ローレンツ力

はじめに

 まず、初めにこの記事を読むにあたっての注意事項であるが、この記事は物理素人の書いたものであるからおかしな点が散見されるかもしれないということを伝えておく。もし誤りなどが見つかったらぜひ教えていただきたい。
 高校物理の電磁気の単元において磁場中を荷電粒子が移動するとローレンツ力がはたらき荷電粒子の軌道が曲線を描くというものがある。ここではその現象をふたつの慣性系で捉えなおすことによって生じる疑問を紹介する。

問題設定

 無限に長い導線を用意し、そこに直流電流Ⅰを流す。ただし、ここでは電流とは十分多い正電荷eの粒子が電流の向きと同じ方向に速度v'で等速直線運動をしたものとする。そして電流Iから距離rだけ離れたところで正電荷qが電流と同じ向きに導線と平行に初速度vで運動させる。ただし正電荷の質量や大きさ、導線の電気抵抗や太さは無視できるものとし、全て真空中で行われるとする。

解答的な何か

 アンペールの法則、及びローレンツ力の式より、正電荷qが磁場によって受ける力は導線方向にqvμ₀I/2πrである。(1)
 ただしμ₀は真空の透磁率とする。
 ここで電流の流れている向きに速度vで等速直線運動をする観測者から見た座標系(以下では静止座標を座標、速度vの座標系を座標'とする)で考える。相対性原理よりこの座標系の変換では物理法則が不変であることが保証されている。この座標'では電流のもとになっている正電荷eの速度の大きさが|vーv'|となる。(2)さらに正電荷qは電流方向すなわち磁場と垂直方向には停止して見えるはずである。しかし、座標を変換したとはいえ、慣性系である限り正電荷eには導線方向に引力のようなものがはたらいていることには変わりがないのである。
 ここで導線が負に帯電する仮定をする。ガリレイ変換によって導線が負電荷を帯びるメカニズムは不明だが、1回それを受け入れて導線はいったいどの程度の負電荷を帯びることになるのか考える。
 導線の電荷線密度(単位長さがもつ電気量)ρはガウスの法則より
ρ=2πrε₀Eである。
 ただしε₀は真空の誘電率、Eは導線から距離r離れたところでの電場の大きさである。これをEについて解くと
E=ρ/2πε₀rとなるので導線の負電荷と正電荷qの引力の大きさは
qE=ρ/2πε₀rである。(3)
 (1)と(3)の力は同じなので(1)=(3)よりρ=ε₀μ₀qvIとなる。
 以上より座標から座標'に変換することで導線は単位長さ当たりε₀μ₀qvIの負電荷をもつようになり、(2)より電流の大きさは|vーv'|/v倍になる。

問題点

 最後にこの理論の結論において不可解な点を述べておく。
1ガリレイ変換によって導線が負電荷をもつようになるメカニズムが不明であること。
2電流の速度と、座標に対する座標'の速度が等しくなったとき座標'における電流が0になり、正電荷qが導線方向に力を受けないことになってしまうこと。

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