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稽古場レポート 「ユトサトリ。」

レンタル演劇の人 小山都市雄です。
レンタル依頼で稽古場レポートを書いて欲しい!という楽しい依頼がありましたので、早速稽古場に行ってきました!

ユトサトリ。vol.6 「だいたいみんな躍ってる2024」8/20稽古にて

作品内容はアウティングをテーマにした 一幕ワンシチュエーションのバチクソ会話劇!ということで、オフィスを舞台に働く女性達の会話劇のようです。(会話劇だけどダンスもあるらしい)

稽古場に行くと明るい声で迎えていただきました。
6人の俳優と演出家含め全員女性の稽古場で穏やかな雰囲気の中稽古が進んで行きます。


・指差し稽古


稽古場について始まった稽古では出演者がそれぞれに手を突き出して、台詞を言う時誰に言っているのか、台詞を言わない時は誰に注目しているのかを示しながら演じていく稽古をしていました。(皆腕ピン!状態)
体の距離感や角度、方向も全部明確になって、会話劇で重要な関係性の表現にも繋がっていくんだろうなと感じました。
これをやることで、自分の発した言葉が誰にどう影響していくのかがわかりやすくなるので俳優は演じやすくなるんじゃないかと思います!すごい!
僕は初めてこの稽古方法を観たので真似してみたいと思いました。
6人の会話劇なので言葉の方向が可視化されるとなるほどなぁってなります

自分も演出家として稽古をすることがあるのですが、稽古中僕が一番気になったのが演出の大竹ココさんの行動でした!
稽古中って僕なんかは演出席で見ながらメモを取ったりしているのですが、
大竹ココさんは僕が稽古場にいた2時間一度も席に座ってなかったんです!!!!!!!
体と顔がシーンにつられて自然に動いている感じがしました。
きっと頭の中で全部の役を演じてるんじゃないかと思うほど集中していて、
そのせいかきっとメモも取れないから台本の気になる箇所に付箋を貼っているのかもしれないです・・・。

一連のシーンが終わるとその付箋を元に全員でフィードバック。
付箋を貼ったシーンについて大竹さんからこの時どう感じていたのか、なぜその立ち位置をとったのか、なぜそう言いたくなったのかと問いかけ。
俳優の内面の整理から言い方や行動を理解しようとしていました。
それを聞いた上で、作家として演出家としての完成図により近づけるために、それでも俳優が嘘をつかない為にどうすればいいかを皆んなで悩んでいく稽古場でした。
俳優経験がある演出家ならではかも知れませんが、常に俳優目線な動きをしていて新鮮でした。(時には大竹さんが演じてみるということも)大竹さんは話す言葉の意図や行動原理を大切にしている、つまり稽古場での演技の良し悪しの判断基準というものが俳優が役の行動に嘘がないかどうかなんだとすぐにわかりました。



・立ち稽古


指差し稽古の後同じシーンを立ち稽古でやっていました。その後指差し無しで同じシーンを観ると俳優の動きや台詞の受け止め方が洗礼されていて感心しました。

バチクソ会話劇と言うだけあってバチクソに会話しています。
途中のシーンからしか見てない僕でも会話で役同士の関係性がわかるくらい丁寧なやりとりです。
この関係性が絶妙で、力関係や、それぞれの親密度。この劇の中で一番大事な部分だと思うのであえて誰がどうとは書きませんが!いい意味でコイツやな事言うなぁってなります!僕が観たシーンではずっと、スッキリしただろうなぁか、今ムカついただろうなぁの連続でヒヤヒヤしました!
自覚的だったり無自覚的だったり女って怖いーってなります。

会話劇とはいいつつ注目したのが台詞を言っていない俳優の受けの演技の良さです。台詞がない時の動きに関係性や本心が出て面白い。きっと意識して演じているんだと思います。
立ち稽古とはいいつつ、オフィスが舞台なのでほとんど椅子に座っています。座っているからこそ体の角度や細かい所作が映えていました。

立ち稽古のフィードバックで気になったのは、「俳優がこう来て欲しいとかこう感じるとかは言い合ってすり合わせましょう。でもどういう役作りをしてるかは言わないでください。」と。
このバランスが面白い会話劇になるんだろうなと感じました。
兎に角嘘をつかないことを強調していました。
フィードバック中の雰囲気は全員が対等に話し合っている雰囲気があって良いなって思いました。

その後休憩を挟んだのですが、休憩中俳優の皆さんが穏やかで明るく安心しました。(内容が内容なだけに)
ユトサトリ。劇団員の大原富如さんが突然はっきりと「はっくしゅん」と言い周りがびっくりしていました。
曰く「はっくしゅん」と言うと唾が飛ばないんです、と。
本当ですかー?


・椅子稽古



椅子稽古?特殊な稽古みたいです。
椅子を円状に向き合う形に配置して、シーンを演じながら座る椅子を移動していきます。
あとで話を聞くと、距離感や角度を測っているそうです。
俳優が演じながら少しだけどの椅子に座るか悩んでるのが少し面白かったです。
人数の少ないシーンになれなるほど、椅子が余っていきます。
必然的に選択肢が増えていくんです。それが興味深くて。
確かに同じサイズの舞台上だと演じる人数が少ない方が動きの選択肢が増えるなと。近づいてみたり遠のいてみたり、それを行ったり来たりして。
指差しもそうですが可視化することで俳優は演じやすくなっていくのがとても良いと思いました。
物語の軸でもあるアウティングについてされた側とした側の3人がぐるぐる動き続けていたのが印象的でした。

椅子稽古の様子

・作品について(ネタバレ有り)


少しネタバレになりますが、劇中で祝儀の金額について触れるシーンがありまして、そりゃあ関係性やその人個人の裁量で金額も変わるしその金額自も環境によって重みは変わるなと。
個人的なことっていうのは人によって重みが違うって言う事を考えてしました。その辺りのグラデーションが会話劇として面白いです。
バチクソにテンポよく会話してるけど時々凄い台詞が急に飛んできて
「良かれと思ってが自分の人生の中で良かったことありますか」
というパンチラインが飛び出した時は刺さりました。確かにない。

・まとめ

6人の女優によるバチクソ会話劇!
見てて誰かに当てはまるかも知れないし、そうじゃないかも知れない。
同じ経験をしていたら思いだしムカつきがあるかも知れないし、代わりに言ってくれてスッキリするかも知れない。そんなバチクソ会話劇でした!
本番が楽しみです。以上稽古場レポートでした・・・。


・公演情報

ユトサトリ。vol.6
「だいたいみんな躍ってる2024」

作・演出:大竹ココ

2024年9月11日(水)~9月16日(月・祝) @下北沢 小劇場楽園

▼出演
石澤希代子(あるいはエナメルの目をもつ乙女)
大原富如(ユトサトリ。)
菊地奈緒
佐藤美輝
和愛
宮﨑優里

▼あらすじ
上司の結婚式を間近に控え、オフィスで余興の練習をしている女性社員3人。
軽いノリで好きな人をバラされた主人公(ほたる)は余興を辞退すると言い出してしまう。なんとか機嫌を取り戻してもらおうとあの手この手を尽くすメンバーの説得空しく、年齢不詳のチームリーダー、会社に来ては煎餅ばかり食べている税理士、さらには結婚する上司も巻き込み議論は激化してしまう。

——いいな、お前らはスッキリして。

ユトサトリ。の代表作?! 一幕ワンシチュエーション、女性キャストのみのバチクソ会話劇。

▼スケジュール
2024年9月11日(水)〜9月16日(月祝)

9月11日(水)  19:30
9月12日(木)  14:30 / 19:30
9月13日(金)  19:30
9月14日(土)  14:00 / 19:00
9月15日(日)  14:00 / 19:00
9月16日(月祝) 14:00
※受付開始は開演の40分前、開場は30分前です。
※上演時間は約90分を予定しています。

▼会場
下北沢 小劇場楽園
〒155-0031東京都世田谷区北沢2-10-18藤和下北沢ハイタウンB棟 地下1F
小田急線「下北沢」駅東口
京王井の頭線「下北沢」駅中央口

■チケット料金
・前売り 3,500円
・当日 3,800円
・トリ。割 9,900円  ※前売りのみ(3名様分のご予約で1人あたり200円引き!)
・U18チケット 2,500円  ※前売りのみ
⚪全席自由
⚪当日精算

予約フォーム↓

https://www.quartet-online.net/ticket/vanjhcp


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