マリナーラの魅力を語る

※注意

これは食の評論家でもない一般人の書いた評価です.  1人でも多くのひとに魅力が伝われば幸いです.

マリナーラというピッツァ

先日,  とあるピッツェリアでマリナーラを食べた.  マリナーラとは,  トマトソース,  ニンニク,  オレガノ,  EXVオリーブオイルだけのチーズなしのピッツァである.  ピッツァといえばマルゲリータ,  特に水牛モッツァレラとチェリートマトを使ったピッツァD.O.C.が代表的であるが,  それに対してチーズを使わないマリナーラの魅力とは何か?  これを語っていきたいと思う.

口に入れたときに最も強く感じる風味を時系列ごとに追っていくと,  まずオレガノの強い香りが鼻を抜け,  次にトマトの味と香りが広がる,  少しするとニンニクの刺激が口全体を覆う.  EXVオリーブオイルの香りが優しく感じられ,  トマトと合わさりコクを感じる.  咀嚼を始めると,  焼けた生地の香ばしさや酵母の繊細な香り,  小麦の風味がほのかに感じられ,  味に一体感が出る.  そしてコルニチョーネはそれらがより一層強く感じられつつ,  パリパリとした食感も楽しめる.

それぞれの風味を詳しく見ていこう.
・まず,  特筆すべきはトマトの甘み,  酸味,  旨みをダイレクトに感じられることだ.  サンマルツァーノ種のトマトでできたソースは,  トマトのフレッシュな香りを持ちつつ,  三つの味がバランス良く感じられる.
・ニンニクの刺激は満足感を与えつつ,  トマトとのチーズやバジルにも匹敵するほどの調和を見せてくれる.  食べたとき,  舌がピリッとする感覚もまた,  大衆の心が感じられる.
・オレガノはトマトとの相性抜群だ.  トマトとニンニクのベースに何とも言えない快感を与えてくれる.  マリナーラはその名の通り漁師たちが食べていたものが原型と言われているが,  そんな町ならではのハーブと言えよう.
・EXVオリーブオイルはフレッシュでフルーティな香りとトマトソースにコクを与え,  ニンニクの刺激をその良さを保ちながら柔和にしてくれる.  新鮮で高品質なEXVオリーブオイルは欠かせない.

マリナーラの最大の持ち味は恐らく食感にあるのだと私は考える.  マルゲリータはモッツァレラが入っているので,  当然その食感も楽しむことができる.  それがないマリナーラは,  生地の食感をダイレクトに感じられることが魅了といえる.  シンプルなだけに,  生地の美味しさがクリアな印象となって表れるのだ.

そして塩味が丁度良く,  ミネラルのまろやかさのおかげで,  トマトの甘み,  旨み,  何よりピッツァの美味しさ全体を構成していることを忘れてはならない.

もちろんマルゲリータやその他のピッツァにもそれぞれ魅力があることは言うまでもない.  ただし,  チェーン店のものは色々な面から食べないほうがいいし,  少なくとも私は食べようとは微塵も思わない.(正直,  私的には美味しくない)

おまけ  古代のピッツァ

ピッツァのもととなった食べ物は,  フォカッチャやスキャッチャータと呼ばれるパンの仲間で,  ここに様々な食べ物を乗せることでピッツァが生まれた.  そんなピッツァの中でも最も原始的なピッツァであるのがマストゥニコーラである.  これは,  ピッツァ生地にラード,  バジリコ,  パルミジャーノ・レッジャーノを乗せたピッツァ・ビアンカで,  イタリアに新世界からトマトが伝えられる以前に誕生した.
こうしたフォカッチャ,  スキャッチャータ,  マストゥニコーラを売っているピッツェリアはあまりない(少なくとも日本には)ので,  是非実際に自分で作ってみることを強くオススメしたい.
ちなみにラードは,  しっかりと放牧された豚肉から自分でとったほうが断然美味しい.(それを言えば全部そうなのだが,  特にラードは酸化が進んでいたり,  もともとの豚が酷い環境で育てられていたりすると味が著しく落ちるので注意されたい).  ちゃんとしたピッツェリアならこうしたことはあまり気にしなくていいだろう.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?