「ジェネリック家具」にさせないための工夫
知的財産権が満了して誰でも使えるパブリックドメインになったデザインを施した「ジェネリック家具」。
ライセンス料が要らず、誰でも自由に制作することができるため、低価格で販売することができます。
消費者の側からみると嬉しいことですが、家具メーカの側からみると悩みの種です。
では「ジェネリック家具」にさせない方法があるか考えてみましょう。
「ジェネリック家具」の知的財産はデザインです。
デザインを保護する知的財産権は、出願から20年で権利が満了する意匠権です。
意匠出願から20年という短い期間しか独占制作・独占販売がが認められません。
20年では短すぎる、と思うのであれば、意匠権以外の知的財産権が必要になります。
デザインを保護する知的財産権は、意匠権以外にも著作権があります。
著作権の保護期間はデザイナーの死後50年です。
意匠権の出願から20年という期間に比べると、とても長い保護期間が与えられています。
さらに著作権法の世界では、保護期間の延長が検討されていて、死後70年まで延長されるというのが世界の趨勢です。
保護期間が長い著作権を発生させることができれば、「ジェネリック家具」化を先延ばしすることができます。
著作権を発生させるためには少し工夫が必要です。
日本では家具などの実用品のために創作したデザインは応用美術として扱われます。
応用美術は著作権ではなく意匠権で保護するのが原則です。
ところが応用美術であっても実用性よりも美術性に重点が置かれていれば著作権を発生させることができます。
美術性に重点を置いてデザインを創作する、ということが肝心です。
最初に創作したデザインが美術性に重点が置かれていれば、そのデザインを実用品である家具に応用しても著作権を発生させることができます。
美術性に重点を置いてデザインを創作するというのは、一品制作を目的としてデザインを創作するということです。
一品制作の代表的な例は、絵画や彫刻です。
絵画や彫刻は量産を目的として創作したものではありません。
一品制作を目的として創作したものです。
一品制作を目的としてデザインを創作し、その後、そのデザインを家具に応用すれば家具に、著作権を発生させることができます。
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