マガジンのカバー画像

自作詩

179
運営しているクリエイター

2021年11月の記事一覧

同化

あこがれるものに 同化して あこがれるものに 同化して あこがれるものに 同化して あこがれるものに 同化して あこがれるものに 同化して あこがれるものに 同化して あこがれるものに 同化して あこがれるものに 同化して またあこがれて 同化して 同化をくりかえし くりかえし同化して こんなわたしに しあがりました オリジナルってなに?

いのちのつかいみち

命をおいしくいただく 命を清々しく飲み下す 命を甘めに煮つける 命を薄く延ばす 命を踊らせる 命を泳がせる 命を森へ返す 命を丸め込む 命を掬い上げる 命を編み上げる 命を川に放す 命を転がす 命を聴く 命を塗る 命を肩に乗せて歩く 命を高速で投げる 命を使ってみる

美しさの分量

そのうつくしさをと じこめてじぶんのも のにしてしまいたい けれどもとてもとじ こめきれないうつく しさのぶんりょうは はかれるのかしらん

ふゆのよる

もっふもふのもうふにくるまって ほっかほかココアのカップをてに ほっくほくのおいも はっふはふいいながらたべたら ぽっかぽかのおふろにはいって ふっかふかのおふとぅんにもぐりこむ そんなふゆのよる

かげのおもさ

こどものころ ぼくのかげは ものすごくおもくて ちいさなからだで せいいっぱい ひきずって あるいていたのを みんなもそうだとおもっていた あのころのかげは おもかったよなあなんて おとなになって むかしばなしをしていたら かげにおもさなんて なかったんだって みんないうんだ あのみをけずる じゅうりょくでもって ぼくをひきずりこもうと おもくたれさがっていた かげはいったい なんだったのだろう きみもそうだったろう?

ぼくのなかのぼく

ぼくのなかの ひとつのぼくが きみをたべたいって おもう かわくていとしくてたべたくて くるいそう たべてしまったらきみが なくなってしまうから たべないでほしいと おねがいする ぼくのなかのぼくに いまきみは まだここに ある きみのこえを きかせてよ ぼくがくるって しまわないように

あかないとびら

おしてもひいても あかないとびら たたいてみるけど あかないとびら かぎあなのぞいた あかないとびら みなけりゃよかった とびらのむこう こうかいしたって あとのまつりよ あかないとびらの あかないりゆう あけないよるなど こないとしりつつ あかないとびらの あくのをまってる

記憶

ひがさえぎられ うすぐらい もりのなか ひとり とりのこされた おさないころの きおく どっちにいけば みんながいるのか がさがさと おとのするのがこわくて いっぽもすすめずに ただ そこにたって あたまのなかを ぐるぐるまわる こわさと なぜかしらない おちつきと ないまぜのしこう あきらめのかんじょう すくわれたようなきもするし しらないなにかに おそわれるようなきもするし ただ そこからうごけずに いた おさないころの きおく おとなになって ははにきいてみたけど そん

おおきなめが   ぼくをみている

灰色

くもり空の下 散歩をしていたら 灰色の猫とすれ違ったので やあ、きみすてきな毛の色だね と声をかけた 灰色の猫は こちらを見もせずに さもあたりまえという顔で さっさとゆき過ぎた 風が少し冷たくていいにおい 焦げたような甘いような 好きなにおいだ 足がもつれて転びそうになった ははっ ひとり声に出して照れてみる イヤホンから弾かれるリズムに ステップ踏み気味に歩く 枯葉を踏んだ感触がして 足元を見たら 朽ちた虫だった 元のかたちはどんなだったんだろう こうなってはもうわか

おとのなか

踊り 歌い 叫ぶ からだ 魂があばれて グルグルまわる 音の波にのって ゆれるからだ 窮屈なからだをぬけて どこまでも高く あがる魂 のびてゆく のびてゆく 上へ 上へと のびてゆく 無重力 魂ひとつきり 上も下も自由に ゆききする からだは遠くに置き去って どこまでも どこまでも ひろがってゆく おとのなかで

よるのくうき

よるのくうきはつめたくて すこしふるえてしまうけど むねのなかにあたたかい おもいをしのばせ かけぬける つきは おいかけても おいかけても わたしのてには おちてこない てをのばしても とどかない おいかけるのをやめたとき のんびりとこしかけている わたしのあたまに ほしがひとつ おっこちて はずんで どっかにとんでった

ついつい

ついつい かいじゃう においとか ついつい はがしちゃう かさぶたとか ついつい のぞいちゃう うらがわとか ついつい かんがえちゃう はらのそことか ついつい そうぞうしちゃう あたまのなかとか ついつい おもいだしちゃう つらみとか うかばれない きもちだとか むくわれない おもいだとか したしめない こころだとか ちかよれない からだだとか すくえない たましいだとか そんなもので できているとか

はぜる

はぜるこころを ふみつけて まよえるたましい おしのけて はじけるゆめに わなないて くだけるむねに むせびつつ きょうもわたしを とりかえす