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なぜならば?のそのあとに

これは教育のためのTOC Advent Calendar 2022の7日目の記事です。

教育のためのTOC(TOCfE:TOC for Education)のツールの一つにロジック・ブランチというものがあります。ロジック・ブランチは因果関係でものごとを繋いでいくツールです。
例えば、車のバッテリーがあがると、エンジンがかからなくなります。それをロジック・ブランチで表すとこんな感じになります。

そしてこれを「もし〜ならば、結果として〜」の形で読んでロジックがあっているか確認します。
「もし車のバッテリーがあがるならば、結果としてエンジンがかからない」
これはわりとすんなり読めるのではないでしょうか?

ロジック・ブランチを書いているとちょくちょくすんなり読めないとか、もう少し説明が欲しいといったことが起こります。

「もし歯を磨かないならば、結果としてむし歯にならない」
ん? 何かしっくりきませんね。こういう時は「なぜならば?」と問いかけて、その理由を推論します。これで引き出された答えは、原因と結果のつながりがなぜ成り立つのかの説明になります。
「もし歯を磨かないならば、結果としてむし歯にならない。なぜならば?」
この問いによって引き出されたものを以下のように書きます。

とある小学生の答え。なるほど〜!って思いました。

「もし歯を磨かないならば、結果としてむし歯にならない。なぜならば歯がないから。」確かに歯がなければ歯を磨かなくてもむし歯になりません。
答えは一つだけとは限りません。他にも歯を磨かなくてもむし歯にならない理由として説明ができるものであれば、答えになりえます。
この「なぜならば?」の問いかけで引き出されるものは、その人の知識や経験からくるものであり、これを共有することで自分の答えと違っていても、「そういう理由なら確かに!」と他の人から学ぶことができます。

なぜならば?で引き出されるもの

このロジック・ブランチに「なぜならば?」と問いかけて推論してみましょう。

もし宿題をしないならば、結果として成績が悪くなる。なぜならば成績は宿題の提出状況でも評価されるから

このように「なぜならば?」の問いで引き出されたものは、原因の箱と一緒に楕円でくくります。この楕円の意味は下の二つの箱が合わさったときに、上の結果が起こるという意味です。
「なぜならば?」の問いで引き出されたものが、うまく原因と結果のつながりがなぜ成り立つのかの説明になっていれば、「もし宿題をしない、かつ、もし成績は宿題の提出状況でも評価されるならば、結果として成績が悪くなる」のように「かつ」を使って読んでもしっくりきます。

最初からうまく原因と結果のつながりの説明になればいいのですが、そうならないことも多々あります。
いろんな人(自分も含めて)のロジック・ブランチを見ていて、それには以下の4つのパターンがあることに気づきました。もしかしたら他にもあるかも!?他にあったら教えてください m(_ _)m

  • 原因の結果起こること

  • 結果を引き起こす別の原因である

  • 原因の原因である

  • 同じことを繰り返し言っているだけ

それぞれ見てみます。

原因の結果起こること

もし宿題をしないならば結果として成績が悪くなる。なぜならば先生の印象が悪くなるから

これをよく見てみると「宿題をしない」結果「先生の印象が悪くなる」んですよね。そしてその結果「成績が悪くなる」
なので、以下のように見直すと良いでしょう。

もし、宿題をしないならば、結果として先生の印象が悪くなる
もし先生の印象が悪くなるならば、結果として成績が悪くなる


結果を引き起こす別の原因

もし宿題をしないならば、結果として成績が悪くなる。なぜならば授業を聞いていないから

これをよく見て考えてみると、宿題をしないだけでも、成績が悪くなりそうですし、授業を聞いていないだけでも成績が悪くなりそうです。
上に書いたように楕円の記号は下の原因が二つ合わさったときに上の結果が起きるという意味です。この場合は「宿題をしない」と「授業を聞いていない」が合わさらなくてもそれぞれが原因となって「成績が悪くなる」ということが起きそうです。
なので楕円をとって、以下のように見直すと良いでしょう。

もし宿題をしないならば、結果として成績が悪くなる
もし、授業を聞いていないならば、結果として成績が悪くなる


原因の原因である

もし宿題をしないならば、結果として成績が悪くなる。なぜならば宿題をする時間がないから

これは「宿題をする時間がない」ので結果として「宿題をしない」、つまり原因の原因が引き出された例です。
なので、以下のように見直すと良いでしょう。

もし宿題をする時間がないならば、結果として宿題をしない
もし宿題をしないならば結果として成績が悪くなる


同じことを繰り返し言っているだけ

もし宿題をしないならば、結果として成績が悪くなる。なぜならば宿題をしないと成績が悪くなるから

これは「もし宿題をしないならば、結果として成績が悪くなる。なぜならば宿題をしないと成績が悪くなるから」と単に同じことを繰り返して言っているだけです。こう言ったものが引き出されたときには改めて「なぜならば?」を考えてみましょう

なぜならば?のそのあとに

なぜならば?の問いで引き出された後に見直した方がいい4つのパターンを見てきました。
これが悪いということではなく、せっかく引き出されてきたものなので、より考えを深めるために使いましょう。最初からうまく書こうとせず、引き出されたものは一旦書き出してどんどん見直していくと良いと思います。
見直したものにさらに推論を加えていくと、より考えが深まるかもしれませんね。
見直すときには「なぜならば?」の問いで引き出されたものについて、以下の4つの問いかけをしてみると良いと思います。

  • 原因の結果起きることではないか?

  • 結果を引き起こす別の原因ではないか?

  • 原因の原因ではないか?

  • 同じことを繰り返し言っているだけではないか?

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