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自作詩

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2022年3月の記事一覧

いつかの行方

いつかみたゆめ はかないゆめの つづきをもいちど みてみよか いつかきたみち かぼそいみちの そのさきもいちど みてみよか かえらぬひびなど きえぬよう いきさきゆくえを しれぬよう またここもいちど もどれぬように またさきもいちど いけないものを いちどきりなら いちどをぞんぶん たべきらなけりゃ おどらなければ いまここおどれ いまここうたえ

ノドモトノサナカ

過ぎてしまえば なんてことはないが 喉元にある最中は まじで死ぬと思っているからな 何回つまらせても 毎回苦しいんだからな 飲み込むのが難しい ものとかいろいろあるでしょうよ すぐに飲み込もうとさせないで ゆっくり呼吸をして 水を徐々に流し込んで 落ち着いて飲み込めるように 見守ってあげてよね 手伝えることなど 何もないのだから

安全地帯

おふとんの中以外 ミッションインポッシブル

檻の中

檻の中 檻の中 散歩をしてても檻の中 檻の中 檻の中 ビュッフェにいっても檻の中 檻の中 檻の中 海を見てても檻の中 檻の中 檻の中 夜空の下でも檻の中 檻の中 檻の中 音の中だけ檻の外 檻の中 檻の中 檻の中 檻の中

深掘

掘り下げた分だけ 深くなる 底は暗い しかも寒い ひとり分の幅しかない 掘らずにはいられない 前世はもぐらなのでしょうか もしくは炭鉱夫 掘り下がる先に 何が埋まっているのか 興奮して仕方がない 性癖なのでしょうか もしくは単細胞 掘り下がる程に 満たされる

本心

嘘のハートと 偽物のハートと 本物のハートとが ごったがえして見つからない どれもこれも本物そっくり精巧すぎる 嘘のも偽物のも作ったのは自分だ 自分の意思で 自分で掘った穴に 自分で落ちたりするのだ 本物を 嘘と偽物で覆い隠して 鬼に見つからないように 本物を守るために そうするしかなかった 致し方なかったのだ いつのまにか鬼ごっこは終わっていて 嘘と偽物製造は不要になったのに 工場の生産ラインは止まらない いつまでもいつまでも 嘘と偽物で本物を守るため 工場長は張り切ってい

濾過

春雨の音に耳を澄ませば 流れている血が濾過されて 今日という日の意味だとか 三時のお茶には何をいただこうかとか そんなことで過ぎて行く時間が 46億年分の一瞬を 永遠みたいに錯覚して 明日のことなんて気づきもしない みたいな顔で通り過ぎて行ったのは 昨日の私の陰だったか

寛解

戦った 勝った 痛かった 解った

言葉≒

ことばなんて つたわればいいな というねがいみたいなもんだ ことばぽっちで どうこうしようなんて まとはずれもいいとこだ ことばはひらかれたこころにしかはいりこめない よびりんをならすにしろ こじあけるにしろ やさしくふれることも つみをおかすことも

道筋

だいたいの道のつながってる安心感エグい ちょっとくらい間違えても どこからでもどこへでも 行けるし戻れるしリルートできる 世界ありがとうって言った あはは

故障

自動装置が故障して ここがダメだとこっちもダメで こっちがダメだとあそこもダメで ダメの連鎖を引き起こす こんなことならもっと早く メンテナンスを入れなさいなんて ごもっともな話であるが 故障に気づく装置が故障していて 故障が進む前に故障に気づけなかったんだから と 故障した口で言い訳をする 故障した目で故障箇所を点検し 故障した頭で故障を確認する 故障が心まで至っているとやっかいだ なんて 故障した耳に聞こえてきたけれど 故障の匂いがしていた

時流

なんやかんや そうこうしているうちに みっかほどたっていて あーだこーだ いいながらすごしていると なのかほどたっていて それからそれから わーっとしていたら はちねんほどたっていた

息吹

窓を開けると 少し冷たい空気がいいにおいで すんすん、すんすん ああ、いいにおい 温度も光も空気もみんな 鼻から入って身体の内側を染め上げる ふと、口の前に手のひらを上向けて ふーっ、と吹いてみた いまならピンクの息吹が 口から出やしないかと やってみてちょっと 頰の温度上げてる

昼寝

ギャップに悶えるうららかな昼下がり なんでか知らんがまだ冬にいる ええ、気温は何度になりますか まったく衣替えで間違いないでしょうねえ なんて、行き違った猫と世間話 気温さえ上がれば花は咲くものなのか こう言っちゃなんだが単純か すぐそこに出口があるようで なかなか辿り着かないということを なんというのだったかな あるやろフィットする言葉 しらんけど 粛々と執り行われる組み換え作業に しびれを切らして口出しそうになる まだ、もうしばし待たれよ おのずと道は開けるだろう ほんま