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[部報]#1 自分にピッタリくるものを

菱目の穴あけ 要点整理ミニ講座にご参加いただきありがとうございました。ちょっと駆け足でややこしい話をしてしまったのでまた近いうちに整理したものをご用意させていただこうかと思います。公開できたら復習にお使いください。

さて、講座中でいくつか質問を頂きましたのでそのまとめを作ろうと思っていたのですが、 一方で何が正解かどうかを強く気にしているような気配も感じましたので、先にそれについてコメントをまとめました。

結論から申し上げると、手段の一つ一つに正解はありません。もちろん不正解と言わないまでも避けた方が良いと言うことはいくつかありますが、それ以外のものについては目標が達成されれば全て正解になりますので、一つの正解にこだわる必要がないということは大前提に意識の片隅に入れておいて欲しいと思いました。最適解がいろいろあるというイメージで考えてみてください。

では、何が達成されれば良いのか。目指すものによってその指標は異なりますが、例えば趣味のレザークラフトで作品作りを楽しむということであれば、綺麗に仕上がれば正解というような指標を置くとします。量産するのであれば、販売可能な最低限のクオリティを維持したまま、少しでも早くたくさん作れる方法が正解となります。綺麗とは何かといえば、これについては客観的な評価基準を持ち出すと難しいので、主観的に自分が満足できるクオリティに仕上がっているかということにします。販売可能な最低限のクオリティを保ちつつも生産スピードを稼ぐには、そもそも手縫いでする必要はなく、ミシンを使うのが正解だったりするかもしれません。正解とは、 達成すべき目標によって変わります。

先日開催しました菱目の穴あけ要点整理講座では、特に縫い目にスポットを当てた解説をしました。この内容は私がこれまでの活動で試行錯誤を繰り返した結果、現時点で自分にとって正解だと思った方法をまとめてご紹介しました。この中には人に習ったものもあれば、本で読んだもの、実際にやって時たどり着いたものなどいろいろ含まれてます。それらの組み合わせや取捨選択によって生き残った現時点での最適解で、もしかしたら将来内容が変わるかもしれません。そんなものです。そしてその内容は人(講師)によってももちろん変わります。その人ひとり1人の経験によって導かれたその時点での最適解をワークショップや教室で教えています。大げさに言うとその人の生き様のようなものです。したがって、人によってそれぞれ言うことが違うのは自然なことで、重要なのはそれのどれが本当に正しいのかを1つに決めようとするのではなく、自分にとってどれが一番適しているかを選ぶ、あるいは参考にして自分に合う方法に調整していくことです。目的は綺麗な縫い目を作って作品を美しく仕上げるが目標で、それを達成するための数ある手段は、文字通り手段でしかありません。美しく仕上がればどれをを採用しても不正解ではありません。自分にピッタリなものを探してみて下さい。

物作りにおいて一つの正解があるわけではないこと、状況に応じて最適解を都度考えて試してみるということを実践する習慣をつけるのが皮革工芸部で習得してもらいたい裏テーマの一つだったりします。正しいか正しくないかを人に与えられてそれに従う義務教育時代の習慣が残っていると、物作りはなかなか楽しくなりません。私はそれを物作りを通して書き換えたいと思っています。出来上がった作品を採点して順位づけするようなことは部活ではしません。どんどんいろいろなことを試して挑戦してみて欲しいと思います。


ただ一方で、やらない方がいいことは共通で、各先生方が教えられる内容にはそのエッセンスが随所にあったりします。それらについてはまたの機会に。




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