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海上牧雲記〜Part2

第11話

いよいよ宛州商会会長牧雲徳が本来の彼のすがたと身分で登場。

従業員をゾロゾロ引き連れて徳が客桟の廊下を歩いている、欠伸を押し殺しながら。
連日天啓の街に出向き、情報を集めるために人と会い、差配しと働き詰めなのだ

礼をする徳と墨
徳は墨の手伝いをせよとパパから言われたが
まだどちらが目上か決まっていないので墨のことを先生とかお前とか好きに呼ぶ
墨も徳を世子とかお前とか好きに呼ぶ

墨に毎日忙しそうですがいったい何をしているのか?お願いしていた牧雲笙にはもう会えたのか?
と訊かれ
下調べせず何も持たずに?
そんな杜撰なことはしない、と
固まるここも好き
墨はそれだからしくじってばかりなのだ
徳は海千山千な交渉術を持っていることを示す
準備は万端
そのために寝る時間も惜しみかけずり回った
墨とはちがう

なんだ情報だけか、とガッカリした墨のようすに
絶句したり馬鹿にしたり
こんな芝居やこんな表情も他の俳優ならしない
よく言うよ、どれだけの労力を割いたと?
ことを成すのに惜しんでいてはだめだ
体も脳味噌も時間も擦り切れるほど使う
ただ指示だけを出して踏ん反り返っている無能とは違う
徳の名は遠く瀚州まで知れ渡っているのだ

笙殿下のことが分かり手土産もできた
今から彼の所へ行きますがご一緒します?
なんだしないの、まあいいけど。
視線をぐるりと外側へ
体も外側へ回す張暁晨流

墨からは一枚の紙に何やら呪符のような模様が描かれたものを渡される
それが読めるかどうか探って来てくれと言われる
ーーー何のために?それが何だと?
ちっとも分からないです

牧雲笙はこの世界で人族が住みやすい環境である四州を統べる瑞朝の皇帝の第6皇子。

演じるは、黄軒殿下

笙殿下のパパ、皇帝牧雲勤は皇子時代に魅族(実体を持たない思念糸の集まりでできている生命体で、人間の形を取ることができる。魔法のような秘術に長けている)であるママと恋に落ち、笙が生まれたが気味悪がった朝臣や徳のパパの唆しで、失意のうちに幽閉され、第4皇子の母である皇后に殺された。

息子である笙殿下には形見の珠が遺され、殿下自身も幼い頃から父帝から離され幽閉のような生活。最近は更に未平斎という郊外の竹林の庵で警護をつけられながら美人画ばかり描いている。

殿下のご座所

長年の孤独に満ちた毎日と自身の曰く付きの運命のせいで、頑なな為人となってしまった。
そんな殿下に、徳は受け入れてもらえるのか?
サアお手並拝見。

リサーチにより徳がプレゼントに選んだのは
"喪われた古代技法で作られた高品質の紙"
だった
欒パパは河洛(からく)という非常に器用で聡明な部族と懇意にしていて
国宝級の伝統工芸師が揃う彼らに様々なものを造らせていた

カタギではないこの眼光

当然徳もそちらのパイプを持っており
宛州商会オリジナルの商品も多数手がけている
たった四年で商売のいろはを覚え
宛州商会を今の如くに発展させた
辣腕の商人(あきんど)となったのだ。

侍女である蘭鈺児(らんぎょくじ)が徳を通す
女以外会わない、とされていた笙殿下と徳を引き合わせたのは彼女のお手柄だった
"殿下と雰囲気が似ていて、きっとお友達になってくれると思った"
という彼女の機転に感謝。
のちに徳は彼女を娶る
二人が初めて挨拶を交わした場面。

長身でスタイルも良く
この上なくノーブルな美丈夫
笙殿下が初めてこの"従弟"と会った場面
この美しく優雅な所作に思わず我を忘れて見入ってしまったのだろう
促されるまで動くことを忘れてみえた殿下

目の前にいる青年がどんな目的(魂胆)で自分に近づいて来るのか
最高に警戒しつつ好奇心で紙の由来を徳に尋ねる
徳はたっぷりとその製法と希少性について講釈を。

ーーー"宛州の雷眼山(笑。暁晨のアイドル時代のキャッチコピーは"電眼美男"。つい掛けてあるのかと思ってしまう)に無名の村があり、数百年前晟朝姫氏の時代に村の泉で紙を作り始めた。雷眼山からの湧き水で。金の鉱脈を通る水で漉いた紙は薄くて丈夫で仄かな金色を帯びます。墨を塗り重ねても滲まず汚れない。絵も永く保存でき数百年を経ても色が褪せないために、高値でもよく売れました。村人は富を得るため日夜紙づくりに励んだ。そうしたら泉が枯れてしまった。生活の糧を失った村人は生きるために次々と山を下りてしまい、やがて村を知る者すらいなくなり、この紙も作られなくなってしまったということです。書画を嗜む私のため(だけ)に、身内が泉を探し当てまして。泉の水は現在でも僅かしか湧かず、紙もそれで多くは作れません。それゆえ身内しかその泉の場所は知りません。殿下がもしお気に召したなら、私のものをお分けしましょう"

これだけの台詞を澱みなく
表情や所作も交えながら
完全に体に台詞を入れて撮影に臨むことは
役者として最低限のスキルだ、と彼は言う

笙殿下はそんな貴重なものと何を引き換えにしたいの?

物事にはウラがあり
どこの物好きがこんな自分に会いに来たのか、その理由を知りたがる笙殿下。
殿下は今までずっと妖怪みたいに気味悪がられ、忌み嫌われて生きてきたのでいつしかご自分を蔑むようになってしまわれたのだった。

徳は無言で殿下の側まで行き
袖口から墨に託された紙を渡す
このとき一切手元は見ない
これも暁晨流

"またお会いしましょう"
叩頭し退出するまでの無駄の一切ない美しく優雅なさま
うっとりしてしまう

さあ徳が帰ったあと
ママの形見の珠の中に
滲んだような後ろ姿のまま見えていた美女が見返り美人になり
それどころか目の前に現れて墨のクイズの答えを教えてくれたので
笙殿下はビックリするやら大喜びするやら

早速徳が言っていた宿、九州客桟まで勇んで駆けつける殿下。

このコート、すてきで大好き

その頃徳は
自分がしたことの意味と意義が分からずにモヤモヤしていた。
何だったのかあれは?
すると墨は女がいるかどうか、などと言う。

女なんかに全然興味のない徳は、なかなかモチベが上がらない。
すると、そこへ報せが入った。笙殿下がみえたのだ。

徳は持っていた書類を箪笥にしまうのだが、その動きを私はこのように残す。
立って歩き座る、ただそれだけの動きなのだが暁晨のそれはとても美しいからだ
私が張暁晨に惚れ込み
作品よりもその佇まいに見惚れ何度も見てしまい、新しい作品や俳優に目が行かないのはこのように見てしまうからだ。

息せき切って興奮しながら嬉しそうに笙殿下が現れる
背を向け座っていた徳はさっと立って慇懃に礼を取る。

どうぞ、と徳が着席を促すが、殿下は部屋の設を見て"不思議な部屋だ。見覚えがある"
と溢す。徳は訝り、そうですか?と返す。
着席した殿下、徳はまだ何のことだ、と首を傾げる
何のことだと私も気になり、この先を見たものの、何のエピソードも描かれなかった
原作に続きがあってそこに書かれているかもしれない。

まずはお茶でも、と徳は席につき早速殿下のために茶を淹れる。
茶筅を取り茶壺から茶葉を取り、と
暁晨ならではの美しい持ち方で
ゆっくりと、且つ的確に作業しながら
目線や表情の管理をし言葉を紡ぐ

あの暗号(問い)の解読は魅であるあの珠の中の美女が殿下に教えた

徳は手を止め思わず"何それ?変なの"と溢す。
殿下マジックの始まりだ。

殿下は徳に矢継ぎ早に尋ねる。
彼女についてもっと知りたい。
なぜこの問いを?
君の出題じゃないなら誰が?
何のためにどんな意図で?

徳は自分でなく師が書いたものであること、殿下の気を引きたかったからだと明かす
殿下は心底ガッカリし、君は誰だ、と問う。
自分に魅の血が入っているせいで
この王朝を滅ぼすだのノロイだ何だで、そんな反応にウンザリしているのだ。

徳は暫し視線を落とし
やがて笙殿下をまっすぐ見据え
"鄴王の次男だ"
と答える。
鄴王は笙殿下の伯父。徳は従兄弟にあたる。
徳が時間をかけて身分を明かしたのにはもう一つ理由がある。
他でもない、鄴王の息子として生まれた自分に思うことがありすぎるからだ。
徐に立ち上がり、殿下に自己紹介する。

"生まれてから父にずっと疎まれていました
14歳でついに父は自分を辺鄙な谷へ送ったのです
やっと呼び戻して貰えたと思ったら今度は天啓へ行けと言われました
同年代の友人はいません
付き合いかたも知りません
作りたいと思いますが拒まれるのが怖いのです
それほど友というものに縁がなかったのです
それで策を弄しました
自分は宛州商会の会長でこの世の富は全て手中にあると言ってもいい
けれど心の中はいつも孤独です
それでこのようなことをーーー"

ここで徳は殿下の警戒心を解くために一芝居うつ。哀れな自分の身の上を話し同情を誘う作戦だ。しかし語る内容は全てが嘘八百ではない
張暁晨の凄いところは
それらを演じ分けていることだ
彼を知っていればそれらは嘘か真かすぐに見分けることができる。

この天啓に来るまでの居場所
ここは真実のみ
この二つの台詞には隠しようのない悲しみと悔しさが滲む
特に"谷に送られ"という部分と"やっと呼び戻されたと思ったら"の部分だ
自分の生きる場所をどうこうされようと抗うことはできない
身勝手な父に翻弄される自分ーーー

父には抗えないのだ、という境遇を伝えた後
なぜ友が欲しかったか、と同情を誘う作戦部分
"同世代の友がいない。付き合い方も知らない。友が欲しい"
は事実。
しかし続く"友に拒絶されるのが怖くて"は嘘。
徳はそんなタマではない
策を弄した理由をそのように語ることで誤魔化した。

宛州商会は天下にその名を轟かせる一大コンツェルン。その総資産は国庫の半分に匹敵する
会長である徳はまさに"手に入れられぬものなどない"身分だ。
けれども、、、

けれども、からのこの表情は、生き方を自分では決められず、努力しても顧みられず、そのせいで孤独極まる徳の叫びだ。
友が欲しいなどとは思ってもみないが、もしこんな生まれかたをしなければ…、それらが綯交ぜになったことでこの自嘲となった。
暁晨がこの台詞で最も伝えたかったのは、そんな徳の"哀しさ"だ。
張暁晨は最も重要な部分は自嘲で表す。
それは彼が演じるキャラクターがいつも背負っている"憐れな運命"に因る。

徳が語った7割真実3割が嘘な内容に共感を覚えた殿下(つまり徳の作戦は成功した)。
殿下も同じ。全くもって徳と同じだ。ついでに言うなら寒江も同じだ。
望んで生まれた訳じゃないのに生まれたせいで忌み嫌われる。ナニソレ、じゃ自分はどう生きればいいわけ、こうなりゃクソ親たちを超えて好きに生きてやる!という話が牧雲記だと私は解釈する。

もしかして、徳っくんも自分と同じかも!
とすっかり気を許した殿下が次に驚きの行動に出る。

ママの形見のあの珠を持ってきており、徳っくんも一緒に見て!と。こっちに来て見てみてよ!

きれいな珠だけど、これが何?
覗いてみて!何が見える?

…何か見えるの?

!!見える!女の子がいる!後ろ向いてるけど。

見えると聞いて笙殿下はビックリ!!
君にも見える⁈僕以外誰も見えなかったんだよ!
何で見えるの⁈

徳もビックリ。何で見えるんだろう…

ここから俄然面白くなる、その前に先程のカットをカットしてもう一度。
暁晨のこの珠の持ち方にご注目。
美しいでしょう
暁晨ならではの独特の持ち方です
そうなの?と思われた方は手近な直径2センチくらいの玉を同じように持ってご覧になって
同じように持つのは不可能だと知っていただきたい
そのさいは左の薬指と小指、右の小指も折るのですよ
どうです?無理でしたでしょう

僕にしか見えなかったのに徳っくんにも見えた、どうして?
この女の子はだれ?
分からないんだ、でも珠の中から出てきて、さっきのクイズを読んでくれたんだ
仲良くわいわい話しているのを隠れて聞いていた墨先生はガマンできなくなって出てきてしまった

おじさんにもそれを見せておくれ
ーーー果たして
牧雲の二人の皇子が見守る痛すぎる視線を浴びながらわくわくして珠を覗いて見るも
"見えない"

墨には見えなかったけど見えた、と嘘を
徳は嘘だと見抜く
珠の女と対決したい墨はついコーフンして
秘術を使えば女の子に会えます!と力説。
"秘術"のせいで嫌われまくった殿下は激しい拒否感を示し、カンカンに怒って帰ってしまわれた。

あーあ…せっかく徳が苦労してお膳立てしたのに
墨はいつもこれだから失敗してばかりなのだ

そして大いなる謎が残された
息子であり魅族の血が入っている笙殿下は当然として
全然関係のない徳にも見えたということは
牧雲の血が入っていると資格を有するということだろうか?

同じことを徳も考えていた
さっきのさっきまで
あの美女を珠の中に見出すまでなかった感情が溢れていた

墨が庭の方を向き
やはり女と殿下をどーにかしなくては…とか何とかぶつぶつ言っている間に徳が帯から取り出したのは
携帯式の"黒羽毒"(匙つき)
何ということでしょう
中国ドラマの世界ではまるでマイ・コショーのようにいつでもどこでも毒を仕込める!恐ろしや

フツーに飲んでしまった墨
この徳の顔をご覧に
徳は見える、と言った墨の言葉はウソだと見抜いている
ものの1分ほどで墨のおナカの調子が…

また苦しみ出した墨を見下ろすこの顔!
見えたってことは私にも権利があるってことだ
殿下だけなんてズルいぞ
私にも秘術とやらを教えろ!

この表情、サイコーにイカす!
徳の面白さは
余裕綽々のあきんどの顔、殿下に見せていた猫かぶりのお利口さんの顔、パパの前のシュンとした竦んだ顔、蘭鈺児の前の子どもみたいに愛を欲する顔、そしてこの墨の前の野心満々のギラギラした顔、様々な顔があることだ
これは皆徳であり、これらを皆一人の俳優、張暁晨が演じているのだ。

お前は魅じゃないだろ、と言われ(無理だとは言われていない)
そういうお前も人族じゃんか、と返しているうちに墨がシャンとしだしたので目を疑う徳。

じつは墨は人族ではなく羽族なので毒はあまり効かなかった
このやりとり、中国ドラマに慣れていなければ
なんなの、となる場面だが
そこは中国ドラマなので今度は徳が痛い目に遭うことになる

墨の手にした杖から噴出した煙のせいで
酷い頭痛に苦しむ徳の上に馬乗りになり
お仕置き
徳はパパの手下になんでこんな仕打ちを受けなきゃならないのかと文句を言うが

これでおあいこ、徳は墨の手助けをし墨は徳に秘術を教える
信頼関係がこれで出来たということだ、お前はなかなか見込みがあるーーー
上から目線の墨の術に屈した徳
悔しそうに乱れた格好のま

「先生を気に入った」

「私もだ。お前は父親よりも度胸がある」
というよくわからない関係に
とにかく
興味のなかったパパからの依頼に利害関係が生まれ
墨は自分の名を上げるために珠の女を呼び出させ
徳はその女に一目惚れし自分のものにする、という目的のもと手を組むことに落ち着いた。

第11話は本当に盛り沢山だ。
この11話と17、30、48〜51、57話を私は徳まつりと呼んでいるが
11話は徳について知るための大切な場面がある
あの自己紹介のシーンだ。
この本編中の徳はたしかに孤独だったわけだが
あまりに不憫だったため私はオリジナルで徳に親友を作った。
珪璃谷にいた四年間、徳を支え慰めてくれた、寒江のような存在を徳にも作ってあげたのだった。

宛州商会の番頭の息子、憧水がそれ。
14歳の徳は『西廂記』の張生のイメージ。

予想に漏れず、自分だけで愉しむためのアレ系です。

長々と読んできてさいごの締めがコレ?笑
お目汚し失礼致しました。












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