比喩力を身に付ける際に必要な精神論

去年くらいから色んなところで色んな文脈で「やっぱり比喩が大事だよね」という話にぶち当たる。例えば「頭がいい人ってのは喩え話でわかりやすく物事を伝えられる人だよね」だとか「検索で調べられる情報がほぼタダで手に入れられる以上これからの時代に求められるのは検索では決して結びつかない情報と情報を絡めて物事を語れる比喩力だ」だとか「比喩力が上がれば文章力が上がる」だとか「比喩力を高めて語彙を増やすことによってより正確に自分の心情を伝えることができる」だとか。

色んな人が色んなことを言っているわけだが、ところで私、この文章を書いているズイショという男、いわゆる「比喩力」を評価されることが少なくない。言われてみれば他の人よりも比喩はよく使うかなぁとは思うものの、自分としては特に「比喩力」を売りにしているつもりはなく、逆に言えば他に自分の中で自分なりにアピールポイントはあるのだけども「比喩力」ばかりを持て囃されるのはなかなかに癪だ。身体がでかいことを殊更に褒められるバスケット選手も、たまたま身体がでかいだけと言われてるようで結構癪なのだろうなとも思い同情する。本人なりに結構色んな努力をしているだろうに。と、まぁジャブ程度に比喩かましてみましたけど、実際のところ比喩を使って普段何を言っているかは僕が三年近く更新しているはてなブログの方を参照してください。傑作自選集へのリンクでも置いておきますね。

http://zuisho.hatenadiary.jp/entry/2015/06/11/014954

それで、まぁ「僕はそこそこ比喩を使えるらしい」という仮定も仮定の砂上の大前提を共有できる方だけ以下の文章にお付き合い頂ければと思うわけですが、昨今のそういった比喩力待望論を眺めて僕が思っている「そもそも比喩力とは何か」「どうすれば比喩力が上達するか」などなどそこらへんの話を思いついた順番に徒然と書いていきたいなと思います。「これを読めば比喩が上手になる」などと言った保障は残念ながらできませんが、「ある程度比喩力があるやつは書かれている内容の意味がわかる」、逆に言えば「書かれている内容の意味が本当に感覚としてわかるまで咀嚼できれば、あとは比喩力は勝手についてくる」みたいな内容になる予定です。まぁ今から書くんで予定は未定です。

なお、一番最初は「俺には比喩を用いるために最低限必要な素養が最初から備わってた。まずはこの素養が身についてないことには何やっても上達なんかしねぇ。その素養が何かは把握してるから教えてやる」という話から始まります。

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