見出し画像

リッケンバッカー330を買おうか迷っている方へ


私は2015年頃にリッケンバッカー330というギターを手に入れました。

なかなか面白いギターなのですが、ユーザー数が少ないのか、インターネット上にあまり情報がないように感じます。そこで、ここに私の見解や偏見を書き残し、私と同じくリッケンバッカー330のユーザーになる方の参考になればと思います。


購入個体

私が入手したリッケンバッカー330のスペックは以下の通りです。
・2015年製 jetglo(黒色)
・ミディアムスケール
・24フレット
・ハイゲインピックアップ搭載
・ポリ塗装
・メイプルボディ
・メイプルネック
・ローズウッド指板

購入時、ネックの状態が非常に悪く、すぐに修理(無償保証)に出しました。手元に戻って来てから現在までネックは全く反っていません。

ちなみに現行(2024年2月時点)の330は21フレットになり、フロントピックアップの位置が少しネック側に寄っています。ピックアップの位置で見た目の印象はだいぶ異なりますね。

購入動機

私の購入動機は以下の4つです。

①見た目が格好良い
→独特なボディ形状、ピックガードの形、大きなブランドロゴ、キャッツアイホール、主張の強いテールピース等

②ブランドの名前が格好良い
→響きがイイ!

③好きなアーティストが使っていた
→ACIDMAN LOSTAGE サカナクションなど

④セールで定価より安くなっていた
→約18万円
→新品の定価だったら買っていないかも?

ここでお気づきかと思いますが、購入動機に音色は含まれておりません。碌な試奏もせず、買ってしまったのです。ここからは、リッケンバッカー330の音色について私見(偏見)を記していきます。

ギター本体の構造

リッケンバッカー独自の音色は、私が言うまでもないのですが、独特なボディの構造に由来しています。

リッケンバッカー330はギブソン系のギターと違い、ネックに角度がついていません。フェンダーのギターと同じように、ボディとネックが平行に取り付けられています。

独特なのが、弦のテンションの稼ぎ方です。

リッケンバッカーの場合、形は違いますが、テールピースがエピフォンカジノのようにボディエンドに近いところにあります。

普通、ネックに角度がついてない場合、テレキャスターのようにボディ裏通しにしないと弦のテンションが稼ぎづらいです。フェンダーのギターでも裏通しではない構造のジャズマスターやジャガーはテンションが緩く、弾き方や弦のゲージによっては、弦がブリッジから落ちる現象に悩まされることもあります。

ではリッケンバッカーはどのように弦のテンションを保っているのか。それは、ボディから弦の張る位置を遠ざけるという力技(?)を使っているのです。

リッケンバッカー330は、ネックの指板がボディ正面から2cmほど迫り上がった高さにあります。そしてブリッジは、4本の細いネジを使って、ボディに取り付けられたプレートから、指板と同じくらいの高さに浮かせています。


つまり、ボディから高く浮かせた指板とブリッジで、ボディエンドへの角度を大きくすることで弦のテンションを高めているのです。

音色(キャラクター)

上記の構造やフラットなボディ形状により、ギブソン系の王道なセミアコとは全く異なるキャラクターの音を奏でることができます。アンプ直に繋いだ音を聴くと、ピッキングに対するレスポンスが弱く、ハイフレットにおけるサスティーンは伸びません。単音で伸びやかなフレーズを弾くためには機材や弾き方に工夫が必要です。逆に捉えると前に出ない音なので、歪ませてコードをジャカジャカかき鳴らしても、うるさくなりすぎません。アンサンブルの後ろで滲ませるようなバッキングを弾くのが好きな自分にはしっくり来る音です。ディレイ、コーラスなどの空間系エフェクターとの相性が良いです。

なお、ピックアップに関して言うと、私はハイゲインタイプしか音を鳴らした経験がありません。
YouTubeなどの動画を確認する限り、トースタータイプはスッキリとしたレンジの広めの音に聞こえます。それに比べて、ハイゲインタイプは雑味があるというか、音に含まれる情報量が良くも悪くも多いように思います。この特性は、音圧のあるファズやディストーションをかけることで活かせます。雑味が旨味に変わってくる感じがします。

ちなみにピックアップの構造自体もトースタータイプとハイゲインタイプでは違うようです。
トースタータイプはフェンダーのシングルコイルと同じように、磁石にコイルが巻かれています。
ハイゲインタイプはギブソンのP90と同じような構造らしく、ピックアップ表面の磁力は弱くなっているようです。
ピックアップの高さで音の硬さや分離感がかなり変化するので、好みの高さに合わせるのは中々難しいです。
スタジオで大音量で鳴らしながら調整するのが良いと思います。

以前、リッケンバッカー360の使い手であるACIDMANの大木氏がギターマガジンのインタビューで「リッケンバッカーはクランチで鳴らすよりも振り切った音作りの方が向いている」という旨の見解を仰っていましたが、本当にその通りだと思いました。

また、フロントピックアップの音量バランスを調整するフィフスコントロールというコントロールノブも他のギターでは見られない要素です。私はセンターポジションを使うときに必ずいじります。フィフスコントロールノブを回すだけで、固めの音にしたり、甘めの音にしたり、気分に合わせて微調整することができます。

「テレキャスターで良いのでは?」

私はキラキラした音で余白を塗りつぶすようなギターが好きなので、リッケンバッカー330もそのような用途で使っています。

しかし、「それならテレキャスターで良くないか?」と考えることが結構あります。

音色と実用性の観点で言うと、今の新品定価のリッケンバッカー330を買うくらいなら、同価格帯のテレキャスターを買った方が、楽しくギターを弾けるような気がします。
「コストパフォーマンスは決して優れていない。」
「だけど放っておけない魅力がある。」
そんなギターがリッケンバッカー330なのかもしれません。

まとめ

以上を踏まえて、リッケンバッカー330はどんなギターなのかまとめてしまうと

①見た目さえ気に入ってしまえば、変なところも個性として受け入れられる!

②特性にあった使い方をすれば、必ず格好良い音が出る!

③ギター自体は万能ではないが、テクニックでカバーしてオールラウンドに使用するのも、それはそれで非常に格好良い!

他にも書き残しておきたいことはたくさんありますが、それは別の機会に書いてみたいと思っています。ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?