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千古玦塵〜千古の愛天上の詩 Part2

ご覧、あれが魔尊玄一だ

公式スチルが三枚しかないためヘビロテ

魔尊玄一から招待状を受け取ってから突貫で修行し、スキルを上げるヒロイン上古。
自力でそれらを成し遂げたのなら感動もするが、

あんなに無碍で非情だった師匠である白玦がここにきて甘やかしまくり、逆に倒れてしまった。

武器を作るのに気合いを入れまくり
スキルアップのための稲妻を身代わりに受けまくった結果本源(神が一人一人修行だの長寿だので貯めて持っている神力)の大部分を遣い果たしてしまったのだ。

大体こういう行動はヒロイン本人に内緒で行うのがお約束で
"私のためにこんなにヘロヘロになって"
と感激して恋に落ちる、という流れになるのだ。

九幽の地がもっと殺伐とした荒野で、禍々しい気で満ちているのかと思いきや、美しい場所だった。
開播前、美術セットのスチルを見ながら、どれが玄一の住む邸かしら、とわくわくして楽しみにしていたが、よもやアウトドアだったとはーーー
(邸はある)

今でも十分美しいが、七万年以前はもっと光に満ちていたという。
今の九幽はさながら流刑地のような場所なのだ

地面を覆うように紫の花が咲いていた
毒があるというが
上古や玄一のように混沌の力を有していると
この花がパワーアップを助けてくれる
七万年この花の生気を吸収し続けた玄一は
炙陽らが思っている以上に強大な力を蓄えた。

来たーーー

浮かび上がったその姿
魔尊は常に浮いている
この作品ではこのように終始吊り下げられていた
"ご覧
あれが魔尊玄一だーーー"

"久しぶりだな白玦
そちらが混沌主神上古か?"

暁晨の黒いひとみ
豊かな睫毛
少し充血ぎみ
"目を見てはならぬ"
玄一は心を読むことができるのだ
キャー厄介

話がしたい
一緒に盃を交わそうではないかーーー
痩けた頬
この窶れようーーー
実はこのとき
暁晨は撮影の苦労から食べものが喉を通らず
食べては吐き
眠れぬ夜を重ねていた
それでなくとも生来肥り難い体質で
普段からやたら食べ続けていないとすぐに痩せ痩けるという羨ましい体質

暁晨は河北出身なため主食は麺(奥様は湖南)
鬼のように炭水化物攻撃な食事(いつもではない。体重を戻さねばならないとき)

みるみる目方は10㎏も減った
吊り下げられたままの演技は手足の感覚を奪いいつも以上に過酷だった
"魂までも侵略し"役になりきり打ち込む暁晨
なぜ演技派と一目置かれる彼がそこまで焦燥していたのか?

"静かに座し何事にも捉われず
食べたいときに食べ眠りたいときに眠る
心も体もリラックスさせれば災いを避けられよう"ーーー
撮影中のこの投稿は
そうしたくてもできない彼の苦悩だったのだ
彼は自分に言い聞かせていたのだ
なぜ?
なぜーーーその理由はまた後ほど。

"玄一
悪いが彼女は酒に弱いのだ
今日のところはーーー"

"しかし私(魔尊は一人称を本尊という)がもし
付き合えと言ったら?''

次の瞬間
白玦の前から上古と玄一が消える

玄一は自邸に上古を連れてきた
邪魔な白玦は別の場所に閉じ込めた
いや、白玦がいるのが元の場所で
こちらが幻覚なのかもしれない
それほど幽玄な景色ーーー

玄一は玩具や凧など
未だ幼児のような上古のために影絵を用意。
私はこのシーンで
あっ!と声を上げた。
この影絵はーーー!

これは、暁晨が緑洲(微博と連動したSNSでInstagramのようなもの)に上げたもの。
日付けを見るとーーーそう、これはクランク・アップの日。
つまりこのシーンがクランク・アップの日に撮られたことを表しているのだ。
もちろん私はこの符牒を放映してから知った。
なぜだ…
暁晨は6月始めに横店(撮影所)入りした。
こんなに出番が少ないのに、なぜ10月までかかる?
今思えば、映っていると喜んだクランク・アップの集合写真もーーー

着た切り雀の暁晨では分からないが、許凱と周冬雨は九幽で玄一に会ったときの衣装を着ている。
最後に終えたのは、もしかしたらこの3話のシーンだったのではーーー

上古が繕うように言葉を紡ぎながら歩き出すが、暁晨は動かない。目の前の対象物が移動しいなくなってしばらくしてから目線だけで追い、ようやく次の動作に入る、これも"張暁晨流"と私が呼んでいる独特の特徴だ。

次いで破顔し笑いながら後に続くが、この笑顔は紛い物だ。
上古は唆すために連れてきているからだ。
"本当の"笑顔でないーーー
張暁晨の演技が繊細で精彩と評される所以だ

上古の後ろを玄一が歩いてくる
暁晨は踵から足をつけ歩くくせがあり体が揺れる
それがまた優雅でいつも見惚れる
玄一はつらつらと、上古が普段親しくしている者たちとは知己であることを匂わせ、上古の警戒心を解こうとする
上古が知っているみんなの姿は昔なじみの玄一から見るとすっかり変わった、と嘘を言い
白玦の話へ移行させる

外が花咲く春なら、ここの玄一の宮殿は秋。
紅葉のオレンジ色と玄一の茶鼠色の着物とがマッチしてより幻想的な画面になっている。

上古はこの桟橋を歩くあいだに早くも玄一の話術に嵌り
悪い人ではなさそうだと思ってしまう
独りは寂しい?
出方によっては、昔のように貴方もみんなと仲良くーーーと。

"かかった"
どこまでも無知で幼稚な上古
あの連中と仲良く?
冗談じゃない
それが玄一だ
みんなのことは君以上に知っているが
信じられないよ
あの白玦がこんな可愛こちゃんに絆されてるんだからな

上古は玄一の用意した影絵の舞台を見つめながら否定する
貴方みたいに私を楽しませようとか
こんなプレゼントを用意しようとかしてくれたらいいのに

"いつも冷たくあしらい、厳しく意地悪で高慢ちきなの"

上古の恋心を知りながら、面白そうに見つめているここの演技。
あの堅物が、こんな少女(演じている冬雨は許凱より年嵩の30過ぎだが)に自分の本源を与え、ヨレヨレになるほどとは!
仕事をやり易くしてくれる有り難い存在に、ほくそ笑む。

白玦は色欲どころか
凡ゆる情を解さぬ堅物で有名だ
殊に女とくればごみや虫以下
それがどうだ
君に奴は骨抜きになってる
驚いたのなんのーーー

白玦の解説をしながらバカにしている空気を感じ取り

上古はつい振り向き玄一と相対してしまった

見つめる玄一の深い眼差しーーー

そこに白玦が。

一目散に駆け寄ってゆく上古をまた遅れて視線だけで追いながら

殊更ゆっくりと振り向き
泰然と欄干に手を置くこの痺れる芝居!!
上古は白玦に
"悪い人じゃなさそうよ
仲良くすれば(自分が混沌主神にならなくてもーーーきつい修行をしなくとも)災禍を免れるんじゃないかしら"
と告げるが
後ろにいる玄一の様子からしてとてもそうは思えない

自身のせりふだけでなく
相手のせりふが表すもの
それが何を意味するのか示唆する演技
それを堪能するのが張暁晨を見ることの醍醐味だ

多くの方は作品の筋を追うのが目的で
中には早送りをして消化し
良作か否か判断を下すという
早送り?
そんなことをしてしまったら
この至高の演技を見逃してしまう
他の俳優は早送りで字幕だけ追って構わないが
張暁晨だけはコマ送りで見るべきだ

白玦が急に積極的に
これは玄一が見せた幻
上古の、いや、二人のようすを見て揶揄っているのだ

いいところで白玦が駆けつけて来てしまった
白玦が現れた際の芝居
普通なら
ち、惜しいところで!とか何とか舌打ちする場面だが
ゆったりとした余裕を失うことなくまだ揶揄っている

"今度私で遊んでみろ、酷いぞ!"
と抗議した白玦を見て

まだ遊ぶのをやめない
こんな小娘ごときにそこまで入れ上げているとは

お気楽なことだ
どいつもこいつもーーー
真に三界を統治するのに相応しい者は誰なのか
わからせてやる
その面を見ているだけで湧いてくる感情がある

上古
そんなつまらん奴などやめておけ
ここにいたらいい
好きなだけ好きなことをすればいい

結局留まった方が話が早かったのだが
白玦は汚いものでも見るかのように蔑んだ目で睨んだだけだった

ここに来たからには恨みを晴らさでおくものかーーー

祖神の罠

逃すか!弱っているうちに貴様を料理してやる、と追撃する玄一。

結局和平について話し合うなんてのは玄一の口実で
戦う二人
''玄一をどうするの?"
上古の問いに白玦は炙陽を呼んで来るよう言う

"厭よ、貴方独り残して行けない。本調子でないんだもの"

原語ではここで玄一は上古の勇気を"匹夫の勇"としている
無謀な勇ましさだけで残るとは愚かなりーーー
そう言いたいのだ

白玦は無理矢理上古を結界の外へ放り出す
本当に強引

報せは送ってある
『玄一に翻意あり
直様こちらへ来られたし
例の仕掛けを施さん』ーーー

今から行う姑息な作戦を"幼稚で浅慮な"上古に見られるのは困るのだ
イメージが悪くなるからだ

ここで主人公のお決まりの御託が始まる
"なぜ悪さをやめようとしない?
悪いことはやっちゃいけないんだぞ!"
というやつだ

"喧しい!
何の権利があって貴様なんぞに説教されねばならんのだ"
と悪役は返す
正義の味方が"なぜ"を分かろうという頭など持ち合わせていないことを知っているからだ
説明するのもアホらしいという場合もある
今回はそれだ

白玦は妙に挑戦的だ
そう
炙陽と天啓が駆けつけるまで時間を稼がなければならないからだ

どこか胡散臭さを感じながらも
玄一には白玦は弱っているという考えがある
ならば応じてやろう
今からぶっ殺してやる!

白玦の策略に嵌り、応戦する玄一。

結界が揺めき、何かが起こったことを察する玄一。

"結界が破られようと(自由を手に入れることができるようになっても)貴様は殺さぬ"
と言い放った時だった

突如白玦が槍を立て座り込むと、上空から凄まじい力の圧が!

新手の攻撃か何かかと思い当初は睨みつけているのみだった玄一だが
そこへ

炙陽と天啓、そして上古の神器までも加えてその圧力が更に大きく。

これは"陣"だーーー!
そこで玄一は、これは単なる攻撃ではないことを悟る。

"貴様らは私に何を仕掛けた⁉︎"

何と
出てきて活躍するのかと思いきやたった15分で更なる拘束に遭うという
これが悪役のさだめなのだ
悪だからという理由だけでこの仕打ち
他の四人、その他大勢の神仙たちはお気楽に酒や恋愛やとお気楽に過ごしながら

よくもーーー!
祖神擎天よ
見ていろ

命を奪わぬかぎり
私は諦めん
「改心」だと⁉︎
定めとは何だ
私は負けん
定めなど

きっと踏みつけにしてみせる
負けるものか
負けるものかーーー!!

斯くして暴れてやろうとした矢先
瞬殺で地盤の下に呪縛された魔尊玄一ーーー

墨羽くんが心配し
"魔尊!ご無事ですかっ⁉︎"
と呼びかけてくれて

ハッと目覚めると

地盤の下にてるてる坊主のように吊るされ
両手は身体に拘束されたまま

このスタイルは初めてではなかろうか
両手を広げた状態で鎖に縛られるパターンはよくあるが
不自由にも程がある

じじいがーーー!
九幽の地に押し込め
結界で七万年封じた上
それでも警戒してもう一つ手を打ってあったとは!

だいじな魔尊がこんな状態になったというのに
墨羽くんはヘーキなようす
何なんだ

上古ちゃんは睨んだとおり
単純で大事な人が大好きで
彼らに迷惑をかけるなら自分が、という犠牲心が強い
願ったり適ったりな子でしたね!

そのようだ
あれならいい
きっと私の思惑どおりとなろう
ただーーー
まだ能力が低すぎる
あれでは混沌主神にはなれぬ

混沌の力を有するのは私と上古のみ
他の三人には指導は出来ん
いずれーーー
白玦は私に頼らねばならなくなるだろう
不本意でも

私は負けん
定めの上に新たな命運を見出してみせる

弑神花が開花する

七万年
このときを待った
私の運命を換えるときがやっと訪れるーーー!!

ラストカットまでの
玄一のテーマと言えるBGMに乗って
魅せる独白のシーン
永遠にそこから出るな、と言われたというのに
少しも悲嘆していない
つまりちっとも困っていない
何か秘策があるに違いないのだ
祖神擎天に対して全く敬意を抱いておらず
そのへんのじじいを見るような態度
この祖神とやらが声のみで全く姿が描かれないため
いまいち感情移入が難しいが
玄一のようすからしてろくなものでないことがわかる
チンピラのようでいて
高貴な風流人のようにも見える
それが張暁晨だ
胡散臭い雰囲気を醸すのが非常に上手い

張暁晨が演じる以上
"ただの悪役"には絶対にさせない
作品を見終わったあかつきには
きっと心に残る
身離すことなどできない存在になっているはずだ
もしかしたら主人公よりも

それは彼が
非常なリアリティを持って演じるからだ
その場だけのせりふ
その場だけの芝居
思いつきや惰性など決してない
絶対の解釈で辿り着いた一つの答えのみで
説得力をもって演じるからだ
玄一は何を成し遂げたくて
なぜ魔に成ったのか
ただその問いへの答えに向かって
彼の物語を紡いでゆくーーー







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