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卿卿日常〜その哀哀日常のすべて Part 5

"無能な二哥は大人しくしてろ"
尹崢の決め台詞でブラックアウトした晩
暁晨は言った
"イタコなど必要ない(自分が早く居なくなるよう祈願している人たちに向けた言葉)、聞いて!尹嵩は程なく退場します。もう少し我慢して"
ーーー
尹崢無双の名場面に加え紫芋が痛い目に遭い、郝葭をようやく救えそうだという希望と共に齎されたこの吉報に
翌朝までものすごいお祭り騒ぎとなった

愛奇芸
"尹嵩が郝葭の首を絞めた時は本当に怖気立った!中身が空っぽな嫡長主は彼女が嫁いだ際の内幕をぶちまけたが2人の間に愛がないことは残念に尽きる。尹嵩が早く居なくなることを期待しましょう。紫芋は結局名誉挽回はならず。"

公式
"朝堂では尹崢と対立し邸に戻ったらば妻らに郝葭のことで責められ、彼女のお産を助けた芳如には茶に細工!二少主はとっくに全身が矢面に立っている。視聴者の皆さん、名誉挽回などあるはずのない彼が早くいつ居なくなるのか、どうぞ盛り上がって話してみて下さい"

まったくーーー、、、
"皆に好かれ尊敬され
愛されくすりと笑ってしまう和気藹々とした家庭のよきパパに違いない"
などと期待していた放映前の想像がいかに馬鹿げていたか
"今度はレギュラーだ"
《贅婿》の涙の二分サンドイッチの悲しみを、同じスタッフで作られた本作では払拭できると喜び、
万年スポットゲストとは違う満足感を得られると思ったら
"少しでも早い退場を"と願われる最悪のクソ野郎として
よりにもよって最高に注目される人気作でこんな事態になろうとは
神様はどこまですごい想像力と創造力をお持ちなのか
ここにきて私の胃腸の調子も最悪の状態となった
それは他のファンも同様だった

まだあるの、まだ盛るの

尹嵩兄さまが吹っ飛ばされ最高に盛り上がったのち
この胸糞悪い尹嵩兄さまを更に印象悪くする材料は終わりを見ない
ここまででも

弟の想い人を横取り
めし抜き、外出禁止、友情禁止のモラハラ
殴る
首を絞めるなどのDV

妊娠中の無理強い
出産時の無関心
監禁
脅迫
人命軽視

ーーーこれ以外にも仕事や尹崢への妨害行為など
作中の悪事という悪事は許せざるものからしょうもないものまで全て尹嵩兄さまの所業
この上盛られる胸糞案件とはいったい?

芳如が頭を使い
迷信深い尹嵩兄さまなら受け入れるだろうと
例のイタコに郝葭の子を占ってもらったところ
"邸内に置いては""兄さまの一番嫌われたら困るパパの"不興を買い不幸に見舞われるであろう
といういかにもな鑑定が出た

流石の兄さまもここまでピンポイントだと察する
女どもの仕業だと

もういいーーー
母親もその娘も
思い浮かべるだけで忌々しい
どこで野垂れ死のうと知ったことか

"勝手にするがいい"

斯くして郝葭は尹嵩兄さま似の女児共々出てゆくことに
装飾品など全て返させるこの狭量さ
もういいよーーーそこまでして兄さまをこれ以上酷いやつにする必要ある?

何と
今着ているものまで置いてゆけという鬼畜ぶり

分かったわよ
ホントにいけすかない野郎ねーーー
郝葭が下着だけになったそのとき

ちょっ…、ちょっと!!
いくら何でも下着まで!!
何なのそのやらしさは
しかも表情は極めて穏やか
怖すぎる!

そこへ助け舟を出した芳如
郝葭はウンザリした風情で
尹嵩兄さまには何の餞別の挨拶もせずサッサカ去って行った

あのふざけたホラ吹き女で最後の虐げを愉しもうと思っていたのに
よくもサッサカ行かせたな

私だってもう我慢しないわ
とっときのネタを仕入れたの
もう貴方は私に逆らえないわよ

私のバックには貴方の金ヅルが聳えている
私の最大の強みであり
それがあるから貴方は厭いや私と夫婦しているわけで
私自身は貴方にとって何でもないのよね

私が嫡男を産めば実家が増長すると思って
私の茶に避妊薬を混ぜ
欺いてたわね

ハッとして向き直る
この芝居✨✨✨✨
ある女には子を産ませ子が女なら捨てて
その子も捨てて
ある女には子が出来ぬよう細工してただ飾って普段は辱めて
女をモノとしか思っていない身勝手極まるこの所業
本当に貴方って人はーーー!

芳如は尹嵩兄さまがうっかり口を滑らせたあの時
すぐさま侍女に探らせた
黛川の甘い茶に慣れた身で新川の苦い茶は不味かろう
私が蜂蜜を入れてやろう
この茶を淹れる水も私が特別に用意させようーーー
何て優しい人かと感激した
感激したからこそ愛しさが湧き
どんなに理不尽なことも耐えて自分らしさを圧し殺してきた
それが
そもそも企みの目眩しだったとは!
この酷さ
どないしてくれようか

"私をもう見下せないわよ
精々体面を保つために私を大切にしている振りをし続けるのね"

これも尹嵩兄さまの自業自得ーーー

郝葭のお産騒ぎも一段落し
今度は偽札問題が湧いて出た。
もう偽札という言葉だけで胡散臭さがプンプンする。
こんなせこい妨害策は尹嵩兄さまが企んだに決まっている。
ということは
どうやって犯人は尹嵩兄さまだと証明するか、である。

もっかこの偽札は全力で調べているが
別にまだ大事になっていない、という尹嵩兄さま
いや、早急に何とかしないと、という尹崢

介入させたくない兄さま
しかしパパは早めに調べろ、と命令

徹底的に調べたら出てくるその犯人は目の前の嫡長主じゃないの?
調べるのは尹嵩兄さまの部署
なら…?

ならターゲットは自分たちだ
あからさまに覚悟しておけ、とケンカを売ったり

分かりやすい手口で尹岸兄さまのせいにしたり

誰がどー考えても
目の前の尹嵩兄さまでしょ?
表情がもうカタギじゃないもの

このドラマで尹嵩兄さましかワルはいないんだから
誰かをはめようとしたならそれは兄さま

たった4日で弟たちは怪しい陳鍚なる人物にたどり着く
尹嵩兄さまったら大丈夫?
歴代で一番アホな悪役だって言われるよ
もっと巧妙にしなきゃ!

"酷い拷問で吐かせたみたいですよ"
とか
事実じゃないし
パパは呆れて

なら治礼司に行くか?
お前では頼りないから偽札は尹崢に任せる
帰って出直して来い!
とめちゃくちゃ怒られる

ガックリ項垂れてスゴスゴ帰ってゆくその背中を見つめるパパの悲しい顔

30年
ガチガチのスパルタで鍛えてきたのに
この見劣りようはどうだ
庶子の尹崢の足元にも及ばないーーー

負けてばかりの"捷園"

尹峻兄さまと話しているのはいつも同じこと
"尹崢の弱み、悪事などを見つける"こと
だけど無いの
尹嵩兄さまと違って悪いことをしてないの
今回尹崢たちが拷問をやってないことはパパも把握しているのに
治礼司務めの尹峻兄さまに拷問についてまだパパに進言させようとしてる

不毛な会話をしている間
暁晨の美しい所作で茶が注がれる
牧雲徳に淹れてもらう茶は格別

暁晨の芝居は何か動作が入っているものが多い
動きながらも
その間、表情、声色、目線
計算され尽くした素晴らしいものたち
だんだん立場が危うくなってきている自分
お前と私は一連托生
"どうすればいいかわかっているな"

いったい誰が一緒に終焉を迎えたいと思うだろうか
尹峻兄さまだって無能
無能なりにヤバいかどうかは分かっているーーー

今頃登場した四少主夫人

ここでまた仰天の裏切り案件

尹峻兄さまはここでは大した讒言は行わずほとんど何もしなかった
尹嵩兄さまの預かり知らぬところで尹峻兄さまはちゃんと保身に動いている
そして
兄さまは何と愛妻家!
ここにきてこれは無いだろう
これでは男尊女卑の新川の少主で妻を虐げてるのは尹嵩兄さまだけ、ということだ
そんなのってない

新川と黛川の国境
怪しい馬車に乗っているのはーーー

このシルエット
見紛うはずがない
天然の美!

暁晨は自身の横のショットを好んでよく撮る
私たちファンにはもうお馴染みのラインだ

尹嵩兄さまは"将来の官職"をえさに件の陳鍚を釣っているらしく
せっつかれて仕方なく証文を渡す

これで偽札事件の黒幕は紫芋だと決まった

なぜ黛川なんだろう
なぜ黛川ーーー黛川と言えば尹嵩兄さまである
夫人が黛川の出なのだ
以前妻のものは私のもの、と言って痛い目に遭っていた

尹嵩兄さまが一枚噛んでいたわけではなく
尹嵩兄さまだけしか怪しいじんぶつはいないのだった
この痺れまくる眼光
目の醒めるような色男は心のなかみも頭のなかみもスッカラカンなのだ
張暁晨が演ずるのにそれはナンセンスだろう
暁晨も苦労していた
何もないのにあるように芝居せねばならないからだ
何を以ってして説得力と吸引力とするか
悩んだらしい
それは暁晨が確固たる揺るぎない骨子をつくり演じる職人だからである
表面的でありきたりな
やっつけはしない
だからこそ私が海を越えて痺れさせられたのだ

闇夜に怪しい馬車が消えても
その所業と犯人の名は消しようがないーーー

まさにその黛川との国境で
発見された新しい鉱脈を挟み所有権問題が持ち上がる
ただでさえ希少な新川の鉱山
外川に奪われるようなことがあってはならない

尹崢を名指して出張させるよう尹峻兄さまが進言
明らかに罠に嵌める気まんまん

パパは丹川の街道を封鎖するのは後回し、と言ったのに
いざ国境へ行くと丹川までも閉鎖されていた

もちろんこの兄たちの仕業

尹嵩兄さまたちはカードゲームに興じていた
折しも丹川では重要な風物詩茶馬まつりを控えており
丹川の民から苦情が殺到
一年の稼ぎをそのまつりに懸けている生業の者もあり

結局情に弱い尹崢らは街道封鎖を解き
事後承諾をパパから得ようとした

"鮮やかな手ですね"

"でも私の札も満更ではないでしょう?"

だがーーー

相手よりも数が大きい札を出してゆく遊び

"いいや、勝つのは私。いつであっても最上のものは
この嫡長主のものだ"ーーー

二哥は札を持つ仕草も絶品
尹峻役の姫暁飛さんは共演するうちスッカリ暁晨に心酔したようで
"二哥が歯を見せて笑う姿はとても感染力がある"
と。ありがとうございます❤️❤️❤️

クランクアップしたときのスナップ

尹嵩兄さまたちの目論みどおり
尹崢たちは民の立場に立った判断をし
報告が間に合わなかったため事後承諾という方法を選択
しかし
それは新川より丹川を優先したということ

言い訳をする尹崢の声に無理矢理被せて押し込める尹嵩兄さま 

尹嵩兄さまは先回りして自分が黛川主と交渉し、そもそも黛川はこの件に関してちゃんと道理を守るつもりだったと判明
怪しい…

本分を忘れ増長し越権行為に及んだ咎で尹崢は2回目の閉府へ
それを聞いて尹岐兄さまは仰天し
弟の罪を被った

尹嵩兄さまが追い落としたいのは尹崢だ
身代わりになられては元も子もない
しかし尹岐兄さまは一歩も引かない
尹岐兄さまは言わば康熙帝の13皇子だ
8皇子らに追い詰められ
13年間蟄居させられた
この作品の原作は"9王奪嫡"がベースとなっている
ここのエピソードはきっと13皇子失脚の場面に違いない

まんまと2人を罠に嵌め
肩の荷を下ろす兄さま
尹岐兄さまは尹崢の罪を被り庶民に落とされ絶縁
宮殿を追われた

たまには尹峻兄さまのお家でーーー
何とか尹崢を弾劾できたが
じつはこの件で尻尾を掴まれたのは兄さまの方

"よくやった。お前のおかげだ。二年分の給金をやろう、ボーナスとして"
もう尹崢は復活させない
どんな手を使ってでも追い出してみせるーーー

堕ちるは、二哥

尹崢を陥れたことで視聴者の尹嵩兄さまに対する堪忍袋はブチ切れる寸前に。
暁晨も視聴者らに
"みんな堪えて、あとちょっと耐えてほしい
悪は必ず正義に制圧される!"
みんなはそれでも
"あとちょっとっていつまでよ⁉︎"
と少しも待てない様子だった

そして暁晨は同日にこちらもアップした。
ちょうど1年前の冬
《卿卿日常》を撮影していたときのオフショットだ
みんな他のキャストは大勢で和気藹々と賑やかな写真をたくさん上げていた
暁晨の持っていたものは
霙と曇天の下独り外を眺めているものだった
セットを濡らす霙
劇中の白い息を見ても分かる寒さの中の必需品
そしてあの恐竜の風船ーーー

"僕が持っている写真は多くはありません…けれど、どの写真にもそれぞれ愛着があります。
尹嵩は誰からも忌み嫌われ…、外見ばかり立派で中身が空っぽな彼もまもなく、その末路を明らかにされるでしょう。
彼は僕ではない。けれどそれは僕の背中でもあるのです。
そろそろ長い作文を準備しなければならないようです"ーーー

この"長い作文"とは、いつもの収官(全ての仕事の撤収という意味)のさい暁晨が書き留める作品に於ける所感を綴ったものだ。
これが出されて初めて、全ての暁晨の出演パートの放送が完了したことを表す。
その"愛しい"画像たちは、ただただ寂しげで、激しい非難を浴びた怒涛の配信期間の彼の複雑な心境をよく表していた。

これほど静かで、寂しげな投稿にさえ
"早く退場しろ"
"居なくなるのが楽しみで仕方ない"
"バイバイクソ少主"
などのひどい言葉が並んでおり
いつもならファンのみが労う場が汚されたようで悲しかった。

ママの宮殿で新しい作品をパパに見てもらったら
とても褒められた尹嵩兄さま

すごく嬉しそう
まるで子どもの頃のままのように

パパは尹嵩兄さまに殊更厳しかった
毎日習字を欠かしたことがなく
パパの側では間違ったことなどできませんし
貴方の言葉は全て一言一句胸に刻んでおりますの

ママは尹嵩兄さまの努力している姿は知っていても
悪事を働いている姿は知らない
パパは知っている
尹嵩兄さまが清廉な人間ではないことを
何も知らない母親が滑稽であり愛しくもありーーー

そんなママにご褒美のつもりで更に息子を誉めるパパ
無能だが無能なわけではない
ただ
有能ではないだけだ
どこまで求めるべきか親ならば迷うものーーー

いつになく上機嫌でたくさんたくさん褒めてくれたパパ
漸く落ち着けそうだ
やはり弟たちが居なくなったからだ

パパは庶子から川主になったため自分に非常に期待をかけた
自分は嫡長主なのだから

パパは仰った
"弟たちを私を奮起させるために側に置くのだ"と
嫡長主たるもの
嫡長主たればこそーーー
励め
励め
ひたすらにーーー

嵩儿
貴方は頑張ったわ
もう間もなくはっきりするわ
戸政司も治政司も事務司も
これからは何だって貴方のものよーーー

しかし尹嵩兄さまは"うまく切り盛りした"わけではなく
"何もしていない"
だけだった
その方針に民への意識など微塵もなく
己の懐具合のみ
ますます切れ者になった尹岸兄さまと尹崢は覚悟を決める

"あのクソ少主に引導を渡すべきだ"
とーーー

"嫡長主のために"
偽札をつくり
黛川くんだりまで行き
からがら船で新川まで戻ってきた陳鍚ら
嫡長主からは何もなく
捨て去られているものの
彼らの顔を見れば善良で純粋なること甚だし
一途にまだ嫡長主を信じて忠誠を誓っている
そこへーーー

尹崢らのガサ入れ!
仲間はあっという間に捕まった
早ッ!
そら主人公ですから。
悪役みたいにみっともないすがたは見せないの。

しかしこちらの
限りなく素敵なのに中身がクソな悪役は
更に奮起してこの夜も書に打ち込んでいた
字が綺麗だからって何になるのか
ここに気づけないのも
尹嵩兄さまのお頭の性能を語る悲しい現実なのだ

このとき書いているのは
王義之の《蘭亭序》からの一節より
"遊目騁懐"(ゆうもくていかい)。
目を楽しませ、思いを馳せるという意。

傍らに侍る阿宝が、感じ入って思わず感嘆する。
手の痛みに耐え、書に打ち込むーーー
恒に続けること、極意はそれだ。

"思いを馳せる"ーーー
この夜の会心の出来。
嫡長主としての未来に。
自分の将来に。
いつか川主に即位する日にーーー

そこへ
外から戻った家来が何ごとかを報せる

ーーー"陳鍚が6少主に捕まりました"

陳鍚から入手した証拠品を手に
尹崢は帰宅した
彼は兄を断罪すべきと思うものの
あまりに罪が深すぎてパパに進言すれば尹嵩兄さまは確実に死罪
期待をかけ育ててきた息子を殺すパパの気持ちを考えると躊躇する

すると思いついたことは即座に実行、をモットーとするヒロインは
"迷うことなんかないわ。
腐ったリンゴが一個でも混じっていたら
倉庫中のリンゴが腐るの。
腐ったリンゴは直様棄てなきゃ。
迷っているうちにこの国まで腐ってしまうわよ"

迷わず尹嵩兄さまを腐ったリンゴ呼ばわり🍎🍎🍎
おのれ…
しかし言い返せない
今回何が辛いと言って
救えないのだ
庇えないのだ

果たして覚悟を決め
尹崢はパパの元へ
腐ったリンゴを排除しに向かう

正しくそれは
幼い頃から手ずから教えた息子のもの
"君子の風格と気品が滲み出ているものの
中身が伴わない"

少主たれども
その裁かれかたは民と同じ
それに照らせばそなたの兄は
死罪だ

情に篤く聡明な冷遇してきた庶子は言う
"苦寒の地に流罪ということに"
とーーー

嵩儿よ

パパに呼び出され
尹嵩兄さまは学堂に

ここで兄弟たちの誰よりも長く
誰よりも厳しく学ばされたのが兄さまだった
ここまでの字を書けるようになった
そなたともう一度昔語りをしたくなってーーー

初めの初めから手を取り教えた
筆の持ち方運び方
まだ2歳ほどのそなたに

私は覚えが本当に悪く
父上を苛立たせてばかりでした

お前は背筋を伸ばし
一心に書いていた
何度も何度も
疲れようとも決して姿勢を崩すことなく
頑なだった

初めて学問を修めた日
初めて参内した日ーーー
何もかもを徹底的に叩き込まれた
わしは厳しすぎたろうか?
そなたに子どもらしさを失わさせてーーー

父上の愛情は理解しています
全ては私のためだったのですからーーー
嫡長主として
当然のーーー
幼い頃はつい昨日のよう
しかし早30年
30年手塩にかけてきたものを
なぜ
どこで間違えてしまったのかーーー

"父上
ここに今日わざわざ私をお呼びになったのは
何かあってのことでございますか"

どう思うね?そなた、わしに何か言うことはないか?

"何か"ーーー

父上はご多忙ゆえ
私が願うはただ
ご健勝で、とーーー

ただ厳しさで当たった息子
期待をかけ
足らなかったものは?
ここまで成長し頼もしくなり
いよいよという時にーーー

嵩儿よ
嵩儿よーーー
なぜだ
なぜーーー

この期に及んでまだ尹崢のでっち上げた讒言だと訴える無様なシーンだが
工夫された様々なカットと
暁晨の素晴らしい演技のために
お決まりの台詞であっても美しい

尹嵩兄さまが最も恐れていた
"パパから不興を買う"という事態

逃れようのない証拠品を眼前にして
悟る

あのとき
既に父は自分のした行為を知っていた
昔語りをしたのも
既に自分を廃そうと決めた後だった

"廃嫡"ーーー
信じられない
生まれてからここまで
ただひたすらにその名に縛られしがみつき生かされたものを
奪うというのか

事あるごとに私を嫡長主と呼び
いずれは私が九川を背負うのだと言っていたくせに
私を陥れるとは

何をふざけたことを
不正をしたのは一度や二度ではあるまい
そなたを寵愛すればこそその度に目を瞑り
不問に処してきたものを
こんな大それた悪事まで働きおって
今度こそ許すことはできん
最初から器ではなかった
もっと早くに廃すべきだったのだ

"器ではない?ーーー今更それを言うか
私を寵愛という名のもと雁字搦めにしておきながら
私は器には非ず
兄弟を陥れたーーーなら貴方はどうなのです
父上!!

私を嫡長主と呼び一度でも信用し重用しておきながら
ついに尹崢がより有用だと見るや掌を返して廃嫡する、と⁉︎
何のつもりなのです
私を奮起させるため?
私の後釜?
どちらなのです!

貴方が何度私を罠に嵌めたと?
朝堂で腕を磨けと貴方は仰る
けれども
才気がなければ罰し
才気が過ぎればそれを疑い

それが父親ですか⁉︎
私たちは何なのです⁉︎
出口がない私たちはいったいどうすれば⁉︎

父上
この国の最高位にいらっしゃる貴方がそんな体で父親だという
貴方はまさしく父親なのに…!

貴方こそ父親に相応しくない、

貴方が私と母上に語り約束した私たちの未来は嘘だったのですね、
父上!
ならば責任を取って下さい
私が犯した全ての過ちと
私がこのように狂ってしまった責任を!

貴方がこのような私を作ったのですよ
全て貴方の所為なのだ

貴方が私を作ったのだ!!
ーーー

畳み掛ける独白は張暁晨の真骨頂
私は見るたびに惚れ惚れし
奇跡のように感じてしまう
高曙光さん相手に切なさと哀れさ全開で吠えているこの見事な演技を披露している張暁晨は
どこの演劇専門学校も出ていない
アイドル上がりの叩き上げなのだ

主役級から脇役まで
《卿卿日常》に限らず中国のドラマに出演している俳優たちは
名門の演劇・音楽、舞踊学校出身者で占められる
(宋舞役の劉美含は十代の頃から活躍する歌手)
ただ一人
暁晨だけが畑違いだとわかる

その暁晨が主演筆頭でただ一人この最低最悪の嫡長主をここまで演じ切っている
これは凄いことだと思うのだ
彼のよすがは何なのか
"俳優業を愛し
演技をひたすらに探究してきた"
これに尽きるのではなかろうか

尹嵩兄さまが去るとき
彼を演じた暁晨が表現したかったもの
尹嵩という哀しい空っぽの嫡長主がいったいどんな人間だったのか
暁晨の評価も自ずと下されるだろう

Part 6につづく



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