ロカボでご飯を減らしたら、食事が楽しくなった

ロカボとは、最近話題の低炭水化物ダイエットのこと。
寿司のネタだけ食べたり、トンカツの衣まで剥ぐような狂信的な炭水化物抜きダイエットとは違い、ただ単純に「ご飯の量を半分に減らす」というだけのお気楽さが特徴だ。

私自身は別に本格的にダイエットをしようというつもりはないが、
まあトンデモな疑似科学の類でもないようだし、ひとつ試してみるかと最近の食事ではご飯を減らして食べている。


ロカボで起きた変化

すると、私に変化が起こったのだ。
いや、健康になったとか痩せたとか、そういう話ではない。

食事が楽しくなったのだ。

解放されたと言ってもいい。
我々がいかにご飯という存在に縛られて生きていたのか、気づいてしまったのだ。

ご飯に縛られる私たち

考えてもみてほしい。
例えばお店で定食か何かを頼むとしよう。
自分の席に置かれた定食を前に、君は何を思うだろうか。

美味しそうとか値段に見合うかとか、
そんな当たり前の事を抜きにすれば、
無意識のうちに、こう思ってしまうはずだ。
これを考えてしまうはずだ。
計算してしまうはずなのだ。

ご飯とおかずの配分を。

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泉昌之 著「かっこいいスキヤキ」より


我々が日本人である限り、この恐怖からは逃れられない。
うっかりおかずだけを先に平らげてしまい、白いご飯だけを食べるはめになった時のみじめさ、みすぼらしさは誰もが経験したことがあるだろう。

余ったご飯をなんとかして食べるために、漬物や納豆、玉子などが投入される時もある。しかしそれはもはや敗戦処理の様相を呈している。

ご飯に支配された日本人

食卓に白米とおかずが出された瞬間、
日本人はご飯に行動を支配されてしまう。

「おかずとご飯を同時に食べ終える」というゴールを目指し、
そのためにペース配分を考え、箸の一掴みでどれだけの量のおかずを取るかということまでを考えながら食事をせねばならないのだ。

これは口内調味をしない文化圏にはほとんどない悩みだろう。

食卓の秩序を破壊したロカボ

しかし、その状況に風穴を開けた勇者がいる。

ロカボ。低糖質ダイエットである。

彼は、あろうことか食卓の支配者であるご飯に牙をむいたのだ。
この恐れを知らぬ所業には、大半の日本人が驚き慌てふためき、
思わず椅子から転げ落ちてしまう者もいたに違いない。

「そんなことをしたら、バランスが!ご飯とおかずのバランスが!!」

そのような叫びはロカボの耳には届かない。
彼の目的はダイエットなのだから。
ダイエット。食卓の破壊者。

彼はご飯とおかずのバランスなどという、
旧来の価値観などには欠片ほどの興味も持っていない。
ゆえにロカボは無常に鉈を振るい、茶碗を割った。


何が起きたか、人々は理解するまでに時間を要したことだろう。

目の前にはきれいに半分にされてしまったご飯茶碗。

そして、その奥には以前と変わらぬ量のおかず。

秩序は崩壊した。

いつもの半分しかないこのご飯で、食事を始めねばならない。

そうしてあなたは、箸をつける。

この支配からの卒業

食事が始まってしばらくは、不安に苛まれてどうしようもなくなるはずだ。

ご飯が足りない。絶対に足りない。おかずが余ってしまう……と、
あなたはそう確信している。絶望的な未来はすぐそこに。

ああ、口に運ぶご飯を抑えても抑えても、残るご飯はあと一口。
おかずだけが残ってしまう。嗚呼。

恐怖と絶望に身をよじったあなたは、あろうことか、目の前のハンバーグを一口大に切ることもせずに、そのままかぶりつき─────

新たな世界へ

そう。それが禁断の果実だ。

味覚は雄弁である。ただの一口で、あなたは全てを理解するだろう。

ご飯に背を向け、口いっぱいに頬張るおかずのなんと美味な事か。

我々は、かつて幼き頃より、鎖によって縛られていた。
三角食べという呪縛によって。

この鎖により「おかずだけを食べる快楽」を封じられていたのだ。

しかし、あなたは味わってしまった。
おかずのみを食べる喜びを。

あなたは思い出してしまった。
幼少期に味わった快楽を!!

おかずのみを食べるのは行儀が悪い。
三角食べをしないものは育ちが悪い。
そのような社会的圧力は、ロカボが振るう鉈により排除された。

ダイエットのため。健康のため。
これは新たな社会的正義となりうる大義名分である。

ロカボは盾となる。
おかずだけをたくさん食べたいというあなたを、社会の攻撃から守る盾に。

ロカボは剣となる。
おかずだけを食べたら太ってしまうという、従来の常識を打ち破る剣に。

ロカボは快楽装置である

改めて言おう。ロカボは快楽装置である。

デブギャグとして知られるゼロカロリー論。
あれをロカボは地で行っている。

そもそものロカボの実験からして、
炭水化物を抑えて油ものは控えない群に

「腹が減ったら唐揚げを食べろ」

と言ったそうだが、これはもう完全に漫画のデブキャラの台詞だろう。
(なお実験ではこの群が最も減量に成功しているというのだからもう……)

改めて言おう。ロカボは快楽装置である。
もうたっぷり言うぞ。たっぷり。

欲望をぶち撒けろ

子供の頃のように「ばっか食べ」がしたい?

オーケイ、ロカボをやろう。

毎日揚げ物だけ食べて生活したい?

オーケイ。君のためのロカボだ。

チーズにチーズを乗せてまたチーズを乗せて焼くのかい?

ああ、わかった。ロカボだロカボ。ロカボなら大丈夫。

ロカボは免罪符だ。

デブ飯を食らう罪悪感を減らしてくれる。

むしろデブ飯を食らう時こそ必要となるのがロカボという概念なのだ。
なんと素晴らしい。ご飯を減らすだけで罪が無くなるなんて。
なんと手軽な。免罪符のバーゲンセールだ。もってけもってけ。

いや、一応健康に良かったりもするんですよ?

そろそろ怒られそうな気がしてきた。

いや、健康にいいこともあるんですよ?
ほら、おかずってそのまま食べるとしょっぱいじゃないですか。
だからロカボやってると、自然と塩分控えめなおかずの方が美味しく感じるんですよ。

日本人には胃癌が多いと言われてますが、あれの原因って塩分ですからね。
口内調味前提でしょっぱいおかずをそのまま食べちゃうから
胃に負担がかかるんですよ。

ご飯と口内調味という武器がなまじ手にあったもんだから、
昔の人は塩が浮いているような塩鮭を
そのまま焼いて食べてたりしてましたからね。
いや塩抜き。塩抜きという文明的な営み。

そんな塩分過多な日本人の食事もロカボでなんとかなったりする
かどうか知らんけど、なんとかなったらいいよね!

ロカボしてません

アッハイ。私自身はロカボしてません。
というか特にダイエットもしてません。平均体重なので。

昨日の晩酌はスライスしたジャガイモをフライパンで焼いてピザソース塗ってチーズをバーッて撒いて蓋して蒸したやつでしたよ炭水化物超うめぇ!!

いや、そんな私がなんでロカボなんか語ってるかというと

単にご飯を小盛りにしておかずが余った時に、
おかずだけ食べたらうまかったという体験を
noteに記そうとしたらこうなったという。

どうしてこうなった。

真面目にロカボやってる人から苦情が来そうな内容になってしまいましたが、とりあえず、あれですよ。その、マジごめんなさい許してください反省してますからほんとマジでマジでロカボ最高!ロカボ万歳!あまねく世界にロカボの光を!!!

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