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そのとき "ものすごいハンサムな"出場者が現れた〜好男儿武漢地区予選

前回暁晨が既に武漢地区予選で全国決勝大会に出場する5人に選ばれたことを書きましたが
今回はその地区予選の模様をお送りします。
とはいえ、私は生で見ていた訳でもなく、中国語が理解できる訳では全くなく、様々な記事を眺めたのちほとんど憶測で書いていますので間違いや勘違いなどありましたらご指摘ください。

北京からやってきた"電眼美男"

オーディションにより『真のイケメン』を発掘し全国一位を選出せんーー三冠ほか入賞者にはスポンサーであるSMGの芸能プロダクションとの契約という特典もあった『加油!好男儿』。
18歳以上の男子ならば誰でも参加でき、若い子のみならずおじさま、果ては70代のおじいさままでが挙って参加し、5月のある日武漢の会場に集ったのは"数千名"。エントリーNo.903。誕生日が9月30日なため、それに因んだ番号を運命的に引き当てた、とファンは思っている笑。北京から参加した、河北の青年に会場がどよめく。

青年は22歳、身長が182㎝で太い眉、美しい膚を持ち、何より印象的なのはその憂いを掃いた長い睫毛の黒眼がちの瞳(←ここだけhanorosesが勝手に追加)、そして独特の高貴で優雅な佇まい、"神奇的"な魅力を持ち、満面の笑顔も魅力的、ただ素敵というだけでなく"毒薬"とすら形容された。何となくわかる。"アヤシさ"が暁晨にはあると思う。言い換えるなら"どこか普通でない"雰囲気のようなものが。

自身のルックスの特殊性を熟知し、絶対の自信を持っていたからこそこの雰囲気が出るのかもしれない。
そこからのこの人懐こい笑顔のギャップ。
大人っぽく見える時もあれば、子どもっぽい純粋さも併せ持つ。チャラい方向へ行かないところも魅力。
武漢地区大会審査員長柳鶯さん。ウットリ口調がすてきです

審査員の柳鶯氏は暁晨の魅力にウットリしてしまい、すぐにでもヒーローステッカーという名の通過証を渡す気満々だったが
鄭淵潔氏がブロックし
"中国のうたをもう一曲"と抜き打ちリクエスト。
ところが暁晨が暫しののちに歌い出したのは蔡琴の『你的眼神』(←後に持ち歌となる)。
もうダンゼン気に入っちゃった柳鶯氏は、その大きな掌におひねりならぬステッカーを捩じ込むという笑
渡す方も渡される方もユーモアが分かっていなければできない地方大会随一の"見せ場"を作った。

嬉々として、また誇らし気にガラス部屋(審査室)へと向かう暁晨
前列手前から3番目に馬天宇のすがた。

30強発表のとき。いわば、30強からが本当の『好男儿』のたたかいと言える。

馬天宇の隣の選手が手に持っているのが"ヒーローズ・チケット"。
Vサインで登壇した暁晨

30強から10強へ

30強に選ばれた選手はこのように宣材写真を撮った。半裸の写真もこのときに。

"見つめられると電撃を食らったような気分になる"と他選手らからも言われたこの『眼差し』。
『好男儿』は"健康的"であることも指標とされた。

北京や杭州の選手には、この裸体写真に拒否感を示す選手もいたが、モデルである暁晨は、タレントやモデル、俳優たる者は自身が媒体となって未体験の人の憧れを誘い、着ている見慣れぬ服の魅力を伝え、尚且つ自身の魅力を体全体で、出来得るかぎりの表現で表すべきだと言っている。

とはいえ、暁晨自身の身体は肉がつき難く、すぐに痩せこけて貧相になるため"悩みの種"だという
チア・ガールがやたらと盛り上げるのは日本の70年代を彷彿とさせる。
選手控え室のようす。最前列向かって一番右が魏斌。
これは試合後敗者復活の指名を待つ間の一幕。魏斌は最後に名を呼ばれた

まずはグループ1にいた魏斌。彼は警察官になるため警察学校に通う学生。現在も警察官だ。
一列ずつ5人が試合会場に出てゆく。
気合いを入れるときの合言葉は
"加油!武漢、加油!好男儿"だ。
こういう演出がいちいち萌える笑

選手はまず"なぜか"プリクラを撮り笑
次いで自己紹介を簡単に。
そしてトレーニングマシンを3回ほど動かしたら、再び正面に来て批評を聞く。
一通り五人の出番が終わったら、このように並び、トップ指名の選手と落伍する選手の名が呼ばれ、後の四人は待機する。
ここで落伍者となった劉虎くん。皆とハグし、皆は労う。魏斌は待機組となった。
第2グループには馬天宇がいる。
馬天宇のキメ・ポーズ
はにかみ、もじもじしながらの自己紹介
歌はここでも伴奏には合わず。しかし、
審査員が呼ばわったのは天宇の名だった。晴れて10強に。
そのようすを眺めている暁晨。

お待たせしました、いよいよ張暁晨の出番です

呼ばれて席から立ち上がる第3グループ。右から二番目が暁晨
一人ずつ抱負を話す。何と言っているか知りたい
出てきました、この後指で"1"を掲げ、
この不敵で自信満々の笑み。その自信はどこから…
プリクラは…
一瞬考えてこのポーズに。さすがプロ!
(魏斌は警察で馬天宇は撮る方のアシスタント)
"Nothing is …、、、詰まった瞬間笑

英語の座右の銘"Nothing is Incredible"を盛大に噛んだものの引っ提げてきた''我比从前寂寞"を朗々と歌い、却って度胸も買われたという。

熱唱。いい声だとは思うが歌唱力は並以下。

この前のベスト30を選ぶ試合では審査員であるプロの歌手であるおじ様、お姐様がたの前で無茶ぶりを要求されようと柔和な笑顔で慇懃に振る舞い、嫌な顔、戸惑う素振りなど全く見せずに"你的眼神"を歌い、あまりの色男ぶりにお姐様は我慢できずにおひねりをその大きな掌に捻り込むという一幕も。

第一戦での件の場面
批評を聞くさいもこのいつもの笑顔笑
批評を終え外に出てきた暁晨。
ここで緊張したか、などいろいろ訊かれる。
現在の彼。すてきでしょ?💕💕💕

暁晨は話すさいに手ぶりをよく交える。宋暁波の手話ばりに動かすそのスタイルは今も変わらない。
長い腕と大きな掌も彼のチャームポイントのひとつだ。

果たして結果は⁈
冷静さを装っているのか
はたまた本当に冷静なようすなのか
見事!!審査員から惚れられただけあり、指名を勝ち取った!
自分の代わりに一人また淘汰され去ってゆく。

思えば淘汰されるまでこれを繰り返してきたわけで、その都度自分の能力、自己顕示欲などを自ら問いかけながら、仲間の態度、才芸の有無、課題に向き合うすがた、長所の見せ方などを学んで行ったのだ。たった3ヶ月のことではあるが、それは得難い"芸能の学校"だった。この経験だけを糧に、この後暁晨は独りで芸能界を生き抜いて来たのだ。

こちらもさすがプロ!のキメ・ポーズと笑顔✨✨✨
鍾凱は名を呼ばれた瞬間ガッツポーズ。
サスガの敬礼の決まり具合"忠誠!"

その後鍾凱は指名を受け、怡川と魏斌は待機組となったものの、各チームから一名ずつの復活枠で名を呼ばれた。ここに、固い絆で結ばれる五人が出会った。

左から魏斌、陳怡川、暁晨、鍾凱、馬天宇
番組終了間際、偶然隣同士で並んだ馬天宇と暁晨。
全員で歌を歌うさい、初めて言葉を交わした。
武漢30強の選手たち。馬天宇の隣の謝子夏が一番明るくお調子者なキャラクターだった

武漢地区大会二日目の試合が終わった。選手らは去り際テーブルに置かれたカードを選ぶ。それは最終決戦のエントリーNo.だ。こういったシステムが非常に上手く作ってあると感じる。

武漢地区大会決勝戦

いよいよ決勝戦。10人のうち5人だけが"武漢代表"として全国大会に出場する。暁晨のエントリーNo.は7。ラッキーセブンを引き当てた。

自己紹介用のVTRも作られた。

このポーズの決める堂の入りかたはさすが、本職のモデル。

"ぼくは普段はただの大学生ですが、カメラレンズの前に立つと自己を様々な角度で表現するモデルに変身します。

この頃から
"自己"に興味を覚え"自己表現""自己改革"を図っていた。
天真無垢、冷静で穏やかでシンプルな為人であるのに、困難で華美で享楽的で非日常的な芸能界という世界に自ら飛び込むという矛盾。
"張暁晨"底なし沼のような神秘的な魅力の持ち主だ。

それは自分を観察するということでもあります。
客観的に見たぼくは、冷静で穏やかでシンプルな人間です。
それがぼく。『張暁晨』です"ーーー

"穏やか"で"朗らか"ーーー
暁晨を知る友人たち、インタビューをした編集者などはみな、彼の印象をこう表す。
一見のさいは冷たい印象を受けがちな暁晨だが、話してみると、笑顔がたいへん魅力的な人好きのする人物なのだ。

彼はこの頃自分のルックスには大層満足し絶対の自信を持っており
当然の如く全国一位を獲る気満々で臨んでいたのだ。
マア一種のナルシストであった訳で
だがしかし彼が単なるナルシストと違っていたのは
その内面においてだった
甘ったるい表情とは裏腹に
その"認識能力"は徹底的に外から内を眺めるものだったのである

決戦にあたり選んだ衣装。

30強に難なく選ばれた暁晨の三曲めはギンギラギン・ペイズリー柄スーツで、オールイングリッシュの"Moon River"。
キラキラした星夜をイメージしたのだろうか。

第二戦から一転、『好男儿』のヘアメイクによってぱっつんにされた前髪。
首の筋を傷めそうな角度で急に倒す
この日は最高にその黒いひとみが輝いている
ここまで陶酔してパフォーマンスをする余裕ぶりは、他の選手にはなかった。

暁晨はこの地区予選を主に英語を武器にして挑んだ。自身のバタ臭いルックスを自覚してか洗練されたイメージをアピールしたかったのだろうか。
この頃憧れからか、暁晨は非常に英語を熱心に勉強していた。
しかし特に発音に苦労したらしい。

ここからいよいよ番組の総合司会者である曹可凡氏と陳辰氏が取り仕切る
馬天宇からマイクを受け取る。このとき二人は既に宿舎で同室だったろうか。
質問カードを選ぶさいのこの独特の指遣いは、現在も健在。
待っている間終始自身の手を弄ぶ癖も変わっていない。

登壇したそのときから、暁晨は"大した苦労もなく"最初の30人には選ばれるだろうと周囲は見ていた。
時代性か何か分からないが、このルックス、そしてあの歌唱力でも十分にこの時点で抜きん出ていた、、、のかあれで?
結局
暁晨は更なる絞り込みで
馬天宇(一位)、魏斌(二位)、鍾凱(四位)、陳怡川(五位)と共に全国決勝戦に臨む5人の中に入った。
暁晨は三位だった。

地区大会決勝戦でのそれぞれのすがた。
武漢五強。左より魏斌、鍾凱、馬天宇、暁晨、陳怡川。

武漢、瀋陽、杭州、北京、重慶、上海の各6地区からそれぞれ五人ずつ、そしてインターネット投票で敗者復活した四人を加えた34名が全国一位を目指し決勝戦に出場した。

この5人は今でも親友。共に戦った熱い夏は、彼らの絆を一生ものにした。
この5人は全国決勝大会で伝説を残すのだーーー

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