「私をスキーに連れてって」(1987年)

                                                                                                       N:ナビゲーター A~E:鑑賞者

N:それでは早速始めたいと思います。「私をスキーに連れてって」は、1987年に大ヒットした映画のタイトルです。このタイトルから、思ったことや感じたこと、考えたことや第一印象など、どんな些細なことでも構いません。思いついたことがありましたらお話をしていきましょう。

A:この発言をされたのは、女性だと思います。

N:ほうほう、それはどこから?

A:「私」という一人称は男性でも使うことがありますけど、男性の場合はフォーマルな場面が多い気がします。話題がスキーですし、「連れてって」と、おねだりしている感じの口調なので女性だと思いました。

N:なるほど、なるほど。確かにこれが男性だとしたらちょっと気持ち悪いかもしれませんね(笑)。他いかかがでしょう?

B:私もAさんと同じように女性の発言だと思いました。それと話している相手はたぶん男性だと思うんですけど、その方と親しくなりたいのかなと思いました。

N:なるほど、なるほど。「親しくなりたい」と思われたのはどの辺からですか?

B:「連れてって」ということは、「一緒の時間を共有したい」ということですし、タメ口なので、すでに親しい間柄なのか、それともこれから親しくなりたいのか、その辺はよくわかりませんけど、そんな感じがしました。

N:なるほど、なるほど。面白いですね。他いかがでしょう?

C:この方がスキーに連れてってもらいたいのは、「スキーの滑り方を教えてもらいたい」とか「スキーの技術を向上させたい」ということよりも、「日常から離れた世界に行きたい」というニュアンスが強い気がしました。

N:ほうほうほうほう。それはどの辺から感じますか?

C:うーん、何でしょう?「私を」と、一人称をわざわざ強調しているところですかね?この方は、おそらく今までスキーをしたことがなく、未知の世界に対する好奇心があるのではないでしょうか?

N:なるほど、なるほど。今までの皆さんのお話の中で、「相手と親しくなりたい」未知の世界に対する好奇心」といったワードが出てきました。では、皆さんの普段の生活と照らし合わせて考えてみたらいかがでしょう?

D:私は美術館に行くのが趣味なんですけど、アート作品に対して同じことを感じます。お気に入りの作品を見つけると、その作品のことをもっと知りたくなりますし、その作品が私を未知の世界に連れていってくれるような気がします。

N:ほうほうほうほう、つまり「私をスキーに連れてって」で考えれば、「話をしている相手」が「アート作品」、「スキー」が「未知の世界」ということですかね。なるほど、なるほど、面白いですね。他いかがでしょう?

E:私は山登りが趣味なんですけど、私は山に対して同じことを感じます。都会の中で生活していると、自然と触れ合える時間そのものが貴重ですし、自然は私たち人間に色々なことを教えてくれます。

N:なるほど、なるほど。因みに、山へはお一人で出かけることが多いんですか?

E:一人で行くこともありますし、複数人で行くこともあります。一人のときは、じっくり自分と向き合うことができて、その良さがあるんですけど、やっぱりみんなで色々と相談しながら、助け合いながら登ると、一人では味わえない喜びであったり、一人では観られなかった景色を観ることができていいんですよね。

D:すみません、今のEさんのお話をお聴きして、私が先ほど話したアート鑑賞も同じようなところがあると思いました。それこそ一つのアート作品をみんなで一緒に観ることで、自分一人の力ではたどり着けなかった世界を観ることができるんです。

N:おおー、何と!アート鑑賞と山登りに共通点があるとは興味深いですね!本日は皆さんのお話をお聴きして、私自身、新しい発見があってとても楽しかったです。それではこの辺で終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。


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