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海上牧雲記〜Part3

第12話
珠の中の女を何とかしよう

おうちへ帰った笙殿下は何とかして珠の中の美女に外へ出てきてもらおうと
その方法を模索し食事も睡眠も摂らず没頭。

殿下に密かに片思いしている蘭鈺児は心配する余り、よりにもよって徳を頼り客桟までやって来た。

今日も今日とて九州客桟

じゃん!!
いつもながら素敵な徳が登場。
この時の徳は18歳設定。演じている暁晨は32歳。
蘭鈺児役の何杜娟は暁晨より7つ下だが女優のキャリアは暁晨より長い。
住んできた作品世界もよく似ている。

九州客桟のスイート"乾の間"の前にはプライベートスペースがある。
そこに二人並んだこのショットが私のお気に入りだ。
家族の愛に飢えてきた徳に、蘭鈺児ならそれをたっぷり与えてくれる。
二人手に手を取って、宛州商会を盛り立て、睦まじい夫婦としてわんさかこさえた子どもたちと幸せに暮らして行くだろう姿が想像できるからだ。←100%私の希望

蘭鈺児はお願いに来たのだ。"殿下になり代わって"。
君みたいな可愛い娘の頼みなら何だって聞くさ
いいえ違うんです

蘭鈺児の願いは笙殿下を助けてもらうこと
ちっ、、、
あからさまにモチベーションが下がる徳

さっさと本心はベールの下に隠し
優雅に腰掛けてから改めて
"どうしたのだい?話してご覧なさい"
珠の中の美女と交流できた笙殿下だが
どうやら上手くいってないらしい

それを聞いて内心ほくそ笑む徳
ーーーふ。女だけを相手にし美人画しか描いていなかった殿下だが
リアルな女となると朴念仁ぶりが出てしまうようだ
女の子の扱いなら私の方が…←の割に一切女遊びしているような描写はなかった

"あの女の正体は?"
"海から来た、って言ってました"
それを聞きつけた墨先生
またまたガマンできずに出張る

恋愛とは縁もゆかりもなくキョーミもない墨先生は
せっかく二人がいい雰囲気で話しているのに
無遠慮に蘭鈺児を睨め付ける
生理的嫌悪を覚えその顔を隠す蘭鈺児←定かでない
墨先生はもっといろいろ聞きたかっただろうが
徳は彼女の嫌悪感の方を優先した

安心していい
"君のために"何とかしよう
するとも
"君の"
たっての願いとあらば
殿下のモンダイを「解決」してあげる
よくぞ私を頼ってくれたね

安心して笑顔になった蘭鈺児
徳も笑顔で挨拶を
蘭鈺児のために助けてあげるのね
女の子には優しいんだからーーー

蘭鈺児が去った数秒後
即行動に移る徳
やる気まんまん
"ちょっと待て"

そんな物騒なもん(徳の愛刀。パパが河洛に造らせた剣、叩天拓のこと)を持ってどこへ?
"さっさと奴(殿下)を殺して女を我が物にする。
私にも見えたんだから資格がある。
文句は言わせないぞ"
商いはスピードがいのち
ムダを廃し迅速に動いてこそ利益を生むのだ

そう
徳はムダが大嫌い

毎日がサバイバルクイズ大会な鄴王府

ムダを生むのはノータリンな証拠
キレキレでないと即座にパパのツッコミとお仕置きが待っていた徳は最高のキレ者へと成長した

徳がまんまんに持っていたのは"殺る気"だった
笙殿下を葬り珠を我が手にすれば女は自分のもの
一番手っとり早い
しかし墨先生から待ったがかかる
あの珠は殿下が殿下のママからもらったもの
"殿下でなければ"
女を呼び出すことができないかもしれない

殿下を殺せば女も呼び出せないなんてことになったら何もかもおじゃんに
徳は面倒くさいが我慢して殿下ともっと親密にならねばならないようだ

ちぇっ!

未平斎にて

笙殿下はご自分がお描きになった秘術もどきの描きつけに没頭
サクッと殺ってとっとと珠の中の美女を、と思っていたのに親友面をして窺うしかないとは
何というまどろっこしい

茶を運んできた蘭鈺児をジーと見ている
要するに最初からタイプだったに違いない

早く結果を出さなくては、とハッパをかける徳
殿下、落書きを量産しているだけでは女の子のキモチはゲットできないですよっ
バン!

…君はできるの?
よくぞ聞いてくれましたっ

できるかって?もちろん!
珪璃谷では美女百人斬りの徳様と異名を取っていた←そんな事実はない

堕としてみしょう、君を!
"蘭鈺児。タイプだ。初めて見たときから。
君と私の間にできた子どもたちが確かに見えた、男の子が13人に女の子が7人だ。
私はこの九州いちの商人だ、金に不自由はさせない。
私といれば左手団扇で暮らせるぞ
蘭鈺児、私の妻になってくれ"
ーーーなんちゃって

二人の鴛鴦夫婦ぶりは評判に

だといいな。
任しとけ、と大きく出た徳。
なぜそんな自信が…
珪璃谷はど田舎だったから女の子たちが群がっていたのか?

自信満々で笑い茶を啜る…、って湯呑みが全然見えなかった。
これもまた、美しい所作。

第17話
"そこは瀚州の北端で草すら生えないほど寒く"ーーー盼兮無情

今日も徳は未平斎にいる。笙殿下を訪ねたものの殿下はお散歩で留守。
戻るのを待つ間、見初めた蘭鈺児にインテリぶりを見せんと黒い森についての蘊蓄を。

未平斎の茶杯はデカい
新たな装い。真珠をあしらった銀冠に金糸で豪華に刺繍された絹の着物を纏う。肩当てつきの上衣はノースリーブでジレのようなつくり。一番よく着ていた衣装。
得意の伏し目

訥々と語る徳の声に耳を傾けながら刺繍に勤しむ蘭鈺児。
そんな二人の周りで、他の使用人たちが洗濯や掃除をしたり薪割りなどをしている。
…と、一人の侍女が盥を落とした。薪を割っていた男の使用人が洗濯物を戻すのを手伝う。

するとふと、何かの気配ーーー何かはわからないが、何かを感じ徳が語りをやめる。

蘭鈺児が気づく間もなく、徳は他人様のお宅の中へずんずんと入ってゆき、気配を頼りに殿下のアトリエへ。
するとそこにーーー

ひとりでに光る珠
炎、雨垂れ、湯気など全てのものの動きが止まる

ひと呼吸置き
目線を上げた徳の前に

思念糸が集まり
光の中で人形になってゆく

現れ出でたる絶世の美女ーーー!
彼女は''魅"
笙殿下の母と同じ生命体だ

現れたかと思ったらフツーに話しだす美女

大興奮の殿下
二人はどうやら美女の名前をつける約束をしていたようだが
殿下はモジモジと、考えたけど教えない、君が気に入らなくってまた消えちゃったらどうしようかだし、あらそんなこと、大切なことかしら、何を言うんだ大切だとも、きみにやっとこさ会えたのにまた別れるなんて嫌だよとか

会話を立ち聞きし先手は自分が打つ、とばかり徳が独特の二人の世界に闖入する

このキョリと空気で!!よー割って入ったな!
すごい度胸!!

"その眉は遠い山のように秀麗で
唇は紅をつけずとも赤い
まるで絵から抜け出た神仙のようだ"
というわけで
貴女の名前は《顰仙》
で如何⁈

ずけずけとずかずか近づきながらドヤ顔でセマったいかがわしい輩に
美女は眉を顰める
顰仙だけに
しかし

なんと!!

ちらりーん

"誰とは、よくぞ聞いてくれました(←まだ押す。何という心臓と神経だろうか、これもまたパパのシゴキにより強化されたものだったりする)
私は宛州は鄴王が次子牧雲徳(皇族)
この若さで宛州商会の会長で(金持ち)
ルックスはイケメンオーディションで優勝すると信じていたほど完璧
キャッチコピーは"電眼美男"です"
とビシッと決めてみたものの

美女は美女にあるまじき暴言とともに
氷のような冷たい視線で睨みつけ

徳に何かの術をかける

果たして
カッと薪が割れる音と共に

"ーーー黒い森と言うのは瀚州の北端で殤州に接しーーー、

ん?

瀚州の北端で殤州に接するーーー、

ん?

この言葉はどこかで一度紡いだ
この光景はどこかで一度見た

徳は蘭鈺児に問う
この話をするのは二度目では?そんな気がする
蘭鈺児は答える
"デ・ジャヴでしょう?誰にでもよくある感覚では?"

デ・ジャヴ?いや違う
そうではなく…
そして徳はまたもや他人様のお宅に勝手に入ってゆく

笙殿下も美女もそこにはいない
(徳の記憶には残っていない)

たーこの!
美しいポーズ!!
暁晨の一挙手一投足は無造作とは真逆
このようにどうコマ撮りしても美しい
不思議な現象はやはりこの珠が、と直感した徳
しかし大切な殿下の宝物
勝手に触るとは、と蘭鈺児が咎める

らしくなく珠を持ったままどうしたらよいか分からないキモチがキモチワルイ
きっとこの珠なのだ
この珠なのにーーー

未練がましく珠を弄んでいる徳に
侍女であり奴婢である蘭鈺児がビシッと制する
"若様(原音では世子)"
徳はシュンとして珠を返す、のだが

このときから既に徳は蘭鈺児に逆らえないでいる
年は蘭鈺児の方が2歳お姉さんだ
身分の差もえらくある
それなのに彼女にはどこか強い押しがある
無意識に従ってしまうのだ

彼女にもその自覚があり
すぐに詫びる
とはいえあの美女は幻だったのか白昼夢か、徳は面白くなくて髪を跳ねさせる
これは徳のくせだ

というより暁晨のくせだ
他の俳優はあまりやらない
不貞腐れた芝居のときによくやる
面白くない徳はちょっと気晴らしに蘭鈺児を揶揄うことにした←最低

きみは何て美しいんだ
初めて見たときから私の胸はどきどきしてたまらないんだ

蘭鈺児は使用人につきものの"罰してください"を願う

罰するだなんて
私は温厚なんだ
温厚ってのは怒ったりイライラしたりワーワー喚いたりムチで八つ当たりし奴婢を半殺しにしたりなんかしないってことだ
嘘ばっかり

私は知ってるぞ
きみは笙殿下を慕ってるだろう?

慌てて否定する蘭鈺児だが
徳は揚げ足を取る
蘭鈺児の笙殿下への想いを自覚させ
お次はーーー

なんなのこの怪しすぎる笑顔は

きみが大切でたまらない愛しい笙殿下には
あの珠だの秘術だのは心を病ませお身体によくない。
ここん所食べたり寝たりしてみえなかったろ?
あの珠は殿下には毒だ
そこでだ

不躾を通り越したどストレートな申し出に蘭鈺児は仰天する
瞼の母の形見なのだ

この電眼に見つめられればおしまい

あの珠は私の秘術の師匠ーーーホラ、きみに迫った黒ずくめのカラスみたいな人がいたろう。
彼によると、殿下の命を奪うそうだよ

蘭鈺児は徳の嘘八百を躱し頑なに拒否する

"きみの勇気が出ないなら、仕方がない。殿下のお命は縮むばかりだが"
この胡散くさい笑顔!

殿下がなかなか帰ってみえないため
帰ることにした徳
別れ際ついに蘭鈺児は徳に珠を渡す気になる…

がまだ逡巡し、引っ込めてしまう。
ここのあ、…っていう芝居、上手すぎ。

申し訳なさそうに顔を逸らす蘭鈺児に
キュン…💕💕💕

触れたくて、思わず手を伸ばしたら、余計に竦ませてしまう。

"風に髪が乱れていたんだよ"ーーー

実はこことそっくりな描写がこの作品の半年前に撮られた『皇帝の恋』でも存在する
背後の気配に殺気を帯びて
頸を掴もうと伸ばした手を誤魔化すために
髪に藁がついていた、と言うものだ。
得意技💕💕💕

"殿下のために"なぜそこまで親身になって下さるの?
訝る蘭鈺児
今まで寒江以外誰も殿下に対して同情も関心も持たなかったのに?

んー…、お気の毒だから?
お小さい頃からお父上に嫌われ、お母上も亡くされ、さぞやお辛い半生であられたろう。屈折しまくった思いを抱えておいでなのにヘーゼンとしたご様子を装っておみえだ
お気の毒に。殿下に安らぎを与えて差し上げたいのだ"
ーーーあのー、それみんな貴方のことなんじゃ…、、、

なんて優しくて誠実なお方かしら、優雅な所作で暇を告げる目の前の徳に、蘭鈺児も見惚れた、そのときだった。
"蘭鈺児"

笙殿下が蘭鈺児を呼んだので、すぐに彼女の意識はそちらへ行ってしまった。
今の今まで徳のものだった彼女がーーー

仕方がない、今は彼女は殿下のものなのだ。
徳は切なげに見送るしかない。

愛しい者を見つめるときの風情は、いつもとても優しい。優しく抱き寄せ、たっぷりと唇を吸い、その髪を撫でる指は深く、眼差しはとても切なくーーー
張暁晨の表現は、ありきたりでない。
独特な中に、いつも切なさがある。

殿下は突如アトリエから現れた。これも不思議なことだった。
殿下は"盼兮(はんけい)と名付けた先程の魅である美女と、精神世界であちらに行って戻ってみえたばかりだ。
今すぐに彼女から貰った宿題に取り組みたくてワクワクしているところだ。

せっかく長時間待っていたのに、無駄足。
徳にとって、心底腑に落ちない1日となった。

徳には、天啓で過ごす不思議な不思議な毎日の始まりでもあった。

何なんだ…
どういうこと…
一番嫌いなムダな時間をすごし労力もムダに…

というわけで
ますます面白くてたまらなくなる牧雲記
パパのいないこのころは
まだ徳は伸び伸びと珪璃谷で培ったものを惜しみなく使い
自信に満ち溢れている
















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