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蓮華ノ徳について【蓮ノ空103期】

※このnoteは蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ103期活動記録の内容を含みます


はじめに

自分は、今年から蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブにハマってから「蓮」に関連する物事をインターネットで検索するようになって、ある時
「蓮華の徳」というものに出会いました。

お寺などの法話(僧侶など、仏教に関係する人物が一般の人に仏教の教えを説いて聴かせること)で言い伝えられてきた教えの一つで、その時に語られる徳の個数によって蓮華の「三徳」「五徳」「八徳」などと呼ばれます。この徳をこなしていれば幸せになれるという教えなのですが、蓮華ということからも分かる通り、
蓮の「花」「葉」「茎」「種子」などの特徴を元に作られています。

今回は、蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブとのつながりがあると感じた6つの徳を活動記録の場面などを交えながら紹介します。

蓮と仏教の関係

前提として、大仏様の座る台座が蓮の花であることが多いことなどから、仏教と蓮は関係が深いことが広く知られています。

仏教の僧は悟りを開くために苦行ともいえる修行を行う場合が多いのですが、蓮の花も”泥の中から綺麗な花を咲かせる”という特徴を持つため、それが”苦しみの中で悟りを開くさま”に似ていることが仏教と関連が深い理由となっているそうです。

そしてそれが一つ目の徳
「淤泥不染の徳」と呼ばれます。

一、淤泥不染(おでいふぜん)の徳

<説明>
蓮の花は必ず汚い泥沼の中から芽を吹いて成長するにもかかわらず、
その花の白さは決して汚れた泥に染まることはなく、
他のすべての花の色より優れており、
清らかな美しい姿、かぐわしい香り、
純粋な色を伴って立派に咲くという徳

蓮華の三徳 より引用>

活動記録 第1話では、蓮ノ空女学院の「学校は山の中」「厳粛な規則がある」「外出に許可が必要」という環境に絶望する日野下花帆が描かれます。

絶望する花帆

絶望した花帆は、脱走を企てたり、ショッピングモールを要望したりしますが、一朝一夕で変えられるわけもなく、転校のために退学届を書きます。
しかし、そんな蓮ノ空女学院のような環境であっても、スクールアイドルとして美しく咲く乙宗梢と出会い、スクールアイドルクラブと関わっていく中で、花帆は自分もスクールアイドルとして花咲くことを決心します。

部活紹介のステージの梢を思い出す花帆
花咲こうと決心する花帆

この「厳しい環境の中で花咲こうともがく花帆」が泥の中で咲く蓮の花のようで、
淤泥不染の徳”を成しているように感じました。

二、一茎一花(いっけいいっか)の徳

<説明>
蓮の花は一つの茎に一つだけ花を咲かせます。
だれもがただひとつ
唯一無二の存在であるといいます。
自分をしっかり持つという事だそうです。

蓮華の五徳 より>

活動記録 第12話では、生徒会長 大賀美沙知から竜胆祭でのステージの使用許可を取る際の試練を進める中で、「スクールアイドルとしてラブライブ!で精一杯頑張ります。(※要約)」と言う村野さやかに対し、沙知はラブライブ!に出ないスクールアイドルも居ると告げ、村野さやかに問います。

そして沙知は、村野さやかにのみ第三の試練として、”なんのためにスクールアイドルをやるのか”の答えを探すよう言い渡します。

他の1年の二人は第二の試練の時点で、たとえラブライブ!があってもなくても、自分だけの”スクールアイドルをやる理由”を見つけていたのですが、さやかは自分にはその理由が無いことを沙知に見抜かれていました。

花を咲かせるために頑張る花帆
面白いから、楽しいからやりたい瑠璃乃(めぐちゃんと)

競技者として長くフィギュアスケートをやってきたからこそ、結果を残すために頑張ることが当たり前になっていたのかもしれません。

その後回復した梢に相談しますが、自分で見つけなければ結局人の言葉を借りたことになる、と諭します。しかし、もう既に理由は見つけているというヒントを与えます。

そして悩んだ末、えな,びわこ,しいなとのやりとりで気付いた答えは、「みんなの期待に応えたい」という気持ちでした。

自信よりも理想を優先するあたり
責任感の強さを感じます

沙知先輩にそのことを伝え、さらに竜胆祭でソロのパフォーマンスをして証明すると啖呵を切ります。

そして10月度Fes×Live冒頭で作中唯一のソロ曲「Runway」を披露します。


沙知の試練の課題となった、「唯一無二の理由でもってスクールアイドルをやること」”一茎一花の徳”につながるものを感じました。

三、中虚外直(ちゅうこげちょく)の徳

<説明>
蓮の茎は外は硬いのですが、中は空洞です。
その茎が太陽に向かって一直線に伸びます。
我を空にして、太陽へと向かう努力をするという事だそうです。

蓮華の五徳  より>

活動記録 第9話で大沢瑠璃乃は藤島慈とスクールアイドルをやるために帰国し、スクールアイドルクラブに入部しますが、花帆とさやかが入部する以前から慈は部室に来るのを辞めていました。

名前すら知らない状態

活動記録 第10話では、瑠璃乃が慈にスクールアイドルクラブで一緒にスクールアイドルをしようと呼びかけます。

慈はそんな瑠璃乃をいなして部屋に戻ります。
そのときの膝の輪郭が照らされた状態の描写が気になりました。
もし慈を太陽に見立てるとしたら、膝(の怪我)を月に見立てて「月食(太陽が隠れている状態)」を表しているようにも感じ取れます。

そんな対応をされても、瑠璃乃は慈を復帰させるために画策します。

ライブのために練習の時間を確保しなければならず、1人で居る時間が減る事をさやかに心配されますが、慈のためと割り切り、充電が切れたとしても、だめなりにやりたいとさえ言い出します。

だめなんかい

瑠璃乃は、充電が空になったとしても、自分をすり減らしたとしても、慈のために頑張ることを決めました。
これからの展開も、「慈のために自分の事情を無視してでも頑張る姿」があり、”中虚外直の徳”を成しています。

梢、綴理の策略により、瑠璃乃の練習を見ることになりますが、諦めの姿勢を見せたかと思いきや、夜に一人で練習をする姿もあり、気持ちが揺らいでいる様子が見て取れます。

幼馴染の、さらにはまた楽しいことをやろうと約束した瑠璃乃にアタックされて揺らがないわけがなく、
「応えられない自分のやるせなさ」
「瑠璃乃に時間を無駄にしてほしくない」
という気持ちが混濁して、部室での喧嘩になってしまったのかと思います。

2年生に気持ちを吐露するシーンでは、今まで頑張ってきても駄目だった事がずっと悔しかったと語っています。

瑠璃乃も部室の外で聴いていました。

慈の気持ちを知った瑠璃乃はライブの告知のメンバーに勝手に慈を追加して、口論になります。

瑠璃乃は譲らず、「(ステージで)待ってるから!」と言葉に出します。その言葉は幼少期の慈が遠方の瑠璃乃から靴をプレゼントしてもらい「この靴ならどこまでもいける。(だから)待ってる──。」と約束した事を思い起こさせました。

しかし慈は、瑠璃乃に格好をつけるために努力していたこと。そして、怪我のことを黙っていた事を謝り、その場を去ります。

その後、瑠璃乃は部室で”慈にプレゼントした靴”に出会います。

幼少期の慈の回想シーン

そして梢と綴理の言葉から瑠璃乃は気づき、
慈の部屋に向かいます。

慈は、ずっと慈だったこと。
そして、瑠璃乃の進む道をずっと照らしていた事に気づかなかったことを謝ります。

そして、立ち止まってしまった慈を、瑠璃乃は自分が引っ張ってみせると宣言します。

そしてライブ本番、慈は瑠璃乃の元へ走り出します。

ド!ド!ド!は泣き曲

慈を動かすために無我夢中で頑張った瑠璃乃は、途中でも触れましたが、中虚外直の徳を成したと言えるでしょう。

四、一花多果(いっかたか)の徳

<説明>
蓮は開くと同時に沢山の種ができています。
お釈迦様も悟りを開かれた後、
たくさんの人にその悟りを伝えられました。
正しい信心を獲ると、
たくさんの人の幸せに繋がると言われているそうです。

蓮華の五徳 より>
東京ドーム約20日分である

この徳に関しては、悟りを(作品としての)正しい方向への努力、すなわちスクールアイドルに置き換えての解釈になるのですが、
「100万人ライブを掲げる花帆」がまず浮かびますね。
そもそもラブライブ!を優勝すること自体が、たくさんの人を感動させないと成し得ないことなのだったり、現実のリアルライブで観客である私達が花咲くこと(楽しむこと)も幸せの一つであるので、蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブのコンテンツ自体がこの徳を成していると言えそうです。

五、華果同時(けかどうじ)の徳

<説明>
花が散ってから実を結ぶ他の花とは違って、蓮華の花は、開花する時期に、時を同じくして実が出来ているという徳

蓮華の三徳 より>

この特徴は蓮に限ったものではないのですが、「蓮の花は中心に円錐状の実があることが特別目立つこと」
「花が散ってから実が成る花と比べ花が散る前から実が出来ている(ようにみえる)ので同時であるとされていること」
などから華果同時と言い伝えられてきたそうです。

この徳は、卒業(別れ)と入学(出会い)がほぼ同時期である学校生活からも想起できます。
尚且つ、蓮ノ空女学院には年に3回ある”蓮華祭”が3月末であることからも、花が開く時と実が成る時が普通の学校よりも近く、それらを現実と同じ時間の流れでコンテンツ化している蓮ノ空では、意識せざるを得ない特徴の一つになっています。

六、種子不失(しゅしふしつ)の徳

<説明>
蓮の種子は何年経っても腐らずに生きつづけ、
発芽する為の条件が満たされた時には必ず芽を出すという徳

蓮華の三徳 より>

最後に、「種子不失の徳」です。
蓮の種子は強い皮に覆われており、
どんなに時間が経っても腐りません。
実際に、800年前の種子を発芽させた「中尊寺ハス」や、2000年前の種子を発芽させた「大賀ハス」3000年も前の種子を発芽させた種の「行田ハス」が存在します。
以下のブログにて詳しく書かれています。

「大賀ハス」は、発見された種子3粒のうち1粒のみが発芽し、"花弁23枚 花径25㎝"という大輪を咲かせた後、根分けされ、今では全国で見ることができる有名な「古代蓮」として知られています。

そして、発芽させた大賀一郎博士に因んで名付けられた「大賀ハス」が、101期生 大賀美沙知の名前の由来なのではという説があります。
3粒のうち1粒が発芽したことも、沙知先輩が入学したとき、3年と1年だけだったスクールアイドルクラブや、「撫子祭」「竜胆祭」「蓮華祭」と、3つのうち1つが蓮の名前を冠していることも関係がありそうな雰囲気を感じます。

活動記録 第18話では沙知が先輩の伝統を後輩に繋ぐことができたかを悩むシーンが描かれます。

また、蓮ノ空女学院では実質的に「蓮華祭」が卒業の区切りとされている文化の側面も語られ、一般的な学校と比べ、別れ(卒業)と出会い(入学)が近いことから、5つ目の華果同時の徳に近いものがあると感じます。

2年生は、卒業式の前に部室の見納めで部室に訪れた時の沙知の顔を見て、生徒会室に沙知を呼び出し、表情が曇っている理由を聞き出します。

102期生(現2年生)が入学する前に99期生(沙知の先輩)が卒業したあと、沙知はスクールアイドルクラブに一人残され、不安だったと語り始めます。

102期生では蓮ノ第三角が入部しますが、沙知は蓮ノ空女学院でインターネットなどの自由活動を制限する派閥(ネット規制派)を抑えるため、102期の途中で生徒会長になり部を辞めてしまいました。その事も含め、沙知は後輩に常に接せていたわけではないため、自信がない、と。

それを聞いた102期生は、歌で返します。

活動記録ではアカペラで披露されます
(ここ本当にズルい)

沙知に150点を届ける102期生は、
揺るぎない自信を沙知に与えました。

そして後日、沙知は自分が1年をかけて建てた第二音楽堂とその命名権をスクールアイドルクラブに送ります。

綴理に遮られなければ、生徒会室で言おうとしていたのはこの音楽堂のことだったのかもしれません。

直前に意味は変わってしまいましたが、沙知先輩が後輩へのプレゼントとして前向きに渡す事ができたのは、嬉しいですね。

そして蓮華祭後の最後の会話で、第二音楽堂に『八重咲』の名が付けられたことに沙知が言及します。

そして、来年に4度目の桜を見るのは102期生だと気づく花帆の顔を見て、沙知は言います。

この言葉は、”卒業の別れ”と”入学の出会い”が近い蓮ノ空でこそ、意味が濃くなるように思えます。

そして、その言葉のあと、立ち去る沙知へ
最後の言葉を送ります。

さいごに

書いている時のテンションで活動記録の場面でまとめたい部分が偏ってしまったりしたので、少し読みづらいと感じさせてしまったかもしれませんが、
一番大事なのは、「蓮華の徳」の存在を知ってほしいということです。
引用元の記事であったり、インターネットで
「蓮華の五徳」「蓮華の三徳」
「蓮華の八徳」などで検索すると出てくるので、是非ご自身でも調べていただきたいです。
色々な解釈もあり、興味深いです。

今回紹介しなかった徳もあるので、104期で関係のあるシーンが出てくるかもしれません。

特に「蓮糸織布(レンシシキフ)」は蓮の茎からできた糸で着物が織れるため、着物が身体を優しく包むように相手を思いやることを説く教えもありますので、加賀繍の工房の生まれである吟子と関係がありそうです。

余談

μ'sが「ラブライブ!The School Idol Movie」で”僕たちはひとつの光”を披露したステージも、蓮の花でした。

ラブライブ!The School Idol Movie Blu-ray CMより
https://youtu.be/AReu1aHCsKc?si=vWmsLsTq9aD3Hi_U

Angelic Angelのステージも蓮がモチーフになってそうです。

ラブライブ!The School Idol Movie 予告CM
https://youtu.be/dfFsLp5mBZ0?si=dXN657bjrI7GsFhl

ここで、シリーズ全体に言及してみると、
μ'sが花を開き、成した実が13年の時を経て蓮ノ空女学院で花を咲かせていくことは、”種子が失われない”「種子不失の徳」を感じます。

μ'sのあと、ラブライブ!には何もなくなってしまったと思われてしまった中、Aqoursが無我夢中で活動していたことは、”中身が空でも太陽に向かって花を咲かせるために伸びる”「中虚外直の徳」になぞらえることが出来る気がします。
偶然でしょうが、「太陽を追いかけろ!」という曲もありますからね。

虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の個々を大切に、ひたすらに自分というものに向き合うこともまた”唯一無二の自分を追い求める”「一茎一花の徳」を成していると思えます。

Liella!の澁谷かのんは音楽科の選考に落ちて普通科に入るところから始まり、自分のトラウマを乗り越えながら、最終的にはラブライブ!に優勝するという結果を残し、”厳しい環境に置かれても諦めずに花を咲かせる”「淤泥不染」の徳に関係があると思えます。

こうして見ると蓮ノ空がラブライブ!シリーズで重要な立ち位置に居るような気がしてきました。
今年に蓮ノ空にハマってから、昔「ラブライブ!がリアルタイムコンテンツになってくれたらなぁ」と感じていたのを思い出したのですが、もっと早くリアルタイムコンテンツであると気付けたなら・・・。というのは後の祭りですね。
長くなりそうなので今回はここまでにします。

蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブに、
幸せがあることを願います。


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