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予期せぬ波乱の全国決勝大会第四戦〜激情燃焼夜〜

第一戦は34人から大殺戮の15人へのチーム戦
第二戦は15人から10人への大舞踏会
残された10人の王子は南の島をイメージした第三の戦いで9人に
そして第四戦は誰も予期せぬ波乱に満ちた戦いが待っていた
伝説のイケメンオーディション番組『加油!好男儿』
全国決勝大会第四戦ーーー

第四戦のテーマは"軍管秀"
国を、愛する者を守ってこそ『好男儿』!
サバイバルなシチュエーションで大掛かりなロケが行われた。

なかなか体験できるものではない輸送ヘリロケ。
暁晨が先頭、久しぶりに嬉しい

勿論輸送ヘリに乗り込んで撮られたものではないが、編集に力が入っている。
とはいえこの頃には、各選手は発熱するやら風邪を引くやら、三亜の炎天下のビーチでのロケがトドメとなり体調は最悪だった。

怡川のさすがの眼光。普通にカッコイイ

蒲巴甲、暁晨は一緒に点滴を受けるやら、巫迪文と呉建飛は風邪からの熱でフラフラで、とにかく軍人陳怡川以外はみな満身創痍だったと言っていい。

だんだん魏斌が可愛くてたまらなくなる件

それでも若い彼らのこと、魏斌などは戦闘シーンの撮影で倒れてからはずっと死んだふりをしたまま寝てしまうなど、茶目っ気たっぷりで楽しんでいた。
怡川はまさかの軍隊テーマで、大張り切りだったことだろう、但し彼は空軍パイロットであって陸軍ではないが。

センターを歩いてくる怡川がカッコ良すぎる

傷だらけの体、疲労で限界のなか
この頃にはみな"とにかく多忙。みんなごめん、もう限界で眠らせて"と毎晩のブログで一行でも書ければいい方だった。

ネイビーな暁晨、アーミーな天宇、エアフォースな魏斌と怡川。
何より暁晨の白の『好男儿』ユニフォームに『好男儿』バッジをつけたセーラー帽という最高にすてきな格好をさせてくれたことが嬉しい。

第一次審査 

まずは再び第二戦のときのように3人ずつ3つのグループに分かれて演舞を披露。
暁晨は第一グループ、蒲巴甲、巫迪文と共にカラーガードを披露する。

左下に出ているのが獲得票数。見る間に増えてゆく

暁晨の細身の体躯、長い首、薄い撫で肩、常人より長い腕ーーー
思わず視線が追ってしまう、何とセーラー服が似合うことか。
短い出し物だが簡単な振り付けのこんなものでもきちんとやろうと思えば大変な負担だろう。

愛しい頸と首筋

試合は一週間毎に行われ、その間に振り付け、ロケ、歌の練習、暗唱、全てを準備せねばならない。
第四戦のこのとき、暁晨は39度(本人の記載したブログより)の熱があったという。

暁晨が演唱したのは『軍港之夜』。もう少しキーを上げれば映えたのにと思うが、ぎりぎり聴けるというほどの出来。
しかしながら、他の選手の歌を見てみると一番彼に合っていると思う。

ここで彼にサプライズが。
河北省の実家から彼の母親と祖母らが観覧に来ていたのだ。

真ん中が暁晨のお母さま。

お母様は息子について語るうち、感極まって泣いてしまった。お祖母様は母方。もう2人は友人と紹介されていた。このあたりも本当に何と言っているのか分かればいいのにと、悔しさばかりだ。

さて、その流れでなぜ息子がこのような舞台で頑張っているのか、暁晨が促されたのは詩の暗誦だった。
地方大会からこっち、暁晨のウリはこの"English"なのだった。
用意してきたのはアマンダ・ブラッドリーの"夢を決して諦めない"である。

ALWAYS HAVE A DREAM
                           Amanda Bradley

Forget about the days when it's been cloudy, 
But don't forget your hours in the sun. 
Forget about the times you've been defeated, 
But don't forget the victories you've won. 
Forget about the misfortunes you've encountered, 
But don't forget the times your luck has turned. 
Forget about the days when you've been lonely, 
But don’t forget the friendly smiles you’ve seen.
Forget about the plans didn’t seemto work out 
right.
But don't forget to always have a dream. 

ただ
暁晨は熱と疲れのせいもあってか
家族の前で感動的な場面を演じなければと緊張したからであろうか
暗誦は最初の一語"Don’t forget"…、から全くなっていず
まさかの"forgot”の応酬となってしまい
カッコよくインテリなところを見せられず終いだった
いろいろともう限界だったのである
しかし、その夜のブログでは
"全く落ち込んでない。
こんなこともあるさって程度。
何でも上手く行くなんてことはそんなにあるもんじゃないし
上手く行かなかったって次上手くやればいい。
くよくよしない。次もっと上手くできるよう、努力するだけ"と。
何て大物なんだ…。

第一グループが終わっての総評。巫迪文の背の高いこと

暁晨らのグループで残留が決まったのは蒲巴甲だった。誰の名が呼ばれても、自然笑顔で祝福できるのは素晴らしいこと。

蒲巴甲の歌は朗々と自信に満ち溢れ、ミュージカル俳優の貫禄さえ漂う。歌唱力で言えば彼が文句なしのチャンピオンだ

第二グループは向鼎、陳怡川、魏斌。

何が興味深いと言って、本物の中国人民解放軍空軍パイロットにして中尉である怡川の軍人としてのパフォーマンスが見られることだ。
怡川がなぜこのイケメンオーディションに応募したかというと、
"軍人たるものいつまでも旧態依然としていては、国民の支持は得られない。
自分がこのコンテストで親しみを持ってもらえ、新しい現代の軍人のイメージを打ち出せたら本望だ"

すごい気概で臨んだのだった

上官からは
"軍の機密を漏らさぬこと、軍のイメージを損ねないこと"
を条件に出場の許可を得た
許可を願い出る方もだが許可を出す方もすごい
面白すぎる。

怡川が着ているのは本物の礼服。

怡川は子どもたちと『我が国の青い空』を微笑ましく歌った。

"我〜、愛〜あいあいあい"が印象的。
出血大サービスでもう一曲歌ってくれた
即座に伴奏をつけるキーボーディスト、すごすぎ。

何と、暁晨だけでなく怡川にもサプライズゲストが。
軍での同僚と上官殿だろうか、ここでまた軍歌の大合唱に。
"陳怡川中尉は軍の誇り!新しい軍人の騎手となるであろう!"とか言われたのだろうか

普段はキリッと引き締めた顔の怡川だが、この夜ばかりは笑顔が溢れた

第二グループの残留者はやはり怡川!そりゃそうでしょう。敬礼が心地よい

第三グループは馬天宇、呉建飛、宋暁波。

馬天宇はここではマーチ調の曲を歌った。
ボイストレーニングも受けている天宇だったが、まだまだ億劫がっている。

ここで私が例に取り上げている献帝とは、馬天宇が演じた後漢の皇帝のことである。
彼は何度目かのブレイクをこの役で果たした。

始終憂いを帯びた表情でさめざめ泣く気高く美しい皇帝は天宇にぴったりだった。
ともあれ
まだ2006年夏のこの『好男儿』ではまだ彼はど素人のハタチの男の子である。

『打靶帰来』。上手く歌えていないことはもちろん本人も分かっている。
分かっているからこその苦悩であり苦痛だった。
あの悪夢の第一戦の時から全く進歩のない自分ーーー。

いったいこんな自分がなぜ武漢地区の冠軍(チャンピオン)であり、ここまで残っているのか。
他の選手たちがファンに応え、己の最善を尽くさんと黙々と取り組むなか、天宇は悩み抜いていた。
人前で歌うことも、笑顔を振り撒くこともファンに媚びて握手することも全てが苦痛でならなかった。

呉建飛は『白樺林』をしっとりと歌う
宋暁波は『蛍の光』に乗せてダンスを。

天宇のグループは宋暁波が残った。
暁波が手話を用いて話すさまはこの頃には多くの観客を虜にしており、手話を習い始める者が激増したという。無敗の気配すら漂っていた。

第二次審査

第二次審査は先の試合と同じく、お題に沿っての短いコントを演じる。今回は既存の有名な古今東西の戦争もの映画からコミカルなものを選び、それぞれ残った6人が挑む。

演技を終えた6人、審査員から名を呼ばれる度に笑顔で離脱してゆく。1番は巫迪文、つぎに名を呼ばれたのは暁晨。
英語の暗誦は惨憺たる出来だったが、何とか家族が見守るなかでの淘汰劇は回避した。

残りの四人。馬天宇対呉建飛では建飛の票の方が勝り、三人に。三人は天宇、向鼎、魏斌の順で票だけで見るなら魏斌が最下位なのだが、ここで審査員の横槍が入り、向鼎が最下位席へと遣られた。
票と表演を見ての審査員の印象、その場その場で下される評定が混在し、ここがどうにもモヤモヤさせられる。
これで下から二人の魏斌と天宇のPK戦となった。

譲票們事件

魏斌との一騎討ちとなることが決まったとき
天宇の中にあったのは
"恐怖"だった
魏斌は地方大会決勝、第一戦、第二戦と常に最終ジャッジ席にいた
ここまで来たのだ、悔いはないと笑う。その笑顔を見ながら、天宇は恐怖と戦っていた
魏斌の得票数はこのとき最低
鍾凱のときのように魏斌が去るというのか?
魏斌は残るべきだ、魏斌が去るなんて!
不甲斐ない自分こそ去るべきだーーー
顔を上げたとき
"ある考え"が閃いた

PK戦では会場にいる23人の審査員がそれぞれの贔屓に花輪を掛けてゆく
多数決で負けた者が最終ジャッジの迫(せり)でのカウントダウンに遣られるのだ
天宇は突然呼びかけた
"花輪は魏斌に"
と。

天宇は拍手で自ら魏斌コールを叫んだ。
魏斌も叫んだ。
"やめろ!これ以上黙らないなら、考えがあるぞ"
と。

天宇の取った行動に感動し迷うことなく魏斌に花輪を掛ける者、天宇が固辞しても天宇に掛ける者、果たして天宇の言うとおりにしてよいものか逡巡しながら魏斌に掛ける者、勿論残留してほしいのに推し自ら退陣を希望するという行動に泣き崩れ悲鳴を上げる天宇の親衛隊ーーー
魏斌は大変に憤り、花輪を避けるように拒否するもそれはカウントされてゆき、ついに最後の花輪が掛けられ勝者は魏斌ということに。

正々堂々と戦いたかったのに情けをかけられ自尊心を傷つけられた魏斌は天宇が握手しようとしても背を向けて拒否。
それでも天宇は満足そうに、対決を終える。
騒然となった会場はベテラン曹氏によってそのまま進められることになった。
この有無を言わせぬ捌きかたはさすが。

天宇は向鼎と迫に並んで立つ。

しかし、結果は天宇の望んだようには全くならなかった。

向鼎は天宇の目の前で、みるみる下がっていった
結局ーーー
魏斌を守ったものの向鼎を見送ることになったのである
天宇と同じくらい頑固で信念を持った向鼎は
ちょっぴり天宇よりも大人だった
決して女々しく泣かない、と以前から宣言していたため必死で上を向き
涙を堪え向鼎は残りの希望を、天宇に託すと言い、バッジを贈りたいと言った

天宇。
諦めないって誓って
君には何かがある
でなければ地区の冠軍にはなれやしないし
ぼくよりたくさんの票など集まらない
それは"魅力"なんだ
欲しくったって誰もが貰えるものじゃない
それをきみは持っている
だからこれを君の胸元に残してゆく
ぼくの意地と夢を
ぼくの代わりに君が貰って
だからもう
向いてないとか疲れたとか言わずに
諦めないと約束してーーー

第二戦、舞踏会のときの写真

向鼎は両親が出稼ぎのため育てることができず、伯父の家で5歳から16歳まで暮らした。
幼い向鼎に、駅で別れる際母親は"ママたちが別れて暮らすのは、お前の学校に行くお金と、みんなで暮らせるおうちを買うお金を稼ぐためなのよ"と言って聞かせたという。向鼎は聞き分けのいい子だった。

幼い頃からその中性的な容貌から、男女などと揶揄われる度に嫌で仕方なかったという。
自分だってレッキとした男子だ、と証明したくてこの番組に出たが、番組があまりにも注目され、却ってゴシップ誌などにひどい中傷めいた記事を書かれ、名誉毀損で訴訟したという騒ぎも番組中で起こった。
しかし向鼎は夢を諦めることはせず、番組後も東方之星のタレントとして芸能界に残った。

現在の向鼎

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