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海上牧雲記〜Part13

第46話 なりませんぴーしゃー!!

瀚州では欒パパ(実務は徳)によって前もって子飼いにされていた赫蘭部族を中心に、300年の間牽制し合っていた碵風、速沁、馳狼、丹堯などの部族が集結、支配していた瑞朝に対して戦いを挑み、駐屯していた穆如軍を壊滅させた。
孤松拓が討ち取られ、拓パパは衝撃を受ける。

彼らはでかでかと宛州牧雲氏の家紋が入った武器を使用していて、ぜったい裏で操ってるのはあのクソ狸、鄴王ですってば!!
と寒山兄さまが拳を振って主張するも
穆如パパは
そんなことよりも穆如は勝たねばならぬ!
ぴーしゃをお守りするのだ!
と取り合ってくれない

欒パパの差金よりも
この穆如パパによって瑞朝は滅びの道を辿るのだった

単に穆如パパはぴーしゃへの愛を貫いただけのような

ぴーしゃはナンコ皇后を虐めているうちに
再び亡き銀蓉とその息子をいかに愛していたかを再確認し
笙殿下の幽閉をお解きになった
"わが息子GO戈の幽閉は解かないのにあの女の息子を解くなんて!キー!"という内容の文を内官に託す
"誰の目にも触れぬよう"急ぎ届けろと託された密書はーーー

チャッカリ徳の手元に
どういうことかというとーーー

そうなのだ
徳は予め客桟の従業員を取り込んで
パパ宛てのものは全て先に自分の手元に来るようにしていた

"何を言うんだ水くさい"
まさか母親の病まで徳の仕業とは思いたくないがやりかねない
この凶悪な表情を見ていると信用などぜったいできかねる

皇后が何だって?
内容を読んでいた徳、ふと動きが止まる。

密書を再び元に戻してパパに届けるように言う
カメラがその間ずっと伏し目がちのその横顔を捉えている
シレッとこのような手で父親を出し抜いている息子
しかし徳はまだ知らない
自分が使っている、と思い込んでいる者がパパの手先かもしれないことを
パパのスパイはそこいらじゅうにウヨウヨしているのにーーー

笙殿下が赦されるーーー
それは徳にとってわくわくすること
魅を失った殿下は何もかも失って抜け殻のようになっているかと思うが
赦されもしか太子に返り咲くとなればパパの計画はまた振り出しに
皇后の心も離れてしまう

パパの計画を補助しながらも
パパの計画が失敗するのもいとおかし
"赦される"笙殿下に思うのは
これまた複雑極まる徳の内ーーー
この切なさと奥行きが出せるのは張暁晨だけだ

スイートルーム前のプライベートテラスでお茶を飲みながら皇后からの密書を読むパパ
ラブレターかと思いきや
"ちょっと!あの女の気味悪い息子が無罪放免でぴーしゃ直々に幽閉先に行かれるそうよ!どうなってるの、この役立たず!"
と書き殴ってある

読み終わった文を畳み指で折り目をつけたのち
火鉢に放り込むこの動き
怒ってる
怒ってるよーパパの機嫌が最悪に

パパの背後の渡り廊下を徳が静かにやって来る
この描写がすき❤️

"徳儿が参りました"

"ええ⁉︎何ですって
陛下直々に蟄居中の皇子を訪ねるなんて前代未聞です、もしかして赦免されるので⁉︎"

芝居が上手すぎな息子
そりゃ俳優だから
パパも俳優だけど

パパの用事とは
"ぴーしゃの未平斎訪問を阻め"ーーー笙殿下が外へ出られては困る、というもの

具体的に指示はしない
仄めかすだけだ
"そうでしょうねー知らんけど"
などと無能な返事をしようものなら
役立たずと見做され殺される
しかし大臣たちをも操れるなんて
徳はすごいのねー

では。とサッサと去ろうとするも心の中では"だんだんカウントダウン"
3、2、1、ーーー"だんだん(待て)"
ゆっくり振り向く徳
"ちっ"
という舌打ちが聞こえてきそうだ

"だんだん"の用事とは
大臣たちにぴーしゃが未平斎に行かぬようにするだけでなく
未平斎のあるじを殺してしまえ、ということ

息子に殺しまでさせてヘーキな父親
さすがに皇子殺しとは
徳も懸念を顔に出す

実は徳は笙殿下を亡き者にさせたくない
なので何とかパパの命令を撤回させたい
しかしパパの決断に迷いはない
"相手が強い力を持つほど
排除は早い方がよい"
意のままにならぬならーーー
これは徳に対しての忠告でもある
言うことをきいているうちは可愛がりもしよう
歯向かおうとしようものなら
殺すまでだ

そんな…、言うことを聞くよう操ればよいではないですか、怖がらなくても…、
惜しむ気持ちがついその口を緩ませた

聞き咎められハッとする
慌てて居住いを正し詫びる徳

先程までパパの失敗を嘲笑いほくそ笑んでいたのに
不興を買うと怖れ途端に縮み上がり嫌われたのではとハラハラしてしまう
どうしてもパパの顔色を窺ってしまう自分が情けなく哀れで
そんな自分と自分の運命を呪うのだ

パパに反抗し超えたいと思う
けれども愛し気に入ってもらい
よくやった、と褒めてもらいたいというゆめを
どうしても持ってしまう
何も言えずに叩頭し退がる徳が哀れ

茶を飲もうとするも
まだ怒りが収まらず火鉢に棄ててしまうパパ
どんなに瀚州の采配がうまくゆき穆如が滅んだとしても
あの魅が生きている限り大業の脅威となるからだ。
徳の言ったように
パパはとにかく魅が恐ろしいのだった

ただ一人の友の元へ

天啓の都に季節外れもいいところの雪が散らつき
笙殿下が生まれた日も雪が舞ったことから
大臣や兄に陥れられ
濡れ衣で蟄居となった息子への愛が募り
矢も盾もたまらず会いにゆき謝罪したい、と切望したぴーしゃ

ぴーしゃを演じる盧芳生さんはこの一年後再び陛下(こちらはふぁんしゃんと呼ぶ)となり
同じく謀叛を企む兄に頭を悩ませることになる
しかも総太監はまたまた王鋼さん(南枯皇后肝入の呉太監)だ。

しかし
魅の血が流れる皇子=人間(人族)じゃない
で、
不気味で仕方のない薛大人をはじめとした派閥メンバーは
文字通り矢となり盾となるために
徳がお膳立てをしたお膳の前で秘密の打ち合わせ

縁側から上がるのね…

みんなでぴーしゃを説得する作戦はあれっきゃない

皇宮の出口でぴーしゃを待ち受けていたのは

臣下総出で座り込み
陛下、皇上、王様などが首を縦に振るまで嘆願を脅迫する韓ドラ華ドラお馴染みのアレ
なぜ日本にはこの習慣がないのだろう
何かあるたびに雨の中跪いたりして哀れアピールをするコレ

馬車の前に居座りブロック

しかしそれを掻き分け蹴り飛ばしながら尚も赴こうとされるぴーしゃ
"ええぃどくのじゃ!どけと申すに!"
という萌えすぎるせりふ!!

息子(拓ちゃん。ゆーはおみん)を殺され喪中の孤松パパはくちゃくちゃにした顔で
もう怖いもの無し
みんなが止める間もなく馬車のカドに頭突き!!

大騒ぎに!!

魅の次期皇帝なんかに絶対仕えたくありません!

愕然と立ち竦むしかないぴーしゃーーー

未平斎ーーー
晴れて謹慎が解けた笙殿下は訪ねてくるぴーしゃに会うため返り咲いた太子の黄色装束に
侍女総がかりでお着替え
こういうのを見るとやはり殿下は皇子様なのであった

そしてーーー日が傾きかけても
誰も来ない

この縁側の端にちょこんと座っている殿下がまるでアヒルのヒナみたいで可愛い🐥🐥🐥

半日も待っていた笙殿下(T_T)
なぜぴーしゃがおみえにならないかが分からない虞心忌
そこへーーー

待ち人とは違う客が
"ムダですよー!"

サッサカ歩いて来た徳を
二人とも半ばポカンと見つめている
"ぴーしゃは来ないの"

徳は胡散臭い鄴王の胡散臭い息子でデンジャラスな人間だと思っている虞心忌は(彼は穆如軍の者なので鄴王サイドは敵)全然信じていない

"皇宮に招かれた私の父が殿下のことを慮り
私に(待っていないか)様子を見て来いと言いましてね"

徳はうそを言う
パパに言われたのは殿下を殺して来い、とそれだけだ

陛下は殿下より宴会の方を選び来られなくなったと報せる使者すらも
殿下を蔑ろにしてほったらかしたんでしょうね"
これもうそだが
初放映時
この徳の言葉をまんま信じてしまった人が
"何て意地悪なの?わざわざ殿下にうそを言って揶揄いに来たのね?サイテー"
と怒っていたが
違うのだ

笙殿下もそんな人たちと同じように
徳が揶揄い、侮辱しに来たのだと憤ってその場をサッサと去ろうとしたが
徳は呼び止める

虞心忌を下がらせ
一呼吸置き、頑なに殻に閉じこもりご自分の世界だけに留まろうとする殿下に向き合うために気合いを入れる

"大変お気の毒な日々でしたね。だいぶ焦燥なさっておいでだ"
殿下はかなりお痩せになられた
これは本当だ

お話の中では二年前
撮影ではこの未平斎はクランク・アップの日だから3ヶ月ほどの間のどこか
"徳ちゃん笙くん"の11話では殿下はパンパンだったのだ
黄軒殿下の役作り、お見事。

"それほどまでにお心をお痛めになられたご境遇に同情いたします"

ここも
徳の話とは結局こき下ろしだとまた殿下が踵を返したのを
追いかけながら徳は話すのをやめない

"どれだけ酷いことを言ったら気がすむの?やめてよ"
とも言われかねない
違うのだ

"君は我慢してるが我慢にも限界ってものがあるだろ。強い力を持った者が弱い者を虐める、道理だ。弱い者は何を言われ何をされたって文句は言えない。
強い者が正義なんだもの。
どんなに善良だって悪くて強い奴らに悪者にされるのさ
弱いからだ!"

徳は目の前の殿下を見つめる
物心ついた時から呪われた子と忌み嫌われ冷遇されてきた六皇子
その不幸な運命は自分と似ている
孤独に苦しみ
望んで望まれて生まれたわけではないのに
なぜ蔑ろにされるのか
やっと共鳴できる友を持てたと思った
この従兄とならーーー
でも違った

殿下
殿下はお父上に愛されている
ご存知ないと思われますが
今日
陛下は並いる大臣たちを押し退けてでも殿下に会いに行こうとなさった
貴方は望まれ愛されている
盼兮も貴方を選んだ

殿下には生まれ持った魅族の血と秘術を操る力があるのです
あなたは強者なのですよ
こんなふうに踏み躙られるままに
侮辱されるのはお門違いなのです
貴方には貴方を愛する父と力がある
それなのにーーー

それなのに貴方は
秘術は、争いは好まぬと
まだ謂れのない不当な扱いを受けるのを善しとされるのか、力があるのに!
私が喉から手が出るほど欲しているものを
貴方は全て持っておいでなのに⁉︎

ーーー

この46話では
未だパパに頭が上がらず
怯え
畏れ
どれだけ尽くしても認められず愛されない自分と違い
一転薄倖に見えた笙殿下が全てを持っており
"陛下が六皇子に逢いに大臣らを蹴倒してでも行こうとした"
ことを知った徳が

嫉み、恨み、笙殿下をパパに言われた通り殺しに向かうかと思いきや

不当な仕打ちを受け続ける殿下に同情し
自分が持てずに気が狂うほど欲しているものを持っているのだと
殿下に知ってもらいたくて
ただ父を待ち続けているだろう殿下にただ会いたくてたまらず
罵りの言葉を隠れ蓑にそれを伝えるという
大変意外で胸熱な展開に痺れる
ここからのストーリーがまた泣かせるほどに素晴らしい
『海上牧雲記』の牧雲徳は
どんどん素敵に成長してゆく
次回もぜひお読み下さいーーー


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