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海上牧雲記〜Part15

蘭鈺儿にたっぷり愛を貰ったあと
秦玉豊の部屋に来た徳
そこでは先程のユーリがクダを巻いていた

二人を見るこの表情!
ぜったいに他の俳優はやらない
デビューからの彼を追ってこれほど見てきても
なぜこういった表現を彼がするのか皆目分からない

自分が利用しようと誘惑し玉豊を困らせていたというのに
咄嗟にすり替えようとするユーリ
呆れる芝居

向き直って嫌味を
GO戈殿下のようには騙されない

全てを見透かし
意地悪そうに電眼をぎらつかせ嘲笑している
先程まで蘭鈺儿の前で申し訳なさそうにモジモジしていた風情とは全く違う
そして

徳の足元にご注目
ユーリが去り際肩に当たるように去ったまま
彼女の方も
玉豊の方も見るでなく
そのままの体勢で残っている
足首を捻るようにしてリラックス
暁晨がよくやる仕草
これも独特だ

危うく手玉に取られそうだった玉豊
しかし
もう魅入られてしまった後
"何の御用でしょうか"

ここで初めてユーリの去った方角を見る
"賊"とはユーリ、そして蘭鈺儿のことだ
しかし二人を殺すことなどできない
そこで講じた策だ

賊はいないが
いないままいなくなってもらおう

この紺色のAラインのジレのような衣装は丈が短いためシルエットが可愛い
華奢な暁晨によく似合う

第48話
蜜蜂と鹿と池の鯉

パパから"殺ってこい"
と言われ
やってきた徳ーーー

蘭鈺儿から愛を貰って
何か心境でも変わったのか
ここの徳はえらく素敵💕💕💕
そう
ある意味吹っ切って来たのだ
もうパパの顔色は窺わない
知ったことかーーー
そんな心境。

笙殿下はあれ以来、陛下の補佐として太子の扱いで出仕している。
話をするのはいいが、剣は預けるよう虞心忌に言われるも

手にした叩天沢を渡そうとはしない

虞心忌に対して上目遣いのこのカット
ひとみの輝き
洗練された格好
徳はやはりすてきだわーーー

話がしたいーーー
初めて訪れ
殿下に会ってから二年
当初とは違う"野望"が徳には生まれた
最初は自分だけで描くビジョンに過ぎなかった
しかし
この二年で確かになったこと
変化し状況が変わったことーーー
ビジョンは今や確信に変わりーーー

初めて来た時のようにーーー

太子の黄色の着物を着ている笙殿下

この背後で着付けを手伝っている侍女がパパのスパイだ

秘術で描いた龍
まだ瞳は描かれていない
ここで初めて徳は"きみの龍"と殿下のことを"君"と呼び

殿下も徳のことを"你"と呼ぶ

"ぼくのパパがきみを殺せ、ってさ"
徳はそう切り出す
いのちを狙いに来たのだと

笙殿下は抹殺しろとか監禁しろとか言われるのはもう慣れっこだ
今更伯父にそう言われたところでどうもしない

迷ったように
また
仕方ないというようにため息混じりで俯いた徳は
大きく抜刀し切先を殿下に向ける
微動だにしない殿下

徳は嬉しい
殿下は自分がそんなことをしないと信じている。

"きみはぼくを殺したりなんかしない"

誰が殺したりするだろう
やっと見つけた
この魂までも共鳴する友に
理解してくれている笙殿下がうれしい

"なぜ分かったの?"
"だってきみは意地が悪いもの"

ここでも笙殿下マジック
徳はいつものハッタリがかませず調子が狂う
"きみは伯父上の前で従順に振る舞っていただけだろ?ほとんど伯父上の言うことなんて聞いていなかったもん"

"何しに来たの?"
"殿下は何がしたい?"

ーーー"なぜ?"

…そうか…きみもようやく変わってくれたんだな
そうさ
今まで私たちは理不尽な虐待に晒されてきたんだ
それに耐えるために培ってきた力でぶっ壊してやる
何もかもをーーー

"じゃあきみは?1番大切なものってある?"

"ーーー女"
でしょうね
女の子大好きだもんね!

"嘘だね"
ええッ⁉︎嘘なの⁉︎ほんとでしょう⁉︎

"ほんとうだ
女が好きすぎてしかたない
本当の愛が知りたいあまりに
女と見れば群がるそばから千切っては投げ千切っては投げーーー"
どこまでが嘘でどこからが本当なの⁉︎

"きみは意地が悪いんだ
愛がほしいとか思ってるくせに
いい子のままでいられない
プライドが高くて
自分が愛してもらえるわけがないって決めつけて
人のせいにばかりしてる"

"だから人に嫌われるんだ
いつも上げ足ばかり取るから
きみは本当に賢いから余計に嫌味に思われるんだよ"

"そしてまたきみは言うんだ
そらみろ、やはり私は嫌われてる"ってね

"ぼくも周りじゅうから忌み嫌われていた
どうしてみんなぼくを嫌うの、って思ってた
そのうち人に嫌われる自分が嫌いになって
何だか全部嫌いになった
きみもそう?
みんな嫌い
自分も嫌い
なぜこうなのか
考えるだけでイライラして
どうして抜け出せないのか、探るんだけどわからない"

"この世にいらないのに生まれてきた
だから嫌われるの?
それとも
自分はこの世に何かとてつもない使命を帯びているのか?"

"きみもーーー、そうだろ?"

"自分はみんなに嫌われるような屑じゃない、って思いたいけど
もしそうだったらどうしよう、てつい考える
違うって証明したくて頑張るんだけど、欲しい愛情は一向にもらえない
だからやっぱりイライラするんだ"

"きみも同じ?ぼくと同じ?"

"おんなじだ"
自分の短所をばしばし言い当てられ
聞き入ってしまい
何も返す気さえも起こらなくなった徳
殿下が指摘したのは徳についてのことだけではない
ご自分のことを言っていたのだ
"きみとぼくは同じことで苦しんできた"ーーー

もううんざりだ、って思うだろ?
私はうんざりだ
虚しい努力ばかりして時間をムダにしたくない
だからきみにお願いをしに来たのだ
一緒にこの世を滅ぼさん!

"悪魔とか妖怪だとか
みんなから怖がられるぼくを利用しようと?
上手く焚き付けて酷いことをさせて
後からみんなぼくのせいにするつもりだろう"

"私ときみは同じだけれど違う
君はこの世を滅ぼすために生まれた
どんなにあがいてもそうなる運命だとしたら?"

"運命だからって滅ぼすなんてだめだよ
興味もないんだ"

"なぜさ
その力がきみにはあるのに!
嫌われたくないから我慢するのはもうたくさんだってさっきも言ってたろ?"

"だって悪いことだ
悪い子にはバチが当たるんだよ
悪い子にはなりたくないよ"ーーー

こんな世の中無くなればいいのにという思いは同じ
けれども笙殿下はそんなことを考えるのは『悪いこと』だ、『悪いこと』をすれば『悪い子』になってしまう、それは嫌だと
あくまでもご自分が悪になることに抵抗を覚えている

清廉ピュアな聖人君子の姿勢をキープしたい笙殿下
元祖捻くれ拗らせ大王の徳の出番だ
捻くれるというのはどういうことか
篤とお聞かせ申し上げようではないか

"何が善で何が悪か"…
今の瑞朝は善悪入り乱れ区別などつかない
区別ーーー
どうやって区別する?

"蜜蜂はどうやって新しい巣を探すか"
ーーーポイントは
『いかに捻くれた目線で物事を見るか』
これだ。

真正面からばかり見るのはアホと同じ
斜めから捻くれて見つめてこそその正体がわかるのだ
心して聞け!

"8匹がばらばらにそれぞれ見つけてきた土地を
8匹それぞれは知らないのに
どうして巣から出なかった連中が一番最適か判断できる?
"自分が信頼した相手が持ってきてくれた情報だ
だから信頼できる
信頼度が1番高い相手の土地にゆく
信頼してついてゆく"

"信頼ね"
そうかもね
美しいその言葉を隠れ蓑にして
連中はサボっていたのさ
生来脳味噌を使うという芸当ができない奴ら
考えることすら面倒で
他人についていくだけしか脳のないーーー

"それに
もしその情報に不手際が生じても
自分は関係ない
持ってきた奴に責任転嫁すればすむ
悪にならずにさ"

ーーーしーん
考えもしなかった捻くれまくったこたえに
素直が服をお召しになっている笙殿下には
衝撃
目からウロコ

"すごいや
徳っくん
ぼくそんなふうに考えたことなかったよ"

この世の誰がどこまできみのように清廉を貫いているか
その本音を聞けば
悍ましさにそいつら全員ぶっ殺したくなるだろうな
平凡で弱い奴ら
そいつらは全員ゴミだ
ゴミはいらない

"己の能力がないから能力のある強者に寄生して生きている
そのくせ欲だけは人一倍
更に寄生主さえもそいつらは使い捨てにする
そういうゴミ連中を淘汰すれば
どれだけ優秀で強靭な者だけの素晴らしい世界ができるか!
人族の精度を上げるんだ
九州を刷新するんだ
素晴らしい世界へと!

"きみの言いたいこと
分かっちゃった
どうせ
どうせだろ
いい世にするとか民のためとかお題目を立てておき
結局権力が欲しいだけなんだ
騙されないよ
ぼくは権力なんか天下なんか興味ない
みんな同じだ
もううんざりだ!"

"きみのパパ
そしてぼくのパパ"ーーー
そうじゃないんだ
違うんだ
きみのパパもぼくのあのサイテーなパパも
あんな奴ら目じゃないさ

"誰があんな奴らに憧れたりするもんか
あんなちっぽけな座に躍起になって半生かけて争って
まったく小さい
ぼくだって軽蔑するよ"
彼らが見ているのは狭い狭い瑞朝の朝廷だけだ

"神たちのおかげで
特色ある6つの種族がこの世に生まれた"

九州全土を股にかけ商売する宛州商会会長の今後の運営ビジョン!
ここで切るとはーーー!

8000年のうちの人族の栄華などほんの一瞬
今ここまでは運が良かっただけ
これからの未来を考えよう
ハイ先生
人族が勝った
中州を手に入れこの世を謳歌した
そうとも
だがまだたったの300年
そんな一瞬のうちにも腐敗が始まっている
今更冷蔵庫へ放り込んでも無駄だ

運がよかった
運だけだ
なのに己の利益ばかり業突く張りに求めて争ってばかりいたら他の種族に滅ぼされる
何が牧雲だ
何が穆如だ
何が蛮族相手の戦だ
視野が狭すぎる
既に賞味期限はとっくに過ぎ
腐りカビが生えはじめている
そんなもの食ってる場合か!

争いではない
共存の道を!

なぜこの世界には6つの種族が?
なぜ互いに争おうとする?
お互い長所を活かし共存するのだ
きっとできる!


羽族、河洛、鮫族、巨人族、人族、そして魅族!
6つの種族が協力すれば、何だってできる
新たな陸地を造り、この世界を拡げることだって夢ではないーーー

無限の版図の上に楽園を築き
誰もが繁栄を謳歌することができる世界をつくるーーー!

弱冠二十歳の九州いちの金持ち、恐怖の館九州客桟のオーナー、瑞朝朝廷の国庫の半分に匹敵する資金を有する宛州商会会長にして親王の世子牧雲徳先生による
"九州六族共存化計画"!
さすが既存のものでは満足せず、オリジナルブランドを手がける宛州商会会長!
操ろうとしていたのは人族だけではなかった!

"みんなで協力してすてきな世界をつくる!
いいねいいね
ダンゼンやる気になっちゃった
でもなぜ殺戮するの?
みんなで協力するんじゃないの?"

"めっちゃすてきな世界を造ろうってんだから
そこに住んでいいのはめっちゃすてきな奴だけだろ"

"考えてもみろ
せっかく選別した一級品にカビ菌が一つでもこびりついていたら
忽ちそこから腐ってくるぞ
ゴミとバイ菌は徹底的に殺菌消毒して処分!
選別のためにはユルい環境じゃだめだ
静かな溜池ではなく超急流流水プールにしなければな!"

常に緊張
常に恐怖を与え続けていたとしても
腐った奴らは逃げ道を見つけ隠れることもある
どこまでも腐った奴らだ
素晴らしい世にするためには
だから淘汰するのだ
容赦なく
他種族に滅ぼされないためにーーー

"なるほどね…すごい説得力
君は恐怖で選別する役なんだね
適役だと思うな
じゃぼくは何を?"

徳は急に折り目を正しーーー

"きみには
その新たな世界の帝王になってほしい"ーーー

"カット!"
これにて牧雲徳役の張暁晨はめでたくクランク・アップ💐💐💐
ここの独壇場のパフォーマンスは蓋し名演。

笙殿下とのせりふ合わせを和気藹々と。
持っている台本のマーキング部分が全て徳のせりふだ。

当然暁晨は全てを誦んじている。

その上で、あの動きを交えながら、演じてゆくのだ。

クランク・アップのこの日はたくさんのスナップがある。

曹盾監督と。
監督に教わったノウハウは、この後も暁晨が常に心がけ、演技に活かすことになった。
演技の専門学校で学んだことがない暁晨にとって、現場の監督や共演した俳優らから教わるあれこれは貴重な勉強の機会。
彼はそこから、良い部分は残し、至らない部分は努力し改善するよう努めてきた。

墨先生役の趙魏と。

虞心忌役の馮嘉怡と。虞心忌とはかなり共演場面があった。暁晨がハグして撮ることは珍しい。

全くもってこの回の徳は素晴らしい。
メイン・キャストらとは違う世界から来たようには見えない。
一流演劇大学出身者らと遜色ない演技をしてみせた。
48話と49話冒頭のシーンは、この作品での張暁晨の場面では白眉にあたる。
父親に求める愛を追いかけることをやめた徳は、この後ますますストーリーを動かすキーマンとなってゆく。

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