大阪発徳島経由快速球列車の行き先⚾️⚾️⚾️
11月になると例年は紅葉の撮影の準備をする。
「今年はどこに行こうか」
「インスタで見たあの写真みたいに撮ってみたい」
「毎年行く喫茶店のおばちゃんに挨拶に行かないとな〜」
こんなことをいつも考えている。
近所の公園から電車にカタコト揺られて遠くまで、さて機材は何を持っていくのか、どんなアングルで撮ろうか、どんな出会いがあるのか...
そんないつもの11月は、コロナ禍の影響で諦めざるをえなくなった。
紅葉の撮影用に開けていたスケジュールがポッカリと空き、虚無感に襲われた2020年の秋。
さらなる寂しさが襲う。
そう、プロ野球NPBの戦力外通告の時期が昨年は晩秋にズレ込んだのだ。
毎年、戦力外通告の時期はイチ野球ファンとして憂鬱になる。
期待の若手、自分の推し、誰もが知るベテラン...
彼らは次の進路は決まっているのか?
トライアウトを受けるのか?
彼はたしかまだ新婚だったよな...
自分だってこのコロナ禍でどうなるかわからない一介のダメサラリーマンなのに、親戚でもなく会ったこともない野球選手たちの将来を本気で心配する。
そんな季節になっていた。
ネットの記事をチェックしていると、戦力外通告のリストに1人の選手の名前を見つけた。
福永春吾
プロ野球独立リーグの徳島インディゴソックス出身。
2016年のドラフトで阪神タイガースに6位指名されて入団した右のパワーピッチャーだ。
「陽気な人だなー」
それが、当時徳島インディゴソックスにいた福永選手に出会った時の印象だった。
当時、「野球がめちゃ好きだから」という小学生のような単純な理由で、ぼくは徳島インディゴソックスの試合運営等を数回手伝っていた。
福永選手に会ったのは1回限り。
徳島インディゴソックスのファン感謝イベントの時だった。
福永選手は自らも楽しみつつ、その場を盛り上げていた。
福永選手の周囲が1番笑い声が起こっていた。
当時からNPBの注目選手。実力は独立リーグ全体を見てもトップクラス。
その人が率先として場を盛り上げていた。
「陽気な人だなー」
残念ながら、当時のぼくにはそのようにしか思えなかった。
あれから月日が経った現在、ぼくは「組織」というものに属する社会人として、福永選手のキャラクターの重要性を噛み締める。
その場の雰囲気、周囲への気配り...
「仕事をする」という目的のために人が集まった「組織」内で過ごす中で、ぼくは仕事に忙殺されつつもあの日の福永選手のキャラクターの重要性について気付くようになった。
一方福永投手は2軍では結果を残すもののなかなか1軍に呼ばれず、呼ばれても中継ぎの難しい場面での登板で失点する、というパターンに陥っているように思えた。
そうこうしているうちに戦力外通告。
2軍ではタイトルも獲ったのに。
日本のトップリーグは厳しい。
彼は今後一体どうするのだろうか...
月日はさらに流れ、年も明けた1月下旬。
いよいよ各球団のキャンプインも間近というところで、あるレジェンドのTwitterが更新された。
藤川球児
日米で活躍した火の玉ストレートが、福永選手に対してエールを送っていた。
どうやら福永選手は古巣である徳島インディゴソックスに戻ってプレーするようであった。
しかも調べてみると、さっそくチームに溶け込み、チームや地域に貢献しているだけではなく、なにやらすこぶる調子がいいようだ。
もちろん、日本のトップリーグであるNPBに戻るのは、贔屓目に見ても困難だ。
直近だとスワローズの歳内宏明の例があるけれど、そんなのは数えるほどしかない。
けど、
福永ならやってくれる。
そんな気がする。
高校を中退して、独立リーグを数チーム経てNPBに辿り着いたド根性人間だ。
常識を逸脱したPassionを持っているはずだ。
今年はコロナ禍で、外国人選手が入国できていないチームが多くあり、投手力に不安があるチームが獲得するチャンスは十二分にある。
この大阪発徳島経由の快速球列車が再びどこに向かうのか。
徳島から少し離れた土地で行き先を観ていこうと思う。
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