惚気話の弊害
久しぶりに高校時代の部活仲間に会った。
積もる話もあり、沢山話した。
その中でやはり話題にあがるのは、恋バナ(恋愛の話)である。
私以外は、現在進行形で彼氏がいる。
「週末に彼氏が会いに来てくれる」、「来月で付き合って〇年目だ」、「研修中に同期に好かれた」など色んな話を聞いた。正直、楽しかった。
そして、そうこうしている内に、この話題は私にも容赦なく降りかかるわけだ。
「ゆには彼氏いるの?」
ダイレクトに「いない」と言うのが恥ずかしくて、「逃げ恥」の平匡さんの言葉を拝借した。
「プロの独身なので……」
「大学時代も1人もいなかったの?」
容赦なく刺された。
「だって好きな人に嘘つかれてたんだもん。仕方ない。」
苦し紛れの返し。
「まあ、男ってそんなもんだよね〜。遊びたいだけだったんだろうね。」
そうなんだ。そんなもんなんだ。必死に自分に言い聞かせた。
部活仲間と会えたことは嬉しかったし、楽しかった。
問題はその後。帰宅後、窓の外に映る虹は、自らの雨によって歪んで滲んでいた。
惚気話を聞くのは好きだし、幸せな気持ちになる。だけど、厄介なことに惚気話を聞いた弊害として、その感情は毎度やってくる。
惨め。
「なんで私はいつも嘘をつかれてしまうんだろう」
「なんで周りの子ばかり彼氏ができて幸せいっぱいなんだろう」
「なんで…?」、「なんで…?」
次々と黒い波が押し寄せてくるのである。
そして最終的には、自分に女としての魅力や価値が不足しているのだと気付く。
お世辞にも顔は可愛くない。かといって愛嬌がある訳でもない。男子ばかりのクラスでリーダー的ポジションを手に入れちゃうくらい強いんだから。目を潤ませて上目遣いなんて到底できっこない。
「笑顔は最高のメイク」って言うけど、私にとっては、ただただ表情筋のトレーニングにすぎないのである。
正解なんて無いのは分かってるけど、私はどこから間違えてしまったんだろう。