二文字色々。「結婚」編

恥ずかしい話、僕もステレオタイプなところがある男なので、かつては「結婚は人生の墓場」なんて言葉を真に受けてずいぶんと尻込みもしたものだ。けれど僕のことを好きでいてくれて僕と結婚しようとしてくれる人が僕を磨り潰すはずもなかった。
もちろん、結婚をして変わらざるをえなくなった部分もいくらかはあるんだろう。けれどそれは僕が贅肉を削ぎ落としたということに過ぎず、つまるところ僕は彼女と結婚することでより一層男前になった。今後もそうなっていくつもりだ。
そうして彼女も僕と同様によりべっぺんさんになっていくと言えれば歯切れがいいのだが、僕のまなこは結婚なんかする前よりずっと、こと彼女に関してだけはいつだってずっと節穴で、彼女はいつだって最高にキュートで凛々しくチャーミングでかっこいい。だから僕には彼女にとって結婚がなんだったのかなんて、てんでまるでわかりっこない。それは彼女が語れば良いことだ。少し恥ずかしいからできれば僕のいない場所で。
彼女は僕との今の関係を「犬を拾った」とたびたびに言う。僕はかつてボロボロの犬だったそうだ。拾って育ててみたら思ったより頼りになる犬だったそうだ。
俺には俺で言い分もあるのだが、まぁそういうもんなんだろう。
「拾う」という行為そのものに良いも悪いも無いように、俺の「結婚」はたまたま今のところ良いと思えているに過ぎないのだろう。それで俺は十分だし、そんなんだから色んなものを拾ったり捨てたりをいつも楽しくできているのだろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?