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CLEのフロントの評価 その1

 かねてより書きたかった記事ですが、予想を超えて長文になってしまいました。いろいろ考えた結果、分けましたので、お付き合い頂ければ幸いです。

MLB界隈での評価

 今期開幕後にThe Athleticにこの様な記事が出ました。

各チームのフロントにどのチームのフロントが優秀と思うか、アンケートした結果ですが、案の定というか、ファンの間でも評価の高いLAD、TB、ATLのフロントが上位3位となりました。

 そしてそれに次いで4位に我らがクリーブランド・ガーディアンズのフロントがランクインしました。しかしその内容を見ると、要約すると

「スモールマーケットでオーナーも金払いが渋いのに良くやっている」

という評価です😓似たような状況にあるTBとは随分違う評価である事から、推して知るべし、という所でしょうか😫この「資金力が限られる中で良くやっている」というのは良くも悪くも現フロントの特徴でもあり、弱点でもある、と常々感じます。

現フロントのこれまで

 今世紀に入りずっとチーム編成のトップにいたM. シャパイロが2015年8月にTORに招聘された結果、当時GMだったクリス・アントネッティが編成のトップになり、その年のオフにアントネッティはCBO(編成最高責任者)に就任、M.チェルノフがGMに就任して以来、現フロントの体制が続いています。

 2013年に監督に就任したT. フランコーナは大谷の契約と同じ様にシャパイロかアントネッティが去ったらオプトアウトできる条項がありましたがそれを行使する事はなく、2016年のワールドシリーズ出場に繋がります。

 それ以降もフランコーナが健康問題で離脱した2020、2021年を除けばこの3人のトロイカ体制で長年チームを率いてきました。しかし2023年、その蜜月に終止符が打たれる事になりました。その年のトレード期限内にチームはコンテンドしながらA. シバーリやJ. ベルら主力を放出、チームは混乱に陥り、アントネッティとチェルノフはわざわざ遠征先のヒューストンに飛んでチームに説明する羽目になりました。

この際のフランコーナのコメントには今まで皆無だった、フロント陣との間の隙間風を感じました。残念ながらフロント陣の努力も虚しくチームの成績は上がらず、そんな中フランコーナはそのシーズン限りでの勇退を発表します。

そのタイミングでの発表がどういう意味を持つのか、彼ほどの大監督なら重々承知していたと思いますが、あえて発表したという事、またその際のフロント陣のコメントからもかなりの距離やわだかまりわを感じさせるものでした。結局チームはポストシーズンを逃し、フランコーナの最終年は負け越しで終わりました。フランコーナのBOSでの最終年の様に崩壊とまではいかないにせよ、かなり後味の悪いシーズン終了でした。

 フランコーナの采配にも問題点があったにせよ、フロントにはかなり責められるべき点があったと思います。2023年のCLEのフロントを評すなら

「舐めプと場当たり的な動きに終止した」

という所でしょうか。TDLで主力を放出した際にフロント陣はそれでも優勝を目指せる、と言いました。同地区ライバルに失礼な話ですし、実際は優勝を逃していますので、十分に責められるべきでしょう。また失敗の穴埋めをするかの様にK. カルフーンやR. ロレアノ、LAAがウェーバー公示したL. ジオリトら3人を獲得しましたが、結局チームにさして大きなインパクトを与えられないままに終わってしまいました。それなら寧ろ補強なしで若手に機会を与えた方がマシだったのではないでしょうか。

 結局昨シーズン最終盤はフランコーナの引退を演出する事によりお茶を濁していましたが、一ファンとしては自分たちの失態を覆い隠す様な動きにしか見えず、かなり興醒めしていました。

今オフの動き

 そんな中迎えたオフシーズン、フランコーナの後任としてS. ボートを監督に迎えます。

シカゴ・カブスに引き抜かれたC. カウンセルの名前も挙がっていましたが、報道された面子の中では一番ボート氏になって欲しかったので、嬉しかったです。実際シーズン始まってから更に評価が上がっていますし。

 今年の方針としては2022-23シーズンにFAで獲得したJ. ベル、M. ズニーノが失敗した事、またロースターの関係上早々に放出したN. ジョーンズ(COR)やW. ベンソン(CIN)が移籍先で大活躍した事を教訓に、

「チーム内の若手に十分な出場機会を与えて、彼らの実力を見極めると共に、彼らの成長に賭ける」

という事らしいです。


 とはいえPSを逃した後にそれだけではファンが満足しないからか、幾つかの動きも見せました。

B. ライブリー(←CINから FA)

R. ロレアーノ(テンダー・600万ドル)

トレード

CLE   Q. クワントリル(600万ドル)
     ⇅
COL   K. ハフ

CLE   E. デロスサントス
     ⇅
SD     S. バーロウ

この内、ロレアーノのテンダー以下は一連の動きになります。というのは、クワントリルのトレード(DFA経由)の際にCLEフロントは補強資金を捻出する為のトレードだと説明したからです。


つまりロレアーノをテンダーした為にバーロウを獲得する予算がなくなり、それを捻出する為にクワントリルを放出した事になります。

 しかしその結果は散々たるものとなっています。ロレアーノは5月にDFA→放出、バーロウもなかなか安定せずにデロスサントスの方が活躍しているという…。発表された際にファンが一番不可思議に思ったB. ライブリーの獲得が一番の補強になっています。一体何なんだか。一方デロスサントスのみならず、クワントリルもCOLで大活躍、低迷するチームにあってTDLでコンテンダーへのトレードが噂されています。

 フロントの役割は多岐に渡るのでこれらが評価の全てではありませんが、チーム補強に関してはトレードやFAによる外部からに依る所が大きいでしょうから、どうしても採点が厳しくなるのは致し方ないでしょう。

終わりに

 先述通りCLEフロントの評価には

「オーナー(のP. ドーラン)が金を出さないのに」

という枕詞が付いてくるのが常ですが、D. ブリッツァーが共同オーナーになって以来、ある程度は補強資金を費やしていると思います。またもし必要なら資金を要求するのもフロントの責任ではないでしょうか。各メディア含め、先入観や前提条件に捉われない評価を希望します。

 その2ではトレードや育成といった、各分野での評価を考えたいとおもいます。


ヘッダー画像:MLB.comより

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