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【蓮ノ空感想文】その伝統は、青く遥かな空の下で繋がっている。

©プロジェクトラブライブ!蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ

「時代を越えた、想いの繋がりを、私達は『伝統』と呼んでいます」

蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ 103期12月度Fes×LIVEより

昨年12月に行われたFes×LIVE。部長である乙宗梢ちゃんのこの言葉に胸が熱くなったのを、今でも鮮明に覚えています。

蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブを見つけてから早一年。私たちはここで数々の伝統と創成を見届けてきました。皆さんはどの楽曲や衣装、場面が印象に残っているでしょうか?
私はというと、伝統曲である『素顔のピクセル』を手掛けたかつてのスリーズブーケの関係性へと思いを馳せる毎日です。

[素顔のピクセル]日野下花帆
お互いへの絆と別れの寂しさを『夢に逢う』と表現するの、たまらんくらい雅じゃないですか?

さて、今回は私の蓮ノ空への思いの丈をとことん語って良いとのことなので。蓮ノ空と過ごした一年、103期から104期へと受け継がれていくこの機会に、蓮ノ空の大きなテーマの一つである『伝統』について語っていきたいと思います。


蓮ノ空が描く『伝統』

伝統(でんとう)は、信仰、風習、制度、思想、学問、芸術などの様々な分野において、古くからの仕来り・様式・傾向、血筋、などの有形無形の系統を受け伝えることをいう。

Wikipediaより

私立蓮ノ空女学院は、創立100年を越える由緒ある高校です。そしてスクールアイドルクラブの前身となった芸楽部は、今からおよそ60年前に発足し、名前を変えて今に続いているそうです。その過程で、様々なものが生まれ、現在のスクールアイドルクラブへと受け継がれてきました。

例えば、103期活動記録第3話『雨と、風と、太陽と』にて登場した、蓮ノ空女学院の歴代スクールアイドルが遺したスクールアイドルノート

花帆
「あれ、これって……。たまに梢センパイが開いているノートだ。
 ええと……『スクールアイドルノート』……?」

103期活動記録第3話『雨と、風と、太陽と』より

日野下花帆ちゃんは、このノートに綴られたかつてのスクールアイドル達、そして、先輩である乙宗梢ちゃんの想いに触れます。積み重なってきた少女たちの想いが、103期スリーズブーケの走り出す指針となった、非常に印象的で素敵なシーンです。
(そういえば、私たちが彼女たちの活動記録を”知っている”のもまた、こうして彼女たちが綴ったスクールアイドルノートを読んでいるようなものなのでしょうか……なんて)

冒頭にて少し触れましたが、伝統曲もまた蓮ノ空で受け継がれてきたもののひとつです。先の話題に関連して、ここで触れておきたい楽曲はやはり『Reflection in the mirror』

[Reflection in the mirror]乙宗梢
『なんだって出来るよね』

受け継がれてきた伝統衣装を着て、この曲を披露するのが梢ちゃんの夢のひとつでした。そしてこの楽曲は、花帆ちゃんと梢ちゃんがスリーズブーケになれた後に初めて歌った、大切な楽曲でもあります。時には後輩達の憧れとして、時には後輩達の新たなる門出の支えとして。この楽曲はきっと、この2人に限らず数多くのスクールアイドル達のとなってきたのでしょう。

憧れが次の憧れを生み、誰かの夢があとに続く誰かの夢となっていく。
梢ちゃんも言っているように、蓮ノ空における『伝統』とは、こうした時代を越えた想いの繋がりを言います。

しかし、こうした『伝統』は、全く形を変えずに受け継がれていくものなのでしょうか?
答えはNOです。どれほど歴史ある建造物や技術も、時代の移ろいに合わせて少しずつ変化していきます。それは姿かたちの変化かもしれませんし、概念や役割の変化かもしれません。蓮ノ空に関しては、根本的な話、スクールアイドルクラブが高校の部活という組織である時点で、その構成メンバー自体が変わり続けているわけですからね。

思えば、103期の蓮ノ空は、この継承の過程で伴う変化へと意図的に深く切り込んでいかなかったように思います(もちろん、私たちが蓮ノ空に対して「変化」を認識できるほどの知識をまだ持ち得ていなかったという理由もありますが)。
しかし、皆さんもご存じの通り、『蓮ノ空』というコンテンツの特異性と最大の魅力は、そのリアルタイム性にあります。私たちと彼女たちの過ごす「いま」は完全に同期しており、さすれば、変化するスピードも、変化を認識するスピードも同じです。

蓮ノ空と私たちが繋がってから初めて訪れる、過去最大の変化。それは、蓮ノ空女学院104期生の加入をきっかけに、私たちに実感を持って認識させることとなりました。蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブと出会って一年、あるいは、一年分の思い出ができた今。私たちはついに、その変化を享受するスタートラインに立ったと言えるのかもしれません。



変わらないもの、変わっていくもの

変わらないものと変わっていくもの、
旅立つものと遺されるもの。
新しい風は次の蕾をほころばせる。
その中で煌めく青春(トキ)を生きる9人の少女たち。

限りある時間の中で、精一杯に花咲こうともがく。
これは、そんな彼女たちの「みんなで叶える物語(スクールアイドルプロジェクト)」――

蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ 公式HP 「STORY」より

心身ともに大きく成長していく高校生という期間。そこには必然的に変化が伴います。そして少年少女たちは、この変化を理解できる思考力の高さと、受け入れられない精神の未熟さを併せ持っています。

私は、この「変化することへの恐怖をどう受け入れ、前へ進む糧としていくか」というテーマこそが、青春群像劇が描くべき永遠の課題であると考えています。
先日公開された、104期活動記録第1話『未来への歌』にて、まさしく満を持して、蓮ノ空がこの変化に対してどう向き合ってきたのかが描かれました。

さて、突然ですが、皆さんは『テセウスの船』というパラドックス(逆説)をご存じでしょうか?
テセウスというギリシャ神話の英雄が所有した「テセウスの船」。その老朽化した部品は、新しい部品へと取り換えられ修繕されていきます。それを繰り返し、やがてすべての部品が新しいものに取り換えられたとき、果たしてその船は最初と同じ「テセウスの船」であると言えるのか?という問いです。

この問いに明確な答えはありません。しかし私は、過去に友人からこの問いを投げかけられた時、こう回答しました。『その船が誰かの「テセウスの船であってほしい」という願いとともに生かされる限り、それは「テセウスの船」であり続けるはずだ!』と。

我ながら綺麗事のような回答ですよね。でも、この活動記録を通して、私はこの考えをなんとなく肯定してもらえたような気がしたのです。

活動記録に話を戻します。
104期からスリーズブーケに加入(仮)した一年生、百生吟子ちゃん。彼女は伝統を愛する少女であり、50年前に芸楽部に所属していた憧れの祖母を追い、その伝統を受け継ぐスクールアイドルクラブの門を叩きました。
しかし彼女は、かつて祖母が好きだった、そして自分自身が大好きだった『逆さまの歌』と呼ばれる曲がなくなっていることにショックを受けます。

吟子
「おばあちゃんの想いは、もう、なくなってた。
 だって、あんなに好きだった歌が、跡形もないんだから。」

104期活動記録第1話『未来への歌』より

後に、花帆ちゃんとスクールアイドルクラブの仲間達の尽力により、『逆さまの歌』は形を変えて今に受け継がれていることが判明します。それは、花帆ちゃんにとっても大切な楽曲、『Reflection in the mirror』だったのです。
事の顛末がわかれば一件落着──

吟子
「そんなの……ぜんぜん違う!
 歌詞だって違うし、メロディだって!
 おばあちゃんの愛した曲じゃない! 別物だよ!」

104期活動記録第1話『未来への歌』より

というわけにもいきませんでした。でも、吟子ちゃんのこの反応を見たとき、どこか安心する自分がいたんですよね。
前に進み続けることには、変化すること、そして不安と恐怖が伴います。
自分の夢の原点にもなるような大切なものが、残っていたとはいえ、ほとんど別物になってしまっていた。それを、簡単に受け入れられるはずがないんです。受け入れられなくて、当然なんです

それは、104期生が入ってきた時、これからの蓮ノ空に対する期待や高揚感とは別に、少しだけ「寂しいな」と感じてしまった気持ちとリンクするものがありました。

花帆
「吟子ちゃんのおばあちゃんが愛した曲は、誰も忘れてなんかいない。
 こんなにもたくさんの人に愛されて、今に繋がってるんだよ。」

104期活動記録第1話『未来への歌』より

花帆ちゃんは変化すること、そしてそれに対するやるせない感情を優しく肯定してくれています。そのうえで、変わらないものもあると言っています。
それこそが、スクールアイドル達の積み重なった「想い」なのです。楽しい想いも、大切な想いも、大好きな想いも、姿かたちは変わっても、それだけは変わらず今に繋がっているのです。

花帆ちゃんの、そして蓮ノ空の「変化すること」に対する回答は、どこまでも「時代を越えた、想いの繋がり」へと帰結します。それはどうしようもないくらい優しくて、心強い答えであると、私は思います。だって、今まで同じ道を歩んできた何百人もの少女たちが背中を押してくれているんですから。

今思えば、私が初めに蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブの『伝統』に惹かれたのは、そこに、芸楽部の頃から紡がれてきた少女たちの「想い」を見出したからだったのかもしれません。



そして『繋がる力』へと

『繋がる力』。あの激動の12月を彼女たちとともに見届けた方々にとって、この言葉は本当に大切なフレーズになったのではないでしょうか。無論、私もその一人です。

蓮ノ空のみんなと私たちは、この同じ空の下、同じ時間を過ごしています。
そして、スクールアイドルコネクトを通して蓮ノ空と私たちは繋がっています。

蓮ノ空は、「どんな時だって繋がっている」「この繋がりはみんなとも、一緒だよ!」と言ってくれました。
それなら、彼女達が受け継いでいく『伝統』の中には、きっと「私たちの想い」もあります。
「もっと応援したい!」とか「大好きな気持ちを広めたい!」とか、驕りかもしれませんが、そのあたたかい想いにはきっと蓮ノ空が示す『伝統』たりうる力があります。一年間蓮ノ空と、好き好きクラブの皆さんと走り続けてきたからこそ、私はその『繋がる力』を信じたいのです。

[Special Thanks]日野下花帆
『「私の夢」から「私たちの夢」へ』

たとえいつか、蓮ノ空から離れる時が来たとしても。時代を越えたその先で、私たちと、私たちのよく知る少女たちの想いが、『伝統』としてまだ知らない誰かの夢に繋がっているかもしれません。
そうだとしたら、やっぱりなんか、嬉しいじゃないですか。

そんなミライを夢見れるから、私は蓮ノ空を追い続けてしまうのかもしれません。きっと来年度も、再来年度も────いや、今は未来のことを考えるのはほどほどにしておきましょう。私たちは「いま」を頑張ることに夢中ですからね!



終わりに

今回は蓮ノ空が描く『伝統』にフォーカスして、想いを綴らせていただきました。いかがだったでしょうか。この文章が少しでも、あなたのあたたかい「想い」を発信するきっかけになっていたら幸いです。

『104期 OPENING!Fes×LIVE』も無事大成功し、いよいよ本格始動していく104期蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ。
くりかえす物語の中で、いつまでも皆さんと繋がり続けることができるのを楽しみにしています。

さぁ、予想外のミライへオンユアマークする準備はできていますか?

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