炭素会計アドバイザー資格3級試験受験体験記
このたび炭素会計アドバイザー資格3級の試験に合格し、環境省認定制度脱炭素アドバイザーベーシックになりました。
まだできたばかりのこの資格試験、これから受ける人もいるだろうと思って記事を書きます。
資格について
炭素会計アドバイザー資格とは
一般社団法人炭素会計アドバイザー協会がやってる民間資格です。
GHG(温室効果ガス)排出をどう減らすかももちろん大事ですが、「今どれだけ排出しているのか」を算出するのも併せて大事になります。その「いかに測るか」の基準が炭素会計であり、その能力を認められた人が炭素会計アドバイザーです。たぶん。
GHG排出量の計算にはGHGプロトコルという国際的な基準があって、それに基づいて算出・開示を行うことが一般的です。
ひとくちに「脱炭素」と言っても、アプローチはいろいろです。
製造現場にいる人、科学技術を研究している人、金融機関やファンドでESG投資を行っている人、企業のサステナビリティ推進を担当している人、、、
いずれの立場であっても「測る」ことからは逃れられないものの、炭素会計には独特のクセのようなものが多く、「排出量計算をちゃんと行える人」というのは結構希少な気がします。
ちなみに「炭素会計」と言うだけあって、意外と財務会計との親和性があったりします。資産計上してたらこのcategoryで、そうじゃなかったらこっちのcategoryで、みたいな。
そういう意味で私の経理経験は生きたし、今後も生かせるのかなと感じました。
環境省認定制度 脱炭素アドバイザー
環境省がいくつかの民間資格を認定して、3つの認定レベルを設けています。
環境省が試験を実施してるわけじゃないので国家資格ではありませんが、認定資格のうちどれかを取得していれば、「脱炭素アドバイザーベーシック」などと名乗れるようになります。
2024年9月現在で、ベーシックには5つの資格が、アドバンストには2つの資格が認定されています。シニアアドバイザーはまだ認定資格がありません。
受験のきっかけ
一言でいえば、「脱炭素関係の看板が欲しかった」からです。
今は非上場企業の経理部に勤めていますが、かつて上場企業の経営企画でコーポレートガバナンス(CG)コード対応をしていたことがあります。
何年か前のCGコード改訂に際し、新たにコードに加わった「TCFD」というフレーズが、私と脱炭素との最初の出会いでした。
な~~んにも知らなかったところからいろいろと学んでいって、最終的に自社のScope1,2,3の排出量計算と開示をするまでに至ったわけですが、そのときに思ったのが、
「これ、取引先とかから急に言われて困ってる人、たくさんいるんだろうな~」
でした。
急にGHGだのScopeだのと言われても、正直なんのこっちゃですよね。
まだまだ発展途上な分野でもあるので、わかりやすく解説してくれるコンテンツが充実しているとは言いがたい状況でした。
ほんでそこから自分が中小企業診断士として活動するようになって、「私○○できます」というアピールをしなきゃいけない場面に遭遇する機会が増えました。
そんなときに「排出量計算やったことあるんすよ~」と言っても、「なんか流行ってるよね~」くらいの反応で、あんまり伝わってない感じがありました。
自分の知識・経験にお墨付きをくれる看板が欲しい。
ってことで「環境省認定制度」というのは渡りに船だったわけです。
試験対策
ということで本題。
どういう試験なのかというのは公式HP等を各自ご参照いただくとして、私が何をやってたかを中心に書いていきます。
試験勉強
CBT方式による試験の前に、オンラインでの講習があります。
その講習に申し込むと、合計2時間半くらいの動画講義を視聴でき、全200ページ弱のPDFの公式テキストをダウンロードできます(この公式テキストが脱炭素の潮流などを理解するのにとてもわかりやすかったです)。
この試験、過去問は公開されておらず、公式問題集的なものもありません。
また、問題については口外禁止となっているので、受験経験者がどこかで教えてくれるとかもありません。
(勉強しにくい、、、)
つまり「問題演習を通じて勉強していく」が基本的にできない試験でした。
自分が今何合目にいるのかわからない状態での勉強を余儀なくされます。
(勉強しにくい、、、)
なので、
テキストに重要そうなことをメモりながら講義を1回聞く
テキストを1回精読
テキスト2周目はなんとなく問題にしやすそうなところ、自分の理解が追いついていないところをチェックしながらざっくり読む
テキスト3周目は自分の記憶があやふやなキーワードをピックアップして一覧化。折に触れて見返して記憶をチェックする
という感じで進めました。これだけやったら多分10~15時間くらいかかります。
講義はテキストの分量の割には短めなので、結構駆け足です。講義だけで全範囲はカバーできないと思います。
逆に「こういうところ気をつけてくださいね~」と言ってくれるところは本当に気をつけないといけないところなので、重点的にマークした方がよいです。
勉強期間としてはお盆休み含めた2週間くらい、勉強時間としては累計15~20時間くらいでした。
ただこれは、
・自社のScope1,2,3のGHG排出量の計算をしたことがある
・TCFDへの賛同や、TCFD開示資料の作成をしたことがある
・CDP気候変動質問書に回答したことがある
という一定の前提知識があったゆえの勉強時間なので、何も知らない状態からのスタートであればもう少し早めに始めてイメージつけた方がよいと思います。
それにしてもどんな問題が出るの? 今の自分はどれくらいの仕上がりなの? マジでこのテキストの一言一句を暗記しなきゃいけないの?
みたいな疑問に対しては、諸先輩方の合格体験記が参考になりました。
また、こちらのデクさんのシリーズ動画も大変有用でした。
現在進行形で更新されていっているようなので、これからどんどん充実していくものと思われます。
試験問題
何も言えねえ……!
ただ、試験本番で問題を解きながら「勉強すればちゃんと報われるな~」とは感じました。私から言えるのはこれだけ。
直近の合格率は76.9%なので、めっちゃ難しい試験というわけではなさそうです。
これから
どうせなら脱炭素アドバイザーアドバンストを目指したいところですが、2024年9月時点で炭素会計アドバイザー資格2級はまだアドバンストに認定されていません。
(ちなみに炭素会計アドバイザー資格1級はまだ実施すらされていない)
炭素会計アドバイザー以外でアドバンスト認定を受けてる資格(GX検定とか)に浮気してもいいんですが、どうしよっかなー。もうちょい考えます。
そして、経理系で中小企業診断士である私が脱炭素アドバイザーを今後どう生かしていくのか、っていうところはぼんやり考えていることがあるので、そのうち記事にするかも(しないかも)。
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