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スマホなやみ相談

私は20代のときに電話の悩み相談室でボランティアをしていたことがある。大手で大人向けをやった後、地域の小さな子ども向け相談室にいた。あの頃は、心理学に興味があって、あと個人的に親からの心身的な自立もあって、カウンセリングや、発達心理学などを勉強をしていた。本業の雑誌編集でもよく女性の心や身体、恋愛の悩みについて特集をすることもあって、医師やカウンセラー、はたまた占い師や人生経験豊富なタレントの人に取材することもあった。一方、私自身は悩んだとき、昔からあまり人に相談はしてこなかった。10年に1度くらい、カウンセラーや診療内科に行ってみる(人というよりも薬を処方してほしいから)。あとは、どこか吐き出したくなって、人づてに聞いた当たる占い師のところに行くくらいだった。

実はこのところ、ジャーナリングという、思ったことを書きだしていく、いわば書く瞑想といわれていることを続けていて、人生で何度も同じことを繰り返していることに気付いた。この機会だし、コロナで時間もあることだから、ちょっと自分で自分を研究してみようと思った。自分を見つめる時間を定期的に作ると同時に、客観的な判断や診断、助言もほしいので、外部の力も借りてみたい。

その一発目に、ネットの相談室を探してみた。ある相談室では、カウンセラーの経歴や、悩みの得意ジャンル、顔出し、人によって1分いくらと単価が違うサービスがあった。でも、自分に合うか合わないか、その情報では全く判断がつかない。先生選びに時間を使うのは、ちょっと違うなと思ってしまった。

NPO法人が運営する無料のチャット相談を見つけた。でも、そこは大変人気のようでなかなか返答がなく、1日間、ずっと回線をつなげたまま返答を待ったが、結局つながることはなかった。私も大手の相談室にいるときはずっと連絡が途絶えることはなかったから非常にわかる。サービスを求めるものと与えるものとの需要と供給が合っていないのだ。

もう1社、NPO法人が運営する無料のチャット相談を見つけた。そこは24H365日やっているという。すごい、すごすぎる。それでいてボランティアというのだから、中の人には感謝しかない。どうか無理なシフトだけは組まないようにしてください。。。

まさに今朝それも早朝、ふと相談をしたくなり、チャットを投げかけてみた。すると5分くらいで返答が来た。チャット相談だから、こちらが投げかけた文章をあちらが読んでいる時間、あちらが打っている時間は待たなくてはならない。2往復くらいは少しイライラしたけれど、慣れてくると不思議なことに私はとても落ち着いてきた。ラリーが苦しくなくなった。考えをめぐらす時間がでてくるし、理性的になる。画面には、私と相手が発した言葉が残っているので、口から出ては消えていく言葉と違って、会話に飛躍が少ない。こういっては何だが、私はふだん、リアルな場で、相手の言葉の抑揚やふとした身振り素振りに敏感になりやすく、思い込みも激しく、感情の揺れが大きい。常に不安から、前のめりになってしまうし、せっかちだから、相手を警戒させてしまうことも多いのだろう。チャットだとそれがあまりバレない。ちょっとだけ、言葉を飾り、感情を隠すこともできる。その距離感が実は私にちょうどよいのかもしれない。

カウンセリングというのは、アメリカから入ってきた考え方で、よき隣人をめざせと教えられる。決して、相手を正そうとしたり、対話者が思う方向へもっていかせようとしてはならない。発話者のいう言葉をあるがまま聞き、鏡となって、発話者が自ら気付くことが大事なのだと教えられる。今回チャットに出られた方は、とてもカウンセリング経験が豊富な方だったように思えた。心理的安全性が保たれている環境で、つい悪循環になりがちな相談者のマイナス感情を、ニュートラルな場に引き上げてくれる、そんな感覚になった。ありがとうございます。

やっぱり、文字として残るのは、ひとつの結果として、相談者にとってとてもいいなと思った。その分、聞き手は会話にズレが出ないようにしなくてはならないし、揚げ足取りに合わないよう、注意を払わなくてはなりませんが(そういうところを執拗についてくる人もいるので)。

あ、ただ聴いてくれるだけでもいいと思う時もあるので、漫画キャラクターやアイドルのAI相談室があるといいなぁと思った。

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