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上大動脈症候群 (SVC症候群)

SVC症候群についての簡単なまとめ

①原因

上大静脈とは頭、腕などから心臓に血液を戻す血管です。

悪性疾患(特に肺がん)による上大静脈の物理的な閉塞や外部からの圧迫により頭や腕などから血液が戻りにくくなり、浮腫が起きる事で様々な症状を引き起こします。

②症状

症状としては頭痛、呼吸障害、視覚障害、意識障害が出現します。浮腫により気道が圧迫されれば呼吸障害、顔面の浮腫により眼球が圧迫されると視覚異常が出現します。脳に浮腫が起きれば意識障害です。

③治療

まずは原因の除去です。手術療法、化学療法、放射線療法などで原因の除去や腫瘍の縮小を試みます。それが適応でない場合や上記の治療まで待てない場合はステント療法を行います。ステント療法とは閉塞または圧迫されている血管をステントを呼ばれる金属を挿入し血流を改善する方法です。うまくいけば浮腫の改善は期待できますが病状の進行に伴い再度狭窄する可能性が高いです。一時的な症状の改善、他の治療法までの繋ぎとして行われる事が多いです。

現在有効である薬物療法は見つかっていません。利尿薬や利尿効果を持つ漢方などが有効である場合もありますが持続的な効果は期待できないのが現状です。

④その他

上大静脈閉塞の進行速度によっても症状が異なります。悪性腫瘍の様に急速に進行した場合は症状も早く強く現れやくすなります。

閉塞スピードが遅い場合副側経路と呼ばれる血管か現れる事により症状が緩和されます。副側経路とは血管の流れが遮断された際に新たな血管を作り血液の流れを再開させることで血流を保とうとする仕組みです。

まとめ

原因は悪性腫瘍、特に肺がんに多い。

症状は浮腫に伴う頭痛、視覚・意識・呼吸障害。

治療は①原因の除去、縮小②ステントによる血流改善(一時的)③薬物療法(利尿薬等が使われるが有効な薬物はない)

進行速度によっても症状が異なる。副側経路ができる。

有効な薬物治療がなく癌末期の患者さんなどに発症するとなかなか対応が難しいですね。

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