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君を想って心底泣きたい

<短歌「水泡」>

祝電 窓を押しあけたらすい、と春が私を追い越して飛ぶ

叶うなら春風散らす花びらに耳も塞がれ黙って死にたい

心臓に油性ペンでサインしたら生涯ひっそり呪えるだろうか

優しくなんかないよと笑う君に一等賞をどうにかあげたい

スクロール 戻れないなが伝うだけ結局分かってなかった有限

さりさりと削がれていつしか消えている望遠鏡など持たずしてでも

目を疑う鮮烈な青と入道雲 眼前を埋める白光、葉月

片耳に流れた洋楽のタイトルが思い出せずに忘れられない

切れかけの街灯が点滅する 消したくないよね、消えないでいて

放す手は震えはなくとも冷たくて離すものかと心に誓った


<散文「電柱」>

上がりきって振り向けば、街の灯りがきれいだと教えてくれた夜があったこと

事実は匂いの取れたコート 記録と想い出は引かない残り香

私が招いた別れだと感傷する甘美な慰み

一方通行しか知らないんだよ逆走しないで両手で抱けないの

助けての声の出し方が分からなかった 押し潰される夜はいくらでもあった

多分上から光が差す森 土肌の見える獣道 立ち止まっては振り返っている

境目の溶けた敷き布団 ふかふかのベッド 一人じゃ上手に眠れないよ

防波堤に座り潮風に背中がついていってすうと消える そんな際にいる

凡そ範囲内には当たっている 少女は隣の惑星に降り立ってばかりだというのに

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