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海上牧雲記〜Part11

第34話

欒パパが発案した"牧雲ロイヤルファミリー懇親会兼兼婚約披露パーティー"の3日前
蘭鈺児は未平斎へ

立って控えている側仕えは実はパパのスパイ

徳に言われたように
"宴で出された酒を飲まないよう"注進に来たのだ

殿下は去り際
蘭鈺児に訊いた
"今、幸せか。徳殿はそなたに優しいか"
と。

蘭鈺児の脳裏にこの間の夜が過ぎる
徳を守ろうとして不興を買った
徳は優しいか?
優しい
優しいからこそ月璃を救おうとした
彼女が何者か知らなかったからだが
たとえ知っていたとしても徳は救ったろう
大丈夫
今は嫌われていても
真心を尽くせばきっとーーー

きっと自分を愛してくれる
きっとーーー

第37話
破茶滅茶牧雲ロイヤルファミリー懇親会兼婚約披露パーティー(本番)

パーティーが滅茶苦茶になったのは欒パパの狙い通り。

①やはりというか寒殿下が土壇場で怯んでしまい動かず(欒パパは当然ここでおかんむりに)
寒殿下のノーブル極まる佇まい
優しい内面とどこか弱気な間の悪さは李子峰にピッタリ。

脱いだらすごい⭐️
何年もずっと両想いだったことに気づいたときには遅すぎた殿下
しかしご自分のときはタイミングは見誤らなかった


②蘇語凝を諦めきれない陸殿下が号泣しすぎてパパに怒られる(来る前に欒パパからさんざいろいろ悲恋について聞かされた)
陸儿(るーある)、って響きが可愛い
陸殿下はいつもぼろぼろお泣きになるため軟弱に思いがちだが
中のかたが孫堅なためどうしてどうして
特殊な粘着とヒドい面を持っている
ベストキャストだ

暁晨とは初主演作《新西廂記》で暁晨を慕う弟のような役を。ご自分以外には興味のないこの顔が最高❤️
殿下が大好きなのはご自分❤️

③徳が事前にヒミツを教えておいたのに笙殿下がご自分の意思で秘術ブレンドの酒を煽ってしまい

プッツンし暴れまくったため陛下がちゃぶ台(違)
をひっくり返すなどめちゃめちゃに

とっても痛そうに見えた岺鶴清の腕

後がない岺鶴清は盼兮の姿を明るみにしその場の全員を驚かせる

バレエのパ・ド・ドゥのようなここのシーンは美しくお気に入り

結果パーティー会場は蜘蛛の子を散らすように誰もいなくなり
盼兮と笙殿下も逃亡。

盼兮を怖がって固まる欒パパをぜひ徳に見せたかった
笙のママ、銀蓉を上回る盼兮のパワーを目の当たりにした陛下は魅族を初めて恐れるようになり
盼兮を殺害するようお触れを出した

いろいろ心労の絶えないぴーしゃ
観星閣ってば完全に日本の神社
廊下を走る姿さえ優雅✨✨✨

困ったのは徳たちだ
先生たいへん!

陛下が、というが全ては欒パパの狙い通り
パーティーの顛末を利用して
どこにいるかもわからない魅族たちが盼兮の影響で各地で狼藉をはたらいていると噂を流すわ大臣たちに奏上させるわ
全くもってすごいやり手

どうしたらいい
盼兮がいなくなったらーーー?

そしてーーー盼兮は殺された
パパの命令によって
岺鶴清の手によって
運命だという予言によって
笙殿下は怒った
今までの一生ぶんの不満をぶちまけた
運命⁈
誰が決めた運命だ
自分のことは自分で決める
とーーー

そして殿下は今度こそ星軌と観星閣をめちゃめちゃにしたーーー

あーあ、国宝が…

パパは怒って笙殿下を幽閉した
代わって皇太子候補になったのは寒殿下だ

どこか落ち着かない殿下であった

第40話
他人の不幸を寿ぐ親子

めちゃいい天気なある日の九州客桟
まるで欒パパの心を表したかのよう
珍しくパパの楽しげな声が響く
王千源さんのせりふ回しは歌うようだ

徳が注いでいるのは酒

そう
ついに真心を込めて造った徳のオリジナルブレンド
紅袖香をパパに味わってもらえるのだ
徳にとってこれこそが心躍る幸せな瞬間ーーー

他人の不幸は本当に嬉しいもの
この場合
他人というよりも
"憎らしい弟"だが
忌まわしい星読みタワーは崩壊
気味の悪い笙殿下は幽閉
陸殿下は失脚
魅である盼兮はいなくなり
皇后はもう一押しで靡きそう
頼りない寒殿下が次の太子候補だが
あんなもん蹴ればすぐに倒れる
笑いの止まらない欒パパ

そう
実はパパが以前徳が勧めても酒に口をつけなかったのは
禁酒の誓いを立てていたからだったのだ
酒で身を滅ぼした己が許せず
二度と同じ轍を踏まぬように

それならそうとは言ってくれないのがパパだ
本当に意地悪である

パパが上機嫌なので徳もつられて冗談混じり
無礼講なのに一杯しか飲んでくださらないのですか?

警戒を怠らぬことだ
一杯やら二杯やら
細かいのはいちいちお前の従順さを測っているのだ
増長させれば寝首を掻かれるかも

徳利を持つ徳の手が思わずぴく、と止まる
と同時にBGMがいつものにょーんというチェロのソロの曲に変わり←"腹黒親子の語らい"という副題
不穏な雰囲気に

野心なんて持ったり育てたりなどしてませんよ
育たぬように私を商人にしたのでしょ
ご安心を
野心なんて育ってません
種を蒔いてないんですものーーー

その通りだとも
幼い頃からずっとお前に言い続けているとおり
金儲けほど面白く有意義なものはない
金儲けのことだけ考えておれ
そのカネでワシを助けることだけを
ところで

お前の唸りすぎる手腕で唸るほど溜まったカネの使い途は?
たった四年だが相当だと聞いてるぞ
国庫の半分は下らないとか?

父上と違い様々なことに興味もなければシュミもないので
精々食べ物や飲み物に凝るくらいでしょうか
例えばーーー

ここで徳が手がけた宛州商会オリジナル・ブランドの干し肉《紫香豚》が登場
例のスペシャルブレンド《紅袖香》とも相性ピッタリ
"羽族が飼っていた猪と越州の豚とを掛け合わせた新種で

肉と卵白のみを与え水は飲ませない
自分で掘った薬草やキノコからの水分のみで育てたそれは
うまみがあり歯ごたえもある

蘭鈺児と私と二人三脚で開発したものです
彼女は素晴らしい"

フィンガーボールで手を洗って手で食べる!

自信満々で眺める徳
つまり、こういう風にカネは使っている、と。
よりよい商品を買い付けるだけでなく開発することまでやっている

格別な味の酒に干し肉に料理ーーー
お前は子どもの時分からやることなすこと常に完璧
ママに似て負けず嫌いで器用でな
烈しい気性は穆如の血だろうか

その確かな舌とセンスで一新した客桟の料理は今や評判だとか
朝廷の役人から知識人まで
挙って味わいに来るらしいな

不穏な音楽に不穏な話題

皇宮の御膳房、舞楽房、薛大人の配下の長官、皇族の儀仗兵、陛下の護衛兵、刑部の重役ーーー

皆お前のお友達になったのか?

パパは徳の"新しいともだちリスト"を正確に把握
こうして逐一"知っておるぞ"
と示すことで徳が積木崩し(古ッ!)にならぬよう牽制をする
"パパのおともだちは横取りしていません"
"大丈夫なのか?昨日の友が今日の敵"ってことにならないといいが"ーーー
"大丈夫です。それに、私のおともだちはパパのおともだちです"

全くもって違うからこそ秒できる返事

あっはっはっは
ゆかいゆかい
どっかのと違ってワシの息子は出来がいい

奴の息子らは三人が幽閉か失脚
ほかは奴に似て意気地なし
みな軟弱か卑しいか愚鈍ばかり
ワシはただでさえ絶頂聡明な息子を更に鍛えんと谷に置いてきたら
鉄どころかセラミックになって戻ってきた
おかげでこちらまで切られやしないかとヒヤヒヤすることだ
おお怖!

その出来の悪い皇子たちのことですがーーー、

寒殿下が太子になってもよいので?

もちろん
全ての場合において大丈夫なようにプランは充実している
寒儿が太子ならーーー

パパは合戈殿下や南枯琪のように焦ったり急いたりしない
その腹と頭の中にはいったいどれほどの知恵が蓄えられているのかーーー
余裕極まる姿に徳はため息を隠すーーー

そのころ瀚州では和葉に厳霜公主が会いに出かけたせいで大事に
孤松拓が天啓の寒殿下にお伺いを立てようと遣わした伝令を欒パパが取り込み利用

瀚州中に偽造した寒殿下のお触れを出して部族を集め
天啓に襲い掛かろうとさせ
穆如軍を平定に向かわせ糧食を断ち壊滅させ
空っぽになった天啓を奪い取る作戦だ

赫蘭部族には宛州牧雲氏の家紋入りの武器がある
欒パパが唆していることは明白

雨夜の野望語り

そんな風雲急を告げるある土砂降りの夜
私の大好きなシーンだ

真冬の客桟の廊下
廂の端で雨の飛沫に濡れるに任せーーー

その頬が濡れているのは、雨粒のため?それとも涙ーーー?

"なぜこんなところに?"
墨先生が思わず声をかける。
なぜこんなところにーーー

徳は含んだような風情で
いつものようにあさっての方向を向いて語り出す

徳の立っている場所は自分の部屋の渡り廊下の向かい側、蘭鈺児の部屋の前。
パパの部屋は庭の斜め向こう。
客桟のロゴが入った灯篭が映えるこの雨の夜の客桟は私のお気に入り。

パパは徳を試しているのだ
謀の肝心な部分は木原さんとだけで行い
あくまでも便利屋として息子は使うのみ
息子が自分の掌から逃げ出しはしないか
息子がパパの企みを盗み聞いて反抗の先手を打ちたくならないか
"いい子で待ってるんだぞ
呼ぶまで外で控えておれ"ーーー

"徳儿はいい子
パパの言いつけ通り待っております"

天啓に来てパパのそばでそのやり方を見ていて
本当に自分はまだまだパパに及ばない、とつくづく思う
野望のためにパパが計画したことは
全てに隙がなく周到で壮大
パパは徳を助かる前提で生贄に差し出し
徳が集めたおともだちも全て把握している
パパに知られず自分の世界を思い描くことは
まだ出来そうにないーーー
弱気な徳

"まさか、お前らしくないぞ"
すっかり勢いを削がれた徳を見て墨先生が励ます
徳は徳の理想を実現せんと動いた
"朝廷の役人とも誼を通じて辰月教にもーーー自分は父を超えた器で、父を超えたものを持っているんだろ?
私にはお前の方が優れているように見えるぞ。自慢の息子だ"
しかしながら

確かに鄴王のせいで墨先生の世紀の栄誉は滅茶苦茶に
盼兮は消え
笙殿下は閉じ込められた
やれやれーーー

"Yahoo、ちょっとお待ちを"
"ふん?"

障子の明かりに暁晨自慢の睫毛が浮かぶ
美しい
盼兮を諦めきれない徳

魅は思念糸の集まり
それらがばらばらに散ってしまえば例え元に戻ったとしても思念糸が一本でも足らなければ盼兮ではなくなる

あの時見た盼兮も見る間に光る糸が集まり目の前に現れた
そういうわけだったのかーーー

黙ってションボリしてしまった徳に
色恋に疎い先生は気を回す

"盼兮には数回会った(←正確には二回だけ)だけだが
その度に心が通じる心地だった"
ええッ⁉︎
あれだけムゲにされて⁉︎
記憶力が抜群の貴方がいったいどうしちゃったっていうの⁉︎

どこが心が通じ合ったというのだろうか

"女の子はみんな可愛いもの"
貴重な徳の異性観
こんなところもパパに似ちゃった
女の子大好きだもんね
なのに恋愛下手という萌えすぎる設定
盼兮はその可愛らしい世界中の女の子と引き換えにはできない特別な女性
私でさえこれだけ運命的なものを感じたんだから
笙殿下はどれほどーーー

徳はふと
笙殿下が気の毒に
ずっと孤独で理解者も同志もなく
やっと心から愛した女性を喪って
どんなに辛いかーー

女の子だ恋だ愛だなぞ
偉大なことを成し遂げる者には関わりのないもの

墨先生ったら
真の英雄なら大業も女も添い遂げ放題だと思うわよ
"違うんです"

失意のどん底の殿下がプッツンして
全然興味のなかった帝位に関心を持ったら?

墨先生は
どん底の悲しみと憎しみに震えている笙殿下の気持ちを利用しよう、と言った徳の提案に目からウロコ
なるほど
その手なら
逆に野望が叶う日が早まるかも
"Yahoo"

ところでそのヤフーのやぼーとは何です?
盼兮のカケラを隠し持つのはそのためで?
徳は気づいていた
先生がやたら逆鱗を大事そうにしているのを

内心ギクリとしたであろう先生

ここで何と徳は吹き出す。
コソコソとする墨先生の小物ぶりが滑稽だったからだろうか、私は暁晨のこういうリアリティすぎる芝居に痺れるのだ
ト書に例え"吹き出す"と書かれてあったとしても。(中国ドラマの脚本には殆どト書は書かれていない。主に台詞と場所、昼か夜か、そして状況解説くらい)

何も疑わず全てを信じるだなんて!
そんなアホなわけないでしょう、私は『絶頂聡明』と謳われているんですよ?

徳と欒パパの瞬きすらも憚られる緊張感MAXの化かし合いを見ていて、墨先生も冷や汗を。
バレてるなら仕方ない 

盼兮は荒神の奴婢
他の魅とは違うかもしれない
咄嗟に採取したこの僅かな思念糸が役立つかも

まだ諦めなくてもよく
もしか自分が今度こそ盼兮を手に入れることができるかもしれない
自分の理想の実現を諦めない

ならば今がその好機
この客桟をチェックアウトして下さい

新たな宿は皇宮です
陛下は星命術を信じ込んでおみえになられるのに
運命なんか勝手に決められたくない息子にめちゃめちゃにされ困っておいでです
臣下である我らはお悩みを解決して差し上げなければ

しかし占星師がいなくなっては何もできない
そこでです

私が接待をしまくり大枚をはたいてYahooのポストをご用意致しました

つけ込まれるような陛下がお悪いのです
星なんか信じてるからこうなる
陛下が星を信じたせいでめちゃめちゃです
誰も自分の運命なんか決めつけられたくない
つけ込まれないためには誰にも知られないようにしなければーーー

"もし私が帝位に就くことがあれば
何を好み
何を嫌うかは誰にも悟らせぬ
誰を信じ
誰を信じぬのかも"
ーーー

突然その口からうっとりするようなその声で告白されたうっとりするようなせりふ
私はあまりにうっとりしたため英語でも言わせてみた

はあ〜うっとり…
本家中国語ではこのように

つまり本国のファンも総じてうっとりしたのだった
そらそうでしょ
天下の文字を
「興味がない」とスッパリ布巾で拭き取った徳が語った言葉は
どこかいち王朝の皇帝とは違うスケールの大きさを感じさせた

先程まで涙を滲ませていたその瞳は今や強い意志を含んで
墨先生も感動している

轟く雷鳴と光る稲光
やってみせよう
パパを超えたこの世界全てを統べる
そんな野望に向かって

この世に生まれたからには
望まれて生まれたのではなくても何かをしてみせる
生まれたことを否定なぞさせない
生まれたのは運命だったのだと言わせてみせるーーー

土砂降りは更に雨足を増し
二人の声と野望をかき消す
凍りそうな寒さをよそに
暗雲を見上げる二人の心は燃えているーーー











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