東京海洋大学 生物学 第1回 1000文字要約レポート参考

生物学 吉崎先生 第一回


 魚の受精卵は体細胞と生殖細胞に分かれる。

受精卵の生殖細胞は、卵黄蓄積、卵成熟、排卵、受精のサイクルを経て再び受精卵になる。受精卵の成熟は、脳下垂体によりコントロールされている。卵子は、内側から卵母細胞、卵膜、濾胞細胞(内側:顆粒幕細胞、外側:莢膜細胞)からできている。
 年一回産卵する魚はどのような仕組みで成熟するのか実験によって調べる。産卵期に、脳下垂体を手術により摘出する個体と、脳下垂体が見えるところまで手術をするが摘出はしない個体を用意。脳下垂体を摘出しなかったグループは成熟した。次に産卵期前の個体に脳下垂体抽出物を投与すると成熟する。
生殖腺体重比が増加すると同時に脳下垂体から分泌されるGTH(生殖腺刺激ホルモン)が増加する。未成熟の魚にGTHを投与すると成熟する。濾胞細胞つきの卵母細胞にGTHをかけると成熟する。
GTHはどのようにして成熟を誘起するのか調べる。濾胞細胞がない卵母細胞にGTHをかけると成熟しない。濾胞細胞にGTHをかけその培養液を濾胞細胞のない卵母細胞にかけると成熟する。
GTHを加えたときのみに濾胞細胞から分泌される物質を精製すると、17,20βジハイドロキシプロゲステロン(成熟誘起物質)が発見された。これを濾胞細胞のない卵母細胞にかけると成熟した。
濾胞細胞の内と外側どちらが成熟誘起物質を分泌するのか調べる。顆粒膜細胞、莢膜細胞それぞれにGTHをかけても成熟誘起物質は検出されない。顆粒膜細胞にGTHをかけた培養液を莢膜細胞にかけても検出されない。莢膜細胞にGTHをかけた培養液を顆粒膜細胞にかけると成熟誘起物質が検出される。
成熟誘起物質はどこで作用するのか調べる。卵母細胞に成熟誘起物質を「内側、外側、卵膜を透過できない処理をして外側」から投与すると、それぞれ「無効果、成熟、成熟」した。成熟誘起物質の受容体は卵母細胞の表面に存在する。
逆に産卵期に毎日産卵する魚のGTHの役割は、濾胞細胞に働きかけ成熟誘起物質を合成し、卵母細胞の成熟誘起物質に対する感受性を獲得させる働きである。GTHを卵子にかけると成熟誘起物質に対する感受性を獲得し、受容体結合活性が上昇する。このとき、RNA合成阻害剤を加えると成熟しない。
産卵期に毎日産卵する魚と年一回産卵する魚の違いは、卵子の受容体を制御して成熟させたいとき、卵子を別々に成熟させることができるかどうかである。

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