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2019年は、日常ガチャだった。

2019年が終わる。

個人的年末の最大イベント、我が家で開催されるパーティー「クリソマシ会」が今年も無事(?)終わった。メインイベントであるビンゴオ会も超スムーズに終わった。去年いつも使ってるのじゃない、貼って剥がせるノリを使ったらまったくメクリがバリバリに張り付いて、過去最悪の結果になったが、ふと考えて「別にノリじゃなくていいんじゃね?」と根本的な部分に気づき、超シンプルに、セロテープでメクリの上下を軽く止める、と、地味ながらもなかなかの大革命。これが大成功!綺麗にめくれたし、なにより仕込みがのり付けより圧倒的に楽だったのがデカかったな。

こういう気づきと、改変、日々心がけたいね。

というわけで長くなったけど、2019年を非常にザックリと振り返ろう。

2018.12〜2019.2

一昨年末から、10年続けた美術館での仕事を離れた。辞めたはいいもの、特別やりたい仕事も無いので、まぁ“心が動くの待ち”だなと、特になにもせず放置。『やりたい事が特別ないのなら無理に動く必要はなし』というスタンスなので自ずとそうなった。

と言うわけでスーパー無職生活が始まったのだが、こういう時って不思議とみんなが示し合わせたのかな?ってレベルで飲みや遊びの誘いが各方面から殺到。しかもダブルブッキングとかなく、恙無く毎日何かしら予定が入り、見えないマネージャーでもいるのか?と疑うレベル。しかし「暇は人を殺す」と言われるくらいだから、この日常はかなり精神的に助かった。人の繋がりの大切さを痛感したなー。

さて、そうやって日々の予定が埋まっていくのはこの上なき事なんだが、必然的に消え去っていくのは、お金。当然ながら蓄えをどんどん切り崩して切り崩して、いよいよ月々の積み立てのやりくりが苦しくなってきて、いよいよ気付く。

あ、生きてけねえ。

2月とかに入っての気付き。しかしやりたい事は特にない。でも生きていけない、稼がないと。

そんな状況でこだわりもなければ、なんならあまり働く事への意欲も無かったので、めんどくせえから

「近所のスーパーでとりあえず働くでよくね?」

という、ほんとうに“とりあえず”な決断をした。ここで2つの運命的な展開が起きる。

まず一つ、スーパーに電話入れてみたら「今日は人事担当が休みで、明日またかけ直してください」と、1発で連絡が繋がらなかったこと。ここで面接の日取りとか決まっていたらスーパーパートコースまっしぐらだったかもしれない。

そしてもう一つの運命的な展開、この一連の話を実家でしたら、普段、俺の生き方にあまり口を出さない親父が「まだ若いんだから、今の年齢で出来る仕事を探した方がいいのでは?」と。仕事をすると言う事に、かなり雑になってた気持ちがハッとした。

「スーパーで働くって…別に10年後とかでも出来るよな…」

別にスーパーでの仕事が誰でも出来るレベルの低い仕事だと言いたいのではなく、他に今だからやれる仕事は確かにあるかもなー、と思えた。

次の日、おれはもう、今まで行きたくなかったハローワークに向かっていた。

2019.3

初めて行くハローワーク。1番最初に個人情報を登録する紙、これがまずシンドかった。「希望する職種をお書きください」の欄。

「それが無えから困ってんだよ」

と心の中で全力ツッコミ。たしか空欄のままか、超適当に書いて出した気がする。「まぁ後々変えたりとかはできるやろ」と、適当さ全開。しかしその後のパソコンでの検索は楽しかった。へえーこんな仕事があるんだ!と調べれば調べるほどワクワク。この時心の中にあった思いは

自分の人生を他人事のように雑に扱う

であった。なんか、慎重になりすぎて奥手になるくらいなら「あーこれ面白そうーアハハー」と気軽すぎるくらいの気持ちで仕事を探そう。

そんな中で、話が進み、実際面接まで行ったのが3件。

1.デカイ釣り堀がメインのアドベンチャー施設

2.学校施設内の金魚の飼育管理

3.庭師

ほんと、「お前ふざけてんのか?」と言われかねない選択wすいません。軽率に応募しまくって。

で、まず釣り堀のやつは、勤務形態の希望が噛み合わず破談。金魚の飼育は、超怪しすぎて、受かりかけたけど辞退。そして最後の、庭師、である。これよなー。

正直、書類審査の時点で落とされると思ってた。

なので、面接の連絡が来ただけで、嘘だろマジかよ!?って状態。なんてったって、こちら、庭関連の仕事未経験、知識も皆無、なんなら庭園というものにしっかり行ったことすらなかった。本当に1番ダメな「やる気だけならあります!」状態。こんな奴が受かるわけねえと思ってたらまさかの面接の連絡。ムチャやろ…ってだいぶ思ったけど、こちとら何も守るものがない無敵の人。当たって砕けて粉々になってやろうって気概で面接へ行った。

初めて行く庭園、面接へと、事務所内に案内されると、女性の職員1人に、強面すぎる、明らかに住む世界が違う職人気質な男性2人。おいおいおいおい…1対3かよ…

しかしこの状況が、負けず嫌いの性根に火をつけた。ぜってぇ気圧されないぞ。と気合を入れた。

とはいえ、とにかく、こちらは武器がマジで何もなく、やる気だけはあります!で押し倒すしかない圧倒的劣性な状況。もう開き直って前向きに答えまくるしかねえ。

Q「庭園にはよく行きますか?」A「ないです」

Q「なぜ応募したんですか?」A「庭師という仕事には憧れがあったので、募集の案内を見て応募しました。」

Q「ほかにも造園業の募集あったと思いますが、なぜこの庭園に?」A「どうせやるなら、大きい立派な庭園で四季を感じながら働きたいと思いまして!…ただこちら来た事ないんですけど…」(一同苦笑い)

Q「ずっと屋外で仕事なのでハッキリ言って体力的にキツイですよ?」A「(あ、これふるい落としにかけられてるな…負けないぞ)大丈夫です!前職も美術館とは言え、一年中ほぼ外で仕事してきたので、ずっと外に居るのは慣れてます!」

だいたいこんなやり取りだったかな…

ほんとよく受かったよな

そして、面接から数日経ち、電話が来て「今回は竹澤さんに仕事をお願いする事にしました、よろしくお願いします」と。

嘘だろ大丈夫か?こんななんも分かってねえやつ採って???

このときは完全に「ああ、採用の人なにか血迷ってしまったんだな」と思ってしまっていた。

そうして4月から、いきなり庭師の世界に身を投じる事になった。

2019.4

初勤務まで2週間くらい間があった。その間、いろんな人に話しては返される言葉が「できんの?」「ひ弱なお前が?」「無理じゃね?」「怪我するよ?」と否定的な意見が大多数。最初は喜んでくれた家族も、日が迫るごとに「合わないと思ったらすぐ辞めるんだよ」「体力的に無理と思ったら辞めるんだよ」と途端に超心配モード。不安煽られまくり。おれ自身も日に日に不安になって「職人の世界だからボロクソにされるかも…」と自信喪失。

でもこの一件はのちのち、「何かをやり始める時の、否定的な他人の意見は全無視していい。」という結論に至る事になった。

勤務初日。カチカチになりながら「何が来てもかかってこいや!」という気合一発で出勤。

まず出勤して、1番最初に嬉しかったのが「はい、君の机はここね!」とマイデスクが用意されていた事。今まで、マイデスクのある仕事に就いたことが無かったので、これがまずとても嬉しかった。さらにはマイロッカー、私物にこれ貼ってねと「竹澤」のテプラが数枚渡されて、

ああ、おれの居場所を作ってくれている。

という実感がとてもとても嬉しかった。

その後、園内を親方がレクチャーしながら案内してくれた。その時告げられた、衝撃の採用理由。それが

1番若かったから。

そ…そんな理由かよwwwえ、おれ今年35で、アラフォーですよ??美術館時代は最年長な瞬間ばかりだったより???マジで???

でも納得。ならこんな訳わからん何も知らんやつでも採用って事になるかー、と。しかし、ここで思った。あの時親父に言われた「今しかできない事をやれ」の言葉。

見事すぎる伏線回収。

確かに10年後だと採用されなかっただろうな。見事だった。

しかし、のちのち発覚した採用理由の一つとして「何も予備知識のない真っさらな奴の方が一からしっかり教えられるから良い」というものだった。確かに。約9ヶ月やって痛感した「明確な決まり事は少なく、やり方考え方はマジで人それぞれ」という事。そこで半端に知識持ったやつが「いや、自分はこう教わりましたけど?」ってなるより全く真っ白な方がやりやすい、そういう理由だったらしい。

あと、別の庭園の社長と飲んだ時、「面接の後『どうぞよかったら園内見学していってください』って促して、本当に見学していくヤツはだいたい採用」という話を聞いて、実際おれも面接の時、1番最後に「よかったら園内見学して行ってください」ってまさに言われて、俺は前のめりに「え??良いんですか??やったぁ!じゃあお邪魔します!!」って意気揚々と園内入らせて貰った。あれもデカかったのかなあ?笑

と言うわけで、仕事内容、業界の事、植物の知識、使う道具の名称と使い方、もう本当に右も左も上も下も前も後ろも今立ってるところも何もかも分からない毎日。初日、雑草取りをしたかと思えば、次の日はバックヤードの倉庫で棚を作ったり(これも何がどうなってどう言う完成形になるか一切不明)、また次の日は川に入って掃除したり、マジで毎日全然違うことやるし、全てが不明。マジで謎解き問題毎日やってる感じだった。

あと、1日の仕事の流れも最初は困惑。8:30朝礼、9時〜10:30まで仕事、30分間お茶休憩、11時から12時までまた仕事して1時間お昼休み。で、13〜14:30まで仕事して30分休み、15〜16時まで仕事したら終わり。その後退勤時間の17:30まで、1時間半謎の時間。ある人は事務的な仕事して、ある人はスマホずっといじってて、ある人はシャワー浴びに行って。え?え?え?今なんの時間???マジ意味不明だった。でも結果的に「思い思いな時間を過ごすタイム」に変わらなかった笑

つまり

庭師はすぐ休みがち。

という事笑、とはいえ夏場のクソ暑い時期とかは、それくらいのスパンで休んでちょうどよかったから、なるべくしてなってるんだね。

そんなわけで、訳わからない中、必死こいて9ヶ月働いて、目の前にやる事が常にある、というのと、人と接する機会がほぼ皆無なのが、とっても性に合ってるらしく、楽しい毎日を過ごせてきた。契約更新も一応出来て、来年は一般契約社員になったらどうだ?と打診されている。ありがたい。。。

ただ、特殊な会社の仕様で、一般契約社員になると、別の提案に飛ばされる可能性が高い、というのがちょっと嫌なところ。訳わからず1年やったので、出来ればもう一周したいのが本当のところ。親方がよく「この仕事は、一年で一回しかやらない事だらけ。だから10年続けてやっと10回やった事になる」と言う。本当にそうで、ワンチャン休みが被ったら未経験で終わってしまう事もありえるのだ。だからもう一周して、復習の意味も含めて続けたいんだけど、どうなりますか…。

とまあ、庭師になってからは本当に1ヶ月の経過速度が引くほど早くて、自分は毎月9日に出る別マガの進撃の巨人を毎月楽しみにしているんだけど、今までは「げぇー次の9日まで長いよー待ち遠しいー」ってなってたのが、「え?もう9日??先月号ついこの前読んだばっかじゃん???え?もう1ヶ月経ったの???ってなった。マジでこの前まで夏で暑くて本気で死にそうだったのに、気がついたら冬、年末、だよ。早い早い…。

とは言えね、なんか人生で初めて「胸を張って言える仕事」に就いた気がしていて、それは嬉しいのです。今までのが胸を張って言えないのは仕事内容というよりは、バイトだっていう立場。すげぇ楽しい仕事をガンガン回している日々は好きだったけど、結局「その仕事誰でもできるよね?」って本当にたまに言われて、それが悔しかった。今は、なかなか出来ない貴重な体験を仕事として受け継いでいるという環境がとても嬉しい。

来年は来年で勝負の年になると思うし。一般契約社員ガチャで全然違う庭園に飛ばされるかもしれない。本当にどうなるか。人生はガチャだな、ほんと。

来年も変わらず、ワーワー酒飲みまくって仕事と遊びとライブと旅行でのらりくらりやると思いますので、何卒仲良くしてやってください。

良いお年を。

2019.12.29、竹澤仁

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