見出し画像

海上牧雲記〜Part9

第33話
まだ愛してるのか?まだ愛してます

牛車に揺られ
中では徳と蘭鈺児が二人きり❤️❤️❤️
あらまあ
あれから進展を?

嬉しそうな蘭鈺児❤️

塩を…
買い出しにわざわざ付き添うなんて、大切にしているのね❤️❤️❤️

😂😂😂
前回"そんなに私のために働きたいなら
厨房ででも篭って励んでいろ"
と嫌味を言ったように
本当に蘭鈺児は厨房に缶詰にされてるらしい。

照れくさいから目を終始瞑ったままで気取るふり
もー不器用なんだからー
しかしさっきのも実は憎まれ口で
連れ出したのにはわけがある

なぜ屋敷では話せなかったかというと
客桟はパパのスパイがうようよしているからだ
つまりパパには内緒の頼みごと

前回あれほど
"全部奪ってやる"とか
"不幸になれー"
とか呪っていたのにいったいどうした風の吹き回しか
何があったの?
パパに四年ぶりに虐められて同じような境遇の笙殿下に思いを馳せたの?
それか
"パパの思い通りなんかにさせてたまるか"
と思ったの?

あの紅袖香はあれほど吟味を重ねたはず
殿下もお好きな風味に仕上がったのに
飲んではだめだなんて
なぜですか?

蘭鈺児はこの一言で何か陰謀が巡らされているとピンとくる

先に頼みがあることを
そして次に内容を
その後それに関して笙殿下を助けるかどうかを問うこのイケズさ
しかも蘭鈺児自身の危険も仄めかし
彼女の愛情をはかる
この場合徳が測っているのは蘭鈺児の殿下への気持ちだけだ
ばかねえ

勿論蘭鈺児に迷いなどない

あ 目開けた

得たり、と喜びながら笑
徳がさっきから何をしたいかというと

"いやー天晴な覚悟
命すら擲つとは
そんなに⁉︎そんなに笙殿下が大切だと?
殿下が心配か、そうだろうとも
お前はやはり殿下を想っているのだ
そうに決まった"
ばかねえ

違いますってば
笙殿下が心配なものですか
若様が護って下さるはず
若様の本性は善良ですから
私が命を擲つのは若様の頼みごとだからです

ばかねえ

まじまじと見ながら
"わ、私のため…?
しんでもいいのか?"

秒で答える蘭鈺児
私も秒で答える自信あるわ

困る徳笑
何もそんなに訝ることなんかないのに
貴方を愛してる、いいじゃないのよそれで。

"笙殿下には酒を飲むなと伝えろ"
かつてのパパのやられたやり口でパパは陥れようとしている
パパの執念と怨念を感じる
墨先生に耳打ちしていたのはたんに
"飲まないよう先に言っとく"
ということだったとはw

徳の方こそ
裏切ったと分かればまたパパに叱責を受けるかもしれないリスクを背負ってくれて
感激して笙殿下に成り代わり礼をとる蘭鈺児

"礼など必要ない"と徳は言う
まだどうなるか分からないのだ
ただ
自分と同じように生まれたときから疎まれ
やっと父親に愛して認めて貰えるようになったというのに
朝臣やパパ、そして兄らに陥れられようとしていることがやるせない

笙殿下に死なれたら墨先生の栄誉も絵に描いた餅になる
純粋に善意からではないのだ
だから礼など言わないでくれーーー


そこへーーー
歓楽街に差し掛かったとき外の騒ぎに徳が訝る

外では娼館が大火事
放火魔はこの紅い婚礼着を着たナンコユーリ
かなりな強者で
かの南枯皇后の姪
合戈殿下と両思いでかねてより狙っていた皇后の座をゲットしようかという矢先
クーデター失敗で公妓にされ娼館で働いていたのだが
父親を侮辱した男を葬るついでに娼館も葬ったのだ
要するにかなりヤバい女

"納得行かない納得行かない納得行かない!!"
と喚く美女を役人がお縄にしている
何だか面白そう!🎶
というのと
蘭鈺児とまた気まずいフンイキになることを恐れ当てつけに美女を連れ込もうというしょうもない企み

中から様子を窺う蘭鈺児
徳は全く知らないが
長く宮廷にいた蘭鈺児は知っている
徳はせっかくクーデターに関する案件を整理始末し
皇帝の嫌疑も晴らしたばかり
それなのに首謀者と接触なんかしたらーーー

これ見よがしに蘭鈺児を牛車から降ろし

美女を優先させようとする
ランクをハッキリさせ、蘭鈺児を惨めな気持ちにさせるためだ
ばかねえ

蘭鈺児は徳を諌めようとする

またもや引きずられてゆく徳笑
全くなぜ拒否らないの笑
彼女をご存知ないのですか?
説明しようとしたのに
ニブい徳はたんに狙い通り蘭鈺児が嫉妬していると思い

そして勿論捨てていくには惜しいその美貌と面白そうなワケアリ感
美女を救ってあげたという功名心

トーゼンのように乗り込むユーリもさすがナンコユーリ

蘭鈺児が諌めるのも耳を貸さずサッサと同乗する

紐でつけた籠手がおしゃれ

帰りのお駄賃を差し出して
"独りで帰れ"

ただし"気をつけろよ"
という言葉をついつけてしまう
ばかねえーーー

厄介な拾い物

その夜
徳はわくわくしながらパパの部屋を訪れる
今夜は褒めて貰うんだ🎶
苦労して手に入れたお宝をパパに見せるの

入室した徳の目に入ったのは
蘭鈺児ーーー

蘭鈺児とパパ、という組み合わせに全く何のことか想像がつかずに
不安が急に胸の中に広がる
こういうときの表情が本当にうまい

パパは"一先ず"と言って蘭鈺児を下がらせた
"一先ず"ーーー?

いったい何のことだ
蘭鈺児は何をパパに伝えたのだろう?

徳はパパに箱を手渡す
伝國御璽と並行して頼んでいたものだ

パパが頼んでいたものとは
この瑞朝が取り入れている皇極経典術の星典
この間笙殿下が魅術で星読み処のキカイをめちゃくちゃに壊してしまったため星占いができなくなって困っているのだ

これを手に入れるため徳はこの九州客桟の三年分の売り上げをつぎ込んだ
そんな天井知らずのお宝を何に使うのか

何だ
またカネの話か
かかったカネはまとめて返す、がめつい奴だ
いえ自分はーーー、それほど価値のある物を何に使うのか興味を持っただけです
父上のために自分はいるのです
こうしてお手伝いをできるようになるために
四年間商売を覚えてきたのです
どうぞこき使って下さい
親子で金の貸し借りなど
水臭いではありませんか

また親子の温もりが遠のくような冷たい言葉ーーーそんなつもりなどないのに
殊更穿ってくるパパ
気を取り直して
そのプレゼントについて話題を変える徳

驚きました
血眼であらゆる筋を辿り金をばら撒き
あらゆる手を尽くして入手してまいりましたが
父上が星読みにそんなに入れ込んでおいでとは

"星読みに興味などあるか"
ですよね
星読みのせいで皇帝に相応しくないと言われ
皇太子の座を追われたんですもんね

こんな高いプレゼントを贈るなんて!
どんな方に?命の恩人とか?

牧雲笙には魅がついていて
ずっと護っているとか
もし酒を飲んだとしても
殺す段になってそいつが邪魔をするやも
そのためにその人物に出張ってくれとお願いするのだ
これはその時の手土産なのだ

ーーー自分が笙殿下に蘭鈺児を遣わしパパの罠にハマらないように手を打ったとしても
さらにパパは手を打っている
本当にパパに勝つのは
パパを超えるのはまだまだ難しい…
徳は落胆する

魅族に対抗する力を持っている方ともお知り合いなんて
さすがです

あやつとは古い付き合い
あやつのおかげで今のワシがいるとも言える
だから恩返しなのだ

パパはーーー
パパの頭の中は昔から皇位のことだけ
ひたすら布石を打って
状況をつくり事を起こしてその時のために備えて来たのだ
自分もその石のひとつに加えられた
石にしか過ぎない自分ーーー
皇位の話になると
何ともやるせない気分になる徳

ブツは渡した
"一応"褒めてもらえた
長居は無用
"失礼致します"
ーーー"だんだん"

パパお得意のだんだん攻撃はだいたい三秒後に行われる
だんだん、とは(等等)と書き
待て待て、という意味だ
徳は常に2つの案件に備えねばならない
本件とだんだん件だ

ーーー"女を拾ったとか
その女について知っているのか?どんな女か"

どんな女か、と言われても…、不幸な女としか…、きっと妓楼で辛い目に遭って…、大胆にも妓楼を放火し…、路頭に迷うところを役人に捕まり…殺される、それを見捨てられず助けたのです

要するに知らなかったんだな
この大事極まるときに何をやらかしてくれたか
教えてやろう

そして蘭鈺児が再び現れる

徳は面白くない
むしろ泣きたいくらいだ
自分を愛してる、命まで擲つと言っていた彼女がパパに女を拾ったことをチクったことが
裏切りだ
黙っていればいいものを
パパの叱責を買うようなことをわざわざ作るとは
自分がどれだけ褒められたいと奔走しているか知ってるくせに!

蘭鈺児に嫌悪感を隠せず、これ以上の発言を遮る徳。
しかし徳が分かっていない以上、蘭鈺児は黙らない。

"若様がお優しさから助けておしまいになったあの女はナンコユーリといって
とても厄介極まりないものなのです
せっかく陛下のお咎めを回避したというのに
若様とナンコユーリが関わりを持っていると分かれば…

若様に災いを齎すやも…

再度牽制する徳
しかし
徳の不興を買おうとも
蘭鈺児は徳の身の安全を図りたい
愛しているから
護りたい
徳の身を護れるなら
鄴王に護ってもらえるならーーー

"護ってあげたい"と徳は思い美女を助けた
蘭鈺児はいま徳を護りたいと頑張っている
徳もそれはわかる
わかるからこそいたたまれない
自分が護られるなんて!
しかももれなく今からパパの説教タイム
子どもじゃあるまいしーーー

"お前は私の腹心だと思っていた
まさか私を裏切るとは
私の最も嫌いなもの
それは「裏切り」
愛していると言ったお前が!

愛しています
その愛ゆえのこととご理解ください
蘭鈺児は譲りません
貴方を護りたいのーーー

その愛を嬉しく受け止めるべきか
迷惑と思うべきか
いずれにしても
今からまた恥ずかしい説教タイムは免れぬ

善かれと思い助けたものの
蘭鈺児に対して意地の悪い気持ちがあったのも事実で
却って彼女に助けられるとはーーー
だから子どもじみたことはやめておけばよかったのにーーー
蘭鈺児の方がお姉さんなんだから

"以前ワシか教えたろう、美女はやたらと拾うなと"

だって…彼女は官妓だってだけです
役人らには金をばら撒けば何とかなります

ばかものめ
問題ありありだ
ナンコユーリは陛下の筆跡をまねて偽の詔を書いた女
南枯棋の娘にして野望のためなら何だってする
歩く危険物だ
そなたの手に負えるモンではない

徳は内心歯噛みする
美女だとは思ったがそんな出自でそんなヤバい女だとは知らなかった
考えてみたら妓楼を飛び出すならいざ知らず
客を殺した挙句妓楼ごと火をつけたアブない女ーーー

だけども一度は憐れに思って助けたものを
放り出すなんて酷いまねは…、逃したとしても彼女が我々のことに関して何か言えばどうします、
まだ何とかナンコユーリを助けたいと思っている優しい徳

何を生温いことを
ワシの大業とワシらの命がかかっているのだぞ
こういうときのための秘術だろう
習っておらぬのか、墨先生から"口封じの術"を⁈

パパお上手!✨✨✨
殺す
殺せというのか
助けたものを自らの手にかけよと?

"今日殺る殺しは今日のうちに!
行ってこい"

辛い
助けたかった
助けたのに殺さねばならない
積んだ善行は今から兇行に
今この大事な時に少しの油断も許されない
致し方なし

徳はユーリの部屋にやってくる
(因みに隣奥は蘭鈺児の部屋)

美しい南枯月璃を演じるのは万茜お姉さま
暁晨が万茜お姉さまと一緒の画面に収まるのを見られる日が来るなんて!!

夢は見るもの?
覚めるもの?
悪夢を再びの夢に
貴方にこの私が殺せるものかーーー


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?