛は存在したのだ

もう父の機嫌を取ることも
顔色を窺うことも
命令に従うこともしない
父上
もう今までのような方法では
貴方は私を操れない

"徳儿よ
お前は天下に比類なき才能を持っている
誇りに思うぞ
私の息子よ"ーーー

そんな言葉がほしくてたまらず
どれだけ努力し悔し涙を出したか分からない
皮肉にも
愛を知ったとき
"息子にはなりたくなさそうだ"
と言われるとはーーー

"何を仰います
貴方の目の前にいるのは
息子です
最も目をかけている"ーーー

"敵"ーーー

徳はここで
先程から作っていた香篆の型を抜く

敵となり
父を凌駕する存在となったとしても
丹精込め育てられた自分は
"息子"なのです

その形は
父上が思ったものとは違っていますか?

父上は間もなく宛州へ帰られる
いろいろ準備でお疲れでしょう
成長した徳儿がお手伝いできることはもう終わりです

では、これにてーーー

"等等"

"都はじきに屍が転がる戦場となるだろう
お前も共に宛州に"

"私の役目は終わりました
今よりは自分のために自分のしたいことをする
それを阻もうと?"

"どんなにお前が絶頂聡明だろうと
その体は人並みなのだ
何かあったらと心配でならぬ"

ーーーよくもそんな心にもないことを
私の身が心配?
なら家族パーティーのときは?
そしてこの間のことは何だったのです?
もう騙されませんよ
父上は私の身など案じてはいないはず


私は父上のため奔走しました
何なら
あの14の時から今日この日解放されるために
全ての時間と心血を父上に捧げたと言ってもいい
私が父上を超えたのがそんなに怖しいというのですか
貴方が仕向けておいて?

父上
徳儿はもう
父上の駒としていい様に使われるのは御免なのです
私を一番有能な息子だと認めて下さった
徳儿はそれを感じることができ感無量です

そのお言葉が真実だろうと偽りだろうと
今度ばかりはお許しを
私が描いた夢が実現するのを
阻むことはご遠慮ください

半生を父上に捧げました
どうかお見逃しを

ついに自分の手を離した"愛息"
しかし
愛息であろうと大業を邪魔するのであれば容赦はできない

ーーー"やはりそちの野望とやらは
ワシの地位を掠め取ろうというやつか
ワシのためと言い
ワシのために動きながら
その実は自分のための布石なのだな
そうであろう?"

かまをかけてもそうはいきませんよ
父上
私は父上を既に超えてしまい
最早父上と同じ場所にはいないのです

見えている"もの"がちがうのです
ゆえにお邪魔はいたしません
精々父上は父上だけに見えている世界でご活躍を
徳儿は更に広い
更なる高みから見物しておりますゆえ

父上
私をこの世に生み出し薫陶を授けて下さったおかげで今の私がある
感謝しております
父上が生涯をかけ追い求め
その財力を注ぎ込んだものは私にとって
何の魅力も放ちません
父上がどうぞ謳歌なさってください

徳の成長
ついにその腕の中から飛び出していった
あの日谷に放り出し
この天啓で再会したとき震えて俯き
泣いていた徳がーーー

息子が自分を超えたとき
それを喜ぶべきか
喜ばざるべきかーーー
いずれにしろ
現在の徳を創ったのは紛れもない自分
欒パパは顔を顰め
黙するばかりーーー









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